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叡王戦本戦は無念の敗退...。藤井聡太の2月の対局を振り返る!

2025.3.15(土)

王将戦、棋王戦は白星を先行させて、防衛まで1勝と迫った。しかしリターンマッチを目指す叡王戦本戦では敗れ、タイトル戦の連続登場記録が止まることとなった。※対局予定棋士の名前の後の()内は藤井から見た過去の対戦成績。

2月2日に第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局で増田康宏八段と対戦。藤井が先手で角換わり腰掛け銀となり、増田は攻めを呼び込む工夫の作戦を見せる。難解な戦いで形勢は微妙に揺れ動くが、ギリギリでバランスを保って徐々にリードしていく。勝ちに近付いてからは丁寧な受けで面倒を見て、相手の攻めを余してから寄せに出て制勝。

2月5、6日にALSOK杯第74期王将戦七番勝負第3局で永瀬拓矢九段と対戦。角換わりから後手の藤井は右玉へ。藤井が攻勢を取り、両者の対戦としては珍しく先に永瀬の手が止まる。以下も難解な戦いで形勢は揺れ動くが、右玉らしい広さを生かした受けで永瀬の猛攻をしのぐ。最後は自玉を寄らない形にし、七番勝負を3連勝とする。

2月12日に第10期叡王戦本戦で戸辺誠七段と対戦。戸辺の中飛車に藤井は急戦。相手の攻めを強く呼び込んでリードを奪い、駒得を拡大して差を広げていく。終盤も相手の攻めを見切って、快勝とした。

2月15、16日に王将戦第4局で永瀬九段と対戦。角換わり腰掛け銀から先手の藤井が猛攻を仕掛ける展開になる。藤井が細い攻めをつないでペースをつかんだかに見えたが、永瀬も崩れない受けで決め手を与えない。終盤で一瞬藤井の攻めが緩んだタイミングで永瀬が反撃に出て、寄せ切られて敗戦となった。これで七番勝負は3勝1敗となり、第5局は3月8、9日に行われた(藤井による防衛)。月22日に棋王戦第2局で増田八段と対戦。序盤の駆け引きの末に後手の藤井が角道を止めて雁木を選ぶ。なかなか本格的な戦いが始まらず、じりじりとした中盤戦から少しずつ藤井ペースとなるが、増田も粘り強い指し回しで差を広げさせない。終盤で増田の勝負手が入り、残り時間が切迫する中で難解な勝負となるが、藤井が際どく踏み止まった。これで五番勝負を2連勝とし、第3局は3月2日に行われた(藤井による防衛)。

王将戦4連覇、棋王戦3連覇を果たした藤井聡太
王将戦4連覇、棋王戦3連覇を果たした藤井聡太

2月25日に叡王戦本戦準決勝で糸谷哲郎八段と対戦。糸谷の注文で横歩取りとなり、激しい手が飛び交う乱戦になる。難解な応酬が続くが、藤井が丁寧に指そうとした方針が裏目に出て、糸谷に手を作られる。薄い玉形で粘りも利きづらく、糸谷に手堅く押し切られた。これで準決勝敗退となり、タイトル戦連続登場記録も20でストップとなった。

2月9日に第74回NHK杯将棋トーナメント準々決勝の佐藤康光九段戦が放映。佐藤の矢倉に藤井は急戦で動いていく。中央での押し合いで徐々にリードを奪うと、終盤は玉を見えない形にして、しっかりと一手勝ちを収めた。準決勝では増田康宏八段と対戦する。

第33期銀河戦で藤井は本戦Gブロックの最終戦に登場。その前には中村太地八段、糸谷哲郎八段らが控えている。放映は秋の予定。
 
ABEMA地域対抗戦2025で藤井は杉本昌隆八段率いる中部チームのメンバーに選出。他の3人は豊島将之九段、澤田真吾七段、青嶋未来六段。
 
2月8日に予選Bリーグ1回戦ではチーム関東A (羽生善治九段、木村一基九段、佐々木勇気八段、三枚堂達也七段、黒沢怜生六段)戦が放映(この日は澤田七段が体調不良のため、宮嶋健太四段が代打として出場)。藤井は大将として出場し、羽生九段と対戦。勝利をあげてステージ2へ。ステージ2も大将で出場し、相手チームが二人残した状態で出番を迎えたが、三枚堂七段、木村九段を破り、チームを5勝4敗として勝利に導いた。予選Bリーグ1位決定戦ではチーム関東B (永瀬拓矢九段、伊藤匠叡王、郷田真隆九段、中村太地八段、髙見泰地七段)と対戦する。

文=渡部壮大

放送情報【スカパー!】

ALSOK杯 第74期 王将戦 七番勝負 第1局
放送日時:3月18日(火)10:20~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります