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岡崎友紀の魅力が炸裂する昭和の名作ドラマ「なんたって18歳!」

2024.7.17(水)

1971年10月から1年間にわたってTBS系で放送されたドラマ「なんたって18歳!」は、大映テレビ制作のライトコメディで、岡崎友紀が主演。前作の「おくさまは18歳」に続く、シリーズ第2作という位置づけで制作された。

前作に続いて岡崎が主演を務めているが、キュートな可愛さと表情の豊かさ、さらにコメディエンヌとしての溢れる才能にあらためて感嘆させられる。大財閥の令嬢である青木まどか(岡崎友紀)が、家訓によって決められた結婚を避けるために家出。名前を「青山はるか」と偽り、父親の経営する観光会社に新人バスガイドとして潜り込む...という設定だ。形式ばったことが嫌いなまどかは、自由にあこがれ、好奇心が強く何にでも首を突っ込むアクティブな女性。明るく元気で、失敗を繰り返しながらもたくましく成長していく主人公はまさに岡崎に適役で、本作では演技にもますます磨きがかかって、本当に魅力的だ。

「青山はるか」の正体が「まどか」であることを知るのは、父親である社長の鬼八郎(田崎潤)のみ。婿養子の彼は妻・悦子(加藤治子)とその母・文(山田桂子)に頭が上がらない。まどかのよき理解者として、彼女を支えながら一緒に秘密を守るが、妻たちにバレそうになってオタオタする鬼八郎の姿も見どころ。また、物語後半に登場する丹野チアキ(うつみみどり)も、はるかの正体を知ることとなり、それをネタにはるかに無理難題を要求しては困らせる。うつみは前作での漫画家役の怪演ぶりも評判となったが、本作での存在感も抜群。すさまじい嗅覚を発揮して、神出鬼没にはるかを悩ませるドタバタがじつに楽しい。

はるかの勤務先であるバス会社・km自動車の面々も個性豊かだ。大竹所長(藤村有弘)は、はるかが毎回起こす騒動に頭を悩ませる役どころだが、藤村の持ちネタ「デタラメ外国語」は、本作でも時折披露される。はるかの指導者である丸山主任(春川ますみ)もベテランらしい安定感を発揮。主人公のイジメ役として登場する"3ケ月だけ先輩"の島田(十勝花子)も際立っている。十勝は本作以降、主人公の敵役女優として人気となり、70年代のドラマには必ずキャスティングされたほど。

また、運転手役で登場する本田卓丸(平泉征)もじつに魅力的。野性味のある二枚目として同僚女性に人気がある。はるかの恋仲になるような雰囲気も匂わせるが、実際には同僚ガイドの水沼玲子(松坂慶子)に恋される。松坂は当時から美貌が際立ち、脇役にしておくのが勿体ないほど華がある。はるかのライバル的ポジションだが、そんな玲子を相手にしても、岡崎演じる主人公があまりに魅力的なので、まったく食われていないのはさすが。平泉は後に「平泉成」と改名し、元号が「平成」となった時によく話題になった。現在は老人役が板についているが、若い頃は颯爽としてワイルドな二枚目役がじつに似合う。本作の最後で、卓丸に大きな秘密が隠されていることが判明するので、楽しみに見てほしい。
 
もうひとり男性キャストのキーマンとして、重要な存在がはるか(まどか)の許嫁である男性・皆川竜二(浜田光夫)である。皆川財閥の御曹司で頼りない感じなのだが、まどかのことを一途に愛し、嫌がられながらも追い掛け回す。正体を隠す主人公の前に彼が偶然現れて、バレないように必死で逃げ回るドタバタ劇も本作の見どころだ。ただ、当初は嫌われていた竜二も、物語の後半では一転して主人公のよき理解者となっていく。コミカルな演技も絶品だが、二枚目役でも実績十分な浜田だけに、竜二役は見事にハマっている。
 
昭和らしさ全開の作品だが、青春ドラマとしても楽しく見られるし、単なるライトコメディには終わらずに感動的な場面も随所にある。大笑いしながらもほっこりできるドラマは、最近では少なくなったように思う。何よりも岡崎友紀の魅力が全開で、しばしば画面に向かって、「ねぇ、みんなもそう思った?」などと話しかけてくる趣向も楽しい。聞けば本作ではアドリブも相当入れて演技していたらしく、平泉などは彼女の絶妙なアドリブにうまい返しができずに当初は悩んだとの逸話もある。
 
岡崎友紀のキュートな魅力と、女優としての類まれな力量を確かめる意味でも、「なんたって18歳」は必見の一作だ。本作はDVD等のソフト化が実現していないこともあり、貴重な作品といえる。また、彼女自身が歌う主題歌がオープニングで流れるが、こちらも昭和ドラマの歴史に残るほどの名曲であることも付け加えておきたい。

文=渡辺敏樹

放送情報【スカパー!】

なんたって18歳!
放送日時:7月24日(水)4:00~スタート
※毎週(月)~(日)4:00~6:00
放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります