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中山美穂が映画デビュー作「ビー・バップ・ハイスクール」で見せる、15歳ながら仕上がっている美しさとスター性

2025.2.19(水)

昨年、急逝した中山美穂。トップアイドルを経て、俳優として世界で活躍していた彼女の突然の訃報は、日本だけでなく韓国や中国、アメリカ、イギリス、フランスなどのメディアでも報じられ、多くの人々が哀しみに打ちひしがれた。

不良(清水宏次朗、仲村トオル)にも好かれる学園のマドンナを演じた中山美穂
不良(清水宏次朗、仲村トオル)にも好かれる学園のマドンナを演じた中山美穂

(C)東映・ウィングスジャパン

中山といえば1985年のドラマ「毎度おさわがせします」(TBS系)で俳優デビューすると、瞬く間に人気者に。当時、画期的な思春期の性をテーマにした鮮烈な内容が話題を呼びドラマ自体が大ヒットしたことも要因の一つだが、中山は14歳ながら体当たりでドラマの要となる役柄を演じ切り、清純派が王道であった女性タレント界に風穴を開ける存在として一躍注目を集めた。そんな彼女が、同年の12月にスクリーンデビューした作品が映画「ビー・バップ・ハイスクール」(1985年)だ。

同作品は、きうちかずひろの人気コミックを実写化したもので、ツッパリ留年高校生コンビのけんかや恋に明け暮れる姿を描いた痛快青春物語。愛徳高校2年のヒロシ(清水宏次朗)とトオル(仲村トオル)は、2年を留年した不良学生コンビでクラスメートからも煙たがられていたが、同じクラスの優等生・今日子(中山)は事あるごとに2人を心配し、普通の高校生活を送るよう強く訴えていた。容姿端麗で気立てもよく、他の生徒とは違って臆することなく声をかけてくる今日子に対し、2人はほのかな思いを寄せていた。そんなある日、2人が悪名高い戸塚水産高校の生徒とけんかしたことで、愛徳高校と戸塚水産との間に抗争が勃発。戸塚水産を仕切る竜雄(小沢仁志)と虎雄(木下秀樹)に追い込みをかけられた2人は身を隠すが、2人をおびき出すために今日子がさらわれ、髪をボロボロに切られてしまう。事情を知った2人は仲間と共に戸塚水産に乗り込む。

不良高校生の日常風景をギャグとアクションを織り交ぜながらもリアルに描いた原作漫画は、当時の中高生を中心に人気を得て、コミックスは大ヒットを記録。その人気作の実写化ということで、けんかは強いが女性には弱いという当時としては新しい不良像や、手に汗にぎる不良同士の抗争、急に不器用になる恋模様など、原作の魅力を損なうことなく描いたことで劇場版も大ヒット。このヒットを受けてシリーズ化され、全6作が制作された"不良映画"の金字塔的シリーズ作品となった。

中山はそんな人気の大きな柱となったキャストの1人で、ヒロシとトオルが思いを寄せるヒロイン役を好演。というのも、今日子はお嬢様で学園のマドンナ的存在でありながら、勝気で不良にも臆さない度胸の持ち主で、前述したドラマで付いた中山のイメージとぴったり符合しているのだ。

この役との符合は、中山の15歳で既に仕上がっている美しさが年上の役を無理なく演じさせているのに加え、清純派過ぎないイメージが取っつきにくい不良に臆することなく近づくことができる役どころに説得力を与えていることが大きなポイントで、それは中山が変に作り過ぎることなく、あくまで等身大に役と向き合い、無理することなく演じているからに他ならない。

(C)東映・ウィングスジャパン

さらに、どんな役を演じても"中山美穂が演じる○○"というかたちで、演じながらにして自身の存在感を付与することができるスター性のある人物であることも大きく、作品の面白さや役どころなどには左右されない存在感があり、今日子を演じながらもいい意味で中山美穂なのだ。これは、生まれながらにして主役を担うスターにしかない才能で、例を挙げると石原裕次郎や勝新太郎、吉永小百合、木村拓哉などが有しているもので、観るとこれが映画デビュー作だとは思えない存在感に驚いてしまう。

"不良映画"の金字塔の中でありながら、自身の美しさと存在感を十二分に発揮している中山美穂をぜひ目に焼き付けてほしい。

文=原田健

放送情報【スカパー!】

ビー・バップ・ハイスクール
放送日時:3月1日(土)14:00~
放送チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります