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堀田真由のナチュラルな感情表現と白石晃士監督のリアリティー演出で、恐怖と臨場感満載のフェイクドキュメンタリーに仕上がった「オカルトの森へようこそ」

2024.10.20(日)

「オカルトの森へようこそ」
「オカルトの森へようこそ」

ドラマ「若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-」など、俳優としての活躍が著しい堀田真由。そんな彼女が2022年にヒロインを務めた、ホラー・アドベンチャー「オカルトの森へようこそ」(2022年)がWOWOWライブで10/31(木)に放送される。ホラー映画を数多く手掛けてきた白石晃士が監督を務め、先の読めない展開とホラーながらジャンルにとらわれない白石ワールドの集大成的な作品として話題を集めた。

本作は、登場人物の視点が画面そのものになったPOV(Point of View=主観視点)映像で構成されるモキュメンタリーホラーで、白石監督が得意とするジャンルである。いわゆるフェイクドキュメンタリーと呼ばれて、そのリアリティあふれる映像からホラー映画の一大ジャンルとして『デッドストリーム』(2024年)などの話題作を次々と生み出している。

「オカルトの森へようこそ」
「オカルトの森へようこそ」

(C)2022WOWOW・KADOKAWA・ひかりTV

傑作ドキュメンタリーを撮るために、異界とつながるたたりの森を訪れた黒石監督(白石晃士)と助監督の市川(堀田真由)。そこには黒石のファンだという何かに憑依された美女の麻里亜(筧美和子)がいて、不可解で危険な出来事が次々と起こっていく。逃げ惑う彼らの前に現われたスーパーボランティアの江野(宇野祥平)やイケメン霊媒師のナナシ(飯島寛騎)も加わり、現実とは思えない出来事を撮影していく。

「オカルトの森へようこそ」
「オカルトの森へようこそ」

(C)2022WOWOW・KADOKAWA・ひかりTV

白石監督演じる黒石のカメラの映像のみが流れる本編。時には顔のアップだったり、地面しか映っていないこともあったりと、通常の映画とはまた違った臨場感が漂ってくる。そんな本作の魅力は何といっても、堀田真由が演じた助監督の市川の人間味。決断力に優れていて、取材中にもかかわらず黒石に厳しいカツを入れていく市川は、あり得ない状況にいながらも頼もしく、そしてどこか淡々としてユーモラスに見えてくる。

「オカルトの森へようこそ」
「オカルトの森へようこそ」

(C)2022WOWOW・KADOKAWA・ひかりTV

モキュメンタリーはリアルに見せるため、あまり有名な俳優が出演しないのが定番。本作はあくまでもモキュメンタリー調でアレンジしたPOVホラーではあるものの、あまり役者が前に出てくると楽しみが半減してしまうため、あくまでも偶然巻き込まれた感じを出していくことが大事となっていく。

そういった、やり過ぎるといかにも"演じている感"や"セリフを言っている感"が出てしまう中、驚いたり怒ったり安心したりと喜怒哀楽がはっきりしている市川を、絶妙な塩梅でナチュラルに演じた堀田。彼女を見ていると、あり得ないことだらけだが"今その場で起きている"ことのように見えてくるから不思議だ。

「オカルトの森へようこそ」
「オカルトの森へようこそ」

(C)2022WOWOW・KADOKAWA・ひかりTV

堀田の確かな演技力は、本作と同年に放送されたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)や「大奥『徳川家光×万里小路有功 編』」(2023年)でも話題に。どちらも喜怒哀楽がはっきりとした役だが、「鎌倉殿―」の北条義時の正室・比奈役ではすべてを理解した達観した微笑みと涙を見せ、「大奥」の徳川家光役では怒りながら悲しむといった反比例する複雑な感情を見事に表現していた。本作にも驚いたり怒ったりするシーンがあるが、どの作品を見ても同じ表情はひとつもなく、絶妙なグラデーションのある感情をナチュラルに表現するのがとても上手い。

本作の会見で堀田は「どんな映像になるのか想像ができず、だからこそ新たな自分にも出会えるのではないかと思った」と語っており、これまで見たことがないほどナチュラルでキュートな堀田を楽しめる作品となっている。

文=玉置晴子

放送情報【スカパー!】

オカルトの森へようこそ
放送日時: 10月31日(木)21:00~
チャンネル: WOWOWライブ
※全6話一挙放送
※放送スケジュールは変更になる場合があります