内野聖陽、本木雅弘らが色っぽくも情けない「罪な男」に...女の性を浮き彫りにする「阿修羅のごとく」の男性たち
2025.1.23(木)
向田邦子脚本の名作ドラマを是枝裕和監督がリメイクしたNetflixシリーズ「阿修羅のごとく」。美しき四姉妹を演じた宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが紡ぐ、ドロドロだが笑える愛憎劇を受け、オリジナル版が再び注目を集めるなど大きな反響を呼んでいる。
年老いた父の不倫をきっかけに、四姉妹それぞれが抱える後ろめたい秘密や葛藤が明らかになるという物語の骨組みが示しているように、女性の本性を浮かび上がらせる要因となるのが周囲の男たち。内野聖陽や本木雅弘といった名優たちが女優陣に勝るとも劣らない存在感を放っている。
■広瀬すず、宮沢りえら豪華女優が姉妹に!向田邦子の傑作ドラマ「阿修羅のごとく」リメイク版で体現する複雑な女の感情
■思わず目を奪われてしまう内野聖陽の艶やかな和服姿
右も左も浮気者ばかりの情けない男たち。その中でも夫に先立たれた長女の綱子(宮沢りえ)の相手役として登場するのが内野演じる桝川貞治。老舗料亭・枡川を女将で妻の豊子(夏川結衣)と共に切り盛りする主人だが、店の生け花を任せている綱子と仕事の合間を縫っては密会を重ねている。
和服をはだけさせながら体を絡め合うシーンをはじめ、艶やかな上裸姿や綱子に注がれる優しい笑顔など、さりげなくも濃厚な色気を振りまいている内野。
妻に不倫がバレた際の小物感満載の態度など情けない一面もある貞治だが、不思議と憎めず、一度は関係を終わらせようと試みた綱子も気づけばまた逢瀬を重ねてしまう。女性を深みへと誘う"沼"な魅力を漂わせた存在感は官能的かつチャーミングで、いけないと分かっていても抗えない綱子にも思わず感情移入してしまう。
■調子のいい"昭和のサラリーマン"を本木雅弘がコミカルに表現
奔放かつ大人な色恋を繰り広げる長女に対し、次女の巻子(尾野真千子)は、年頃の子どもを持つ平凡なサラリーマン家庭の専業主婦。その夫・里見鷹男を本木が演じ、近年の硬派なイメージを一新するような演技でいい味を出している。
人あたりが良い鷹男は、家族会議でヒートアップする姉妹をいさめるなど、四姉妹の仲を取り持つハブのような存在だが、義理の父・恒太郎(國村隼)の肩を持ったり、四女・咲子(広瀬すず)が彼氏と揉めた際には「男とは、女とは...」と講釈を垂れたりと、なにかと男に都合のいい言葉を並べる。
妻の家族には気を配る一方、秘書の啓子(瀧内公美)にうつつを抜かし、肝心の家庭のことはないがしろにしがち。疑惑の関係が妻を追い詰めているとも微塵も思ってもいないのだからのんきなものだ。
浮気がバレそうになれば開き治って取り繕うなど、本木はオロオロとした顔つきや独特の喋り方で男の見苦しさや軽薄さをコミカルに表現。巻子のある言葉を受けての血の気が引いた表情をはじめ、女性の抱える阿修羅な一面を浮き彫りにするリアクションはお見事だ。
■松田龍平、藤原季節が姉妹の正反対なパートナーを好演
そんな愛憎渦巻く2組に対し、不器用だが純粋な恋模様を紡いでいるのが、三女・滝子(蒼井優)と興信所で働く勝又(松田龍平)のカップル。恒太郎の浮気調査をきっかけに出会った2人は、仕事の関係から徐々に距離を縮めていく。
松田が独特の雰囲気を生かし演じる勝又は、口下手で頼りないが浮気者ばかりの本作で唯一の誠実な男。男女の関係に嫌悪感を抱きつつも、そんな人柄に惹かれ徐々に恋慕を募らせていく滝子の女の顔や感情の変化を引き出していく。
さらに四女・咲子のパートナーとして登場するボクサーの英光(藤原季節)も、なかなか芽が出ない自分への不甲斐なさから咲子を裏切る困った男。浮気されてもなお英光を支え、「みんなを見返そう」と尻を叩く、健気だが同時にしたたかな咲子の女性像を、藤原の絶妙なダメ男ぶりがかえって光らせている。
複雑な問題を抱えながらも、それでも一緒にいることを選ぶ一筋縄ではいかない夫婦、男女の関係から、複雑な女の性を描き出す「阿修羅のごとく」。女優たちの存在感を引き立たせる男性たちの情けなくも人間味あふれる姿も印象に残ることだろう。
文=HOMINIS編集部
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