鈴木亮平が人間味たっぷりな野球部顧問を好演!弱小高校野球部の再建を描く「下剋上球児」
2025.1.18(土)
主演作の劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション」の公開が8月に控えるなど、2025年も活躍が楽しみな俳優の1人、鈴木亮平。そんな鈴木が2023年に主演を務め、大河ドラマ「西郷どん」など共演回数の多い黒木華とタッグを組んだのが「下剋上球児」だ。
高校の弱小野球部が甲子園への初出場を目指す物語を描いた本作の原案は、ノンフィクション作品「下剋上球児」。フィクションとしてドラマ化された本作は、青春スポーツものとは一味違う、社会が抱える問題やさまざまな愛も描いた物語で、制作スタッフには「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」、「最愛」、「MIU404」など数々のヒット作を生んだ新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督のコンビが名を連ねていることでも話題となった。
鈴木が演じているのは社会科教師で、野球部の顧問兼監督を打診されている南雲脩司。赴任してきた家庭科教師の山住香南子を黒木華が演じている。野球大好き少女だった山住は熱血タイプで、野球部を強くしたいとやる気満々。一方で、36歳で教員になり、妻と義父、2人の子供たちと暮らしている主人公の南雲は、人に言えない秘密を抱えている。爽やかな笑顔と、ふと見せる陰りある表情の対比には、繊細な演技にも定評のある鈴木ならではの奥深さがある。撮影に臨むにあたって野球の特訓に励み、いわゆるスポ根ものとは一線を画する監督を演じきった。
■鈴木演じる"仏"の南雲監督が弱小高校をやる気にさせる
本作の舞台は、10年連続で県大会初戦敗退している三重県立越山(えつざん)高校。南雲が校長の丹羽(小泉孝太郎)と定年間近の横田(生瀬勝久)から「野球部の顧問をやってもらえないか」と頼まれた時には、部員は3年生の日沖誠(菅生新樹)以外は幽霊部員だった。野球部の顧問になることをなぜか頑なに断る南雲だったが、そんな南雲がかつて野球部の主将だったことを調べ、「監督になってほしい」と説得するのが山住。それでも首を縦に振らない南雲だったが、地元の大地主・犬塚(小日向文世)が孫の翔(中沢元紀)のためにグラウンドを作り、強引に練習試合を決めてきたこともあり、山住と共に選手を集め、「3年生が引退するまで」という条件付きで監督を引き受けることにする。「野球は勝ってなんぼ」だと主張する山住と、「楽しくやり続けてなんぼ」だという考えの南雲は対照的で、山住曰く"仏の南雲と鬼の山住"。
ノンフィクション作品の原作と異なるのは、南雲が秘密とコンプレックスを抱えて生きてきた男として描かれていることだ。もっと言えば、野球ドラマの主人公の監督がこんなに暗い性格なのは前代未聞かもしれない。しかし、だからこそ南雲は、バイトをしながら遠方から通う部員・根室(兵頭功海)を放っておけなかったり、日沖の弟・壮麿(小林虎之介)が問題を起こしたと聞いたら奔走したりと、人に寄り添う一面を持っている。弱小とバカにされ、コンプレックスを抱えている選手たちが成長していくのも、決して上から目線にならず、リラックスさせて励ます南雲だから。爽やかな笑顔も魅力的な鈴木だからこそ、人間味溢れる演技が沁みてくる。
■高校野球とヒューマンドラマの感動がバランスよくクロス
半年にもわたる演技と野球の実技オーディションを経て選ばれた俳優たちが選手を演じているのも本作のポイント。小林や中沢など多くの新世代人気俳優を輩出している。選手たちが甲子園を目指すチームとして成長していくさまや、アニメーションを混じえた試合のシーンも長尺でわかりやすく、しっかりと伝え、南雲一家のドラマや高校時代の恩師である監督・賀門(松平健)との関係も丁寧に描き出す。回を重ねるごとに視聴者を感涙させ、野球を通じて"人生下剋上エール"を送った本作。"仏の南雲"が、物語が進むにつれて熱血になっていく過程をリアルに表現した鈴木の芝居にも、爽快な気持ちにさせられる。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
下剋上球児
放送日時:2025年1月19日(日)11:00~ 全話一挙放送
チャンネル:TBSチャンネル2
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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