田村正和が明石家さんまの多弁な敏腕弁護士や沢口靖子のクールビューティ犯と対話型の刑事として対峙した「古畑任三郎」第2シリーズ
2024.9.30(月)
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2021年に惜しくも77歳で亡くなった俳優・田村正和の代表作であるドラマ「古畑任三郎」シリーズ。明石家さんまや沢口靖子など多彩なゲストが出演していた第2シリーズ(1996年)が、日本映画専門チャンネルで10月28日(月)より放送される。
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三谷幸喜が脚本を書き、田村正和がタイトルロールを演じた「古畑任三郎」は、三谷いわく「僕の唯一のヒット作」(『三谷幸喜創作を語る』講談社、2013年)。その人気に火が点いたのは1996年に放送された第2シリーズからだった。視聴率は平均で約25%と、今の連続ドラマでは考えられないほど高い数字を獲得。第1シリーズと同様に、警視庁捜査一課のベテラン刑事・古畑(田村)が抜群の「刑事の勘」と優れた観察力によって、完全犯罪を企む犯人と対峙する。
古畑は拳銃を出すことも犯人と格闘することもなく、常に犯人と会話を重ねながら、相手のボロが出るのを待って、言い逃れできないところまで追い詰め、自首を促す。そんな「対話型」の刑事が、第2シリーズで最初に出会う犯人は、第1話「しゃべりすぎた男」で明石家さんまが演じる弁護士・小清水潔。彼は古畑の部下・今泉慎太郎(西村雅彦/現・西村まさ彦)の大学の同級生でもあり、今泉が熱烈にアプローチしていた女性(秋本奈緒美)のマンションを訪問し彼女を撲殺したとして逮捕されると、弁護を買って出る。しかし、実はその小清水こそが彼女を殺した犯人だった。
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1980年代、田村は「パパはニュースキャスター」(1987年)、「ニューヨーク恋物語」(1988年)など、さんまは「男女7人夏物語」(1986年)などで、それぞれ主演俳優としてヒットを飛ばしたが、その2人が共演したのは本作が最初で最後。それだけに貴重なエピソードだ。2021年に田村が亡くなった際には、さんまが「古畑任三郎」で共演したときの想い出を振り返り、「オーラはすごかったけれど、決して他人のミスを責めない優しい人だった」と追悼コメントを寄せた。
それによると、「最初はロックスターの役で」と言われたさんまが弁護士役を希望し、このストーリーができたという。小清水は「はい、論破」型の弁護士で法廷テクニックに長け、今泉を弁護しつつも、殺人ではなく過失致死だと主張し、自分の代わりに彼を犯人に仕立て上げようとする。しかし、古畑には通じない。いったん法廷で「彼女を殴った」と言ってしまった今泉に、前言撤回して正直に「無実だ」と言うよう説得する。
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「しゃべり」のエキスパートであるさんまは、相手を小馬鹿にしたようなトークの上手い小清水を軽妙に演じている。「男女7人夏物語」でもサラリーマン役だっただけにスーツ姿も自然だ。「自分は頭が良い」という強烈なプライドと自信がある小清水だが、「策士、策におぼれる」というように、自分の弁論に足をすくわれることに。さんまは、その転落の過程をリアルに演じている。
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また、『科捜研の女』シリーズ(1999年~)スタート前の沢口靖子が登場するのは第2話「笑わない女」。沢口は、厳格な全寮制の女子高校で生活科主任教師兼寮長をしている宇佐美ヨリエを演じている。自身もこの学校の出身であるヨリエは、「化粧をしてはいけない」「男性と部屋にいるときはドアを開けたままにする」などの厳しい規律に従い、生徒にもそれを守らせようとするので、煙たがられていた。ある日、国語教師(相島一之)が寮内の自室で殺され、古畑は今泉と共に女子高に入って捜査を開始。古畑は、動機は不明ながらもヨリエが怪しいと気づく。
整った顔だが感情を見せないクールビューティー。もちろん化粧っ気もないヨリエは、芸能界随一の美貌を誇る沢口のハマり役だ。沢口は冷たく突き放すような物言いの中でも、わずかに揺れる感情をにじませ、ヨリエの危うさを表現している。
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古畑はヨリエの仕掛けたトリックを次々に見破りながらも、彼女の良心に訴え掛けていく。その姿に、ヨリエも頑なな心を開いていく。これは演じる田村正和自身がジェントルマンであるはゆえに成立する展開だろう。
他にも、唐沢寿明、鈴木保奈美などが犯人役で出演。古畑が毎回出会うのは、怨恨などで身近な人を殺しながら決定的な証拠を残さない頭脳犯で、古畑は彼らが「完全犯罪」を成し遂げるのを阻止するのだが、それでは古畑のいないところで完全犯罪を成功させた人はどうなるのか。田村にはなじみのあるニューヨークでロケをした最終エピソードで、鈴木保奈美演じる女性がそのことを教えてくれるので、ぜひ最後まで見てみてほしい。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
古畑任三郎(第2シリーズ)<デジタルリマスター版>#1-2
放送日時: 10月28日(月)10:40~
※以降、29日(火)11:05に#3・5、30日(水)10:55に#6-7を放送
※権利上の都合により第4話は欠番となります。
チャンネル: 日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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