窪田正孝と二階堂ふみが演じた夫婦の絆も...朝ドラの力を再認識させられる人生の応援歌「エール」が放つメッセージ

2024.12.6(金)

11月からNHKで再放送がスタートし、大きな反響を呼んでいる連続テレビ小説の第105作「カムカムエヴリバディ」。3人のヒロインでバトンを繋いだ本作を筆頭に、視聴者の日常に寄り添いながら、半年に渡って壮大な物語が紡がれる"朝ドラ"は、大きな"力"を秘めている。

名作揃いの"朝ドラ"の中でも、戦時中の苦難の時代を支え合いながら前向きに生きた"理想の夫婦像"が評判となったのが、12月16日(月)深夜よりチャンネル銀河にて放送される連続テレビ小説の第102作「エール」だ。

夏の甲子園で馴染み深い「栄冠は君に輝く」などの応援歌や、「長崎の鐘」「イヨマンテの夜」といったヒット歌謡曲を生み出した昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而とその妻・金子をモデルに、窪田正孝と二階堂ふみを主演に迎えて、音楽と共に激動の時代を生き抜いた夫婦の絆を描き出していく。

明治42年、福島の老舗呉服屋の跡取りとして生まれた古山裕一は、音楽の楽しさに目覚めると独学で作曲の才能を開花させていく。やがて作曲家の道を夢見るようになるが、家業を継ぐべく一度はその道を断念。そんな人生の岐路に立っていた彼の前に現れたのが、歌手を志す関内音だった。

国際的な作曲コンクールで上位入賞を果たした裕一のニュースを新聞で見た音が、ファンレターを送ったことをきっかけに、文通を重ねた2人はやがて結婚。不遇の時代を乗り越え二人三脚でヒット曲を生み出していくが、そんな前途洋々の日常に戦争が暗い影を落とす...。軍の要請で作った戦時歌謡曲を歌う若者たちが戦死していく惨い現実に直面し、激しく葛藤する裕一。やがて終戦を迎え、音楽の力で傷ついた日本を勇気づけようと奮起する。そんな幾多の困難を共に手を携えながら乗り越えていく裕一・音夫妻の人生を、窪田正孝と二階堂ふみが絶妙の間合いと阿吽の呼吸で、見事に演じた。

主人公の裕一を演じる窪田は、繊細さと大胆さを兼ね備えながら、人間味に溢れた裕一の人物像を時にコミカルに、時にチャーミングに表現した。温厚な笑顔からおどおどとした表情、タクトを振る際の真剣な眼差しまで変幻自在の演技で、どこか情けないお人好しだが、それでいて意志の強い独特のキャラクター像に命を吹き込んでいる。

一方の二階堂が演じた音は、快活な歯切れのよい演技や凛とした佇まいの、とびきり前向きな芯の強い人物。また歌唱力も抜群で、物語の随所で美しい歌声を響かせている。

音楽という同じ志で固く結ばれた裕一と音。夫を妻が一歩後ろで支えるステレオタイプではなく、互いにリスペクトしながら同じ景色を見ている夫婦の関係が清々しい。裕一の才能を誰よりも信じて叱咤激励する音、歌手の夢と出産という現実の間で葛藤する音に対し、両方を追いかける道を模索する裕一。互いに補い合いながら"共に歩む人生"を築き上げていく二人の姿はとても素敵だ。

夫婦関係を引っ張る二階堂のハキハキとした言動の一方、それに柔軟に応える窪田のどこか飄々としたリアクションも実にチャーミング。信頼を滲ませ、顔を見合わせる二人の息の合った姿は好感度満点で、戦前戦後の時代を描きながらも前向きなメッセージに満ち溢れている。

特筆すべきは、この「エール」がNHKで放送されていた2020年度前期(2020年3月～11月)が新型コロナウイルスの感染拡大の時期と重なっていたこと。再見すると当時の重苦しいムードを思い起こすかもしれないが、それでも、"エール(応援歌)"という使命を背負った本作の物語によって、日々の癒しを得ていた視聴者は多いはず。約2ヶ月半の撮影休止を余儀なくされながらも、"作曲家・古関裕而とその妻・金子"の物語を結実させた「エール」には、今振り返ると不思議な力が宿っているようにも感じられる。

それを象徴するのが、人気キャラクター総出演のカーテンコールと言うべき特別編、"『エール』コンサート"だ。

古関裕而の名曲の数々を古川雄大、小南満佑子、井上希美、山崎育三郎、堀内敬子、吉原光夫、薬師丸ひろ子、森山直太朗といったミュージカルや歌手として活躍するキャストが熱唱する"カーテンコール"は圧巻。「長崎の鐘」では二階堂ふみも伸びやかな美声を披露するなど、「エール」に相応しい最終回の光景を未だに記憶している人も多いことだろう。

「カムカムエヴリバディ」が再び注目を集め、朝ドラの"力"を再認識させられる今こそ、改めて窪田正孝と二階堂ふみが演じた"夫婦の絆"を振り返ってみてはいかがだろうか。

文＝HOMINIS編集部

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