『ダンダダン』花江夏樹、オカルンは自分と近しいキャラクター「ゲームの話をするときはテンション上がっちゃいます(笑)」
2024.10.3(木)
2024年10月3日よりTVアニメ『ダンダダン』が放送される。本作は累計発行部数400万部、閲覧数4億4000万を突破した『少年ジャンプ+』にて連載中の龍幸伸による人気漫画が原作だ。
霊媒師の家系に生まれた女子高生・モモ<綾瀬桃>と、同級生でオカルトマニアのオカルン<高倉健>が、理解を超越した怪奇と出会い、それぞれ超能力と呪いによる能力に目覚めていく、オカルティックバトル。怪奇たちとの躍動感のあるバトルシーンに加えて、モモとオカルンの恋愛模様も見どころとなっている。
主人公のひとりで「宇宙人は信じているが幽霊否定派」のオカルンを演じているのが花江夏樹だ。感情に緩急のあるオカルンをどのように捉え、演じたのか。今回は花江にオカルンの役作りから、アフレコ現場でのエピソードまでお話をお聞きしました。
――『ダンダダン』は"オカルティック怪奇バトル"という新しいジャンルの作品ですが、まず原作を読まれての感想を教えてください。
「原作を読むまでどんな内容か全然分からなかったんですけど、読んでみたら先生が大好きなオカルトや都市伝説がたくさん詰まってる漫画だなと感じました。とにかく絵が上手くて、アクションシーンの躍動感とか、キャラクターのデザインとかがとにかく秀逸なんですよね。でも、下ネタやギャグシーンも入り混じっていて、一言では表せない漫画だなと思いました」
――オカルンたちと怪奇とのバトルシーンはかなり迫力のある映像に仕上がっていました。完成した映像をご覧になっていかがですか?
「アニメでは原作の良さを踏襲しつつも、監督のこだわりで、ターボババアが出てくるシーンは赤を基調にしたり、セルポ星人だったらちょっと青みを全体にかけたりとか、そういうアニメじゃないと表現できないような世界観の作り方が印象的でした。あとは特殊なアングルといいますか、実写では難しい構図を丁寧に描かれているので、これはもうアニメならではの良さだなっていうのはすごく感じました」
――花江さんが演じられたオカルンは普段はオタク気質でおとなしいですが、変身後は気性が荒くなりますよね。
「急に大きな声を出したり、急にブチ切れたり、そこら辺の情緒がみんなおかしいんですよ、この作品(笑)。そこを監督も重視していて、1来たら10返すみたいなことを意識しました。オカルンってなよなよしている根暗なオタクみたいな感じの第一印象から、実際に喋ってみたらすごく面白いやつだなと思ってもらえるように演じましたね。とにかく情緒が不安定なので、そういった一面をあえて出すために、いきなりキレてみたりとか、そういうアニメ的な演出をやることもありました。途中からはモモをちょっと意識してドキドキするところもあるので、声が裏返るか裏返らないかぐらいのところを意識して出すようにはしています。変身したときにはガラッと変わった方がギャップがあって面白いと思ったので、そこはオーディションのときから割と意識していました」
――オカルンとの共通点はありますか?
「最初もいじめられてるシーンから始まるので、あんまり言いたいことを言えない子なのかなと思いつつも、自分の好きなものに対してはグイグイいけるし、堂々と喋れるんですよね。それで、実際に仲良くなってみたら面白い子じゃんという印象に変わっていって。人のために動ける優しい子でもあるので、そういったところは素敵だなと思いました。僕もオタクな部分があって、そういったところを人と話してるときは熱量高く喋れるので近しい部分はあるなと感じます」
――今回はモモとの掛け合いも多いですが、モモについてはどんな印象を持ちましたか?
「ギャルって言ってしまうのは簡単なんですけど、彼女は偏見があんまりないというか、自分が興味持ったことだったら、周りがちょっとキモいとか、オタクだとか言ってても別に気にしないタイプ。そういったところがオカルンと相性が良かったんだと思いますし、演じてる若山さんも、ギャルを色々勉強してきたとおっしゃってるんですけど、そんな中にもすごくナチュラルな、そこら辺にいそうなギャルのトーンで喋ってくるので、僕の中ではあんまりギャル感がないところがいいなと思いました」
――オカルンとモモの会話のテンポも早くて独特ですよね。
「監督が基本的にテンポを大事にされてる方なので、必要な場合を除いては、無駄な間を切って会話を成立させてるとおっしゃっていて。それが我々からしてもすごいありがたくて、そのおかげで気持ちよく会話できてるなと感じます。ただ、あまりにも切りすぎたおかげで尺が足りなくなって、最初は1話のオープニングを入れる予定がなかったみたいなんですけど、入れないと尺が足りないから苦肉の策で入れたとおっしゃってました(笑)」
――そんな裏話があったんですね。オカルンとモモの関係性についてはどう感じましたか?
「ほんとにいい関係だなと思います。最初は友情みたいな感じで、喋れる友達みたいなところから始まってると思うんですけど、次第に少しずつラブが芽生えてきて、そこの初々しさ可愛いらしくて、純粋に2人を見守って応援したいなという気持ちになりました」
――オカルンとモモは宇宙人を信じる側と幽霊を信じる側で分かれていますが、花江さんはどちらに共感できますか?
「どちらかと言うと霊の方がなんか身近な感じはしますけど、正直どっちも信じてないですね。つまらない回答ですみません(笑)。今まで身の回りで霊的なことは起きたことがないんですけど、この作品に関わって、監督や龍先生の心霊トークを聞いてると、信じないのがもったいないと思えるぐらい目がキラキラ輝いているので、今はいたらいいなって思っています」
――今回のアフレコは若山さんと同じ空間で収録できたのでしょうか?
「収録のときにはコロナの規制もほとんど解除されていたので、基本的に全員でアフレコすることができました。最初は仕切りがあったんですけど、最後の方には取っ払われたので、のびのびとアフレコできましたね。テストのときには激しいギャグシーンで、待機してるみんなが笑ったりとか、リアクションが来るのも久しぶりだったのですごく新鮮に感じました」
――今回は特に若山さんとの掛け合いが大切になってくる作品だと感じました。若山さんとはどのようなコミュニケーションを取られたのでしょうか?
「詩音ちゃんとはお会いしたことはあったんですけど、レギュラーで共演するのが初めてだったので、どういう方なのかが分からなかったんですよ。でも、緊張してるのか、あんまり向こうから話しかけてくるタイプではなかったので、ちょっとずつ僕から話しかけるようにしました」
――花江さんは普段から現場の空気感を自ら作るタイプですか?
「いや、全然そんなことないです(笑)。普段は喋る人がいたら全部その人に任せてしまうことが多いんですけど、あまりに人がいなかったので今回はやむを得ず自分から積極的に話すようにしました。でも、ある程度相手の人となりを知った方がやりやすいですね。それは監督もそうで、中には1クールで終わってしまって、監督と一度も話さないで終わる現場もあるので、どういう気持ちでこの作品を作ってるのかを知るだけでも、自分の中でモチベーションが上がりますし、そういう交流はやっぱり大事だなと感じました」
――キャストの方とのエピソードはありますか?
「アフレコ後にみんなで飲みに行ったりとか、ご飯行ったりとかしましたね。(田中)真弓さんも飲むのが好きなので、ノリノリでみんなを誘ってくださったりして。監督や龍先生、音響監督の木村絵理子さんなど、ほぼ全員集まってワイワイ盛り上がれたのですごく楽しかったです」
――みなさんが集まる場では監督からディレクションなどはありましたか?
「そうですね。このシーンはこういう意図でこういう演出にしたいとか、これは特撮のオマージュを入れてるとか、今後の展開について『このシーンはこうしたいんですけど、どう思いますか?』とディスカッションしてるのを側で聞いていました。でも監督がファンからどんなリアクションが来るんだろうってすごいプレッシャーを感じていて、毎週お会いするたびにだんだん調子悪くなってるんですよ(笑)。そんな監督を見て僕らが『ここ良かったですよ』って励ましたりして。ロサンゼルスで先行上映があったんですけど、みんなのリアクションを見て元気になっているのを見て安心しました(笑)」
――オカルンは宇宙好きというオタクな一面もありますが、花江さんはご自身のことをオタクだなと思う瞬間はありますか?
「僕はゲームが好きなので、ゲームオタクなんじゃないかな。今はあまりできてないですけど、中高生ぐらいのときは青春をすべて捧げたんじゃないかと思うぐらいハマっていたので、ゲームの話をするときはオカルンみたいにテンション上がっちゃいます(笑)」
――ゲーム以外では熱中していることはありますか?
「ウォーキングですね。最近は暑いのであまり歩けないですけど、ちょっと健康に気を遣って歩くようにしてます。昔も歩いてた時期があるんですけど、続かないことが多くて...。久しぶりにウォーキングと筋トレを始めたので、これからも継続していきたいですね」
――ウォーキングを始めてから身体に変化はありますか?
「やっぱり疲れなくなりましたね。遊園地とかで1日中子どもを連れて歩き回ってると、前までは家に帰る頃には死んでたんですけど、今はむしろ物足りないくらいです。子どもを持ち上げて遊べるようになるのが1つ大きな目標としてあるので、これからも頑張りたいです」
――最後に『ダンダダン』を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
「おそらく中高生はめちゃめちゃ刺さるんじゃないかなと思います。とはいえ、下品すぎない下ネタもあるので、割と幅広い年代の方に楽しんでいただけると思いますし、これを機に都市伝説や幽霊に興味を持って、僕みたいに信じてなかったけどいたらいいななんて思ってもらえるようになったら嬉しいなと思いますので、ぜひまずは1話を見ていただきたいです!」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
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