リーチ マイケル、ラグビーワールドカップ2023で経験した手応えや、日本ラグビーの未来にかける思いを語る
2023.12.27(水)
今秋、フランスで開催されたラグビーワールドカップ2023。前回大会に続き、2大会連続の決勝トーナメント進出を逃す悔しい結果となったが、日本選手は世界に通用するレベルまで進化している。
日本代表の進化の要因の1つとして挙げられるのは、2003年から行われていた「トップリーグ」に代わり、世界最高を目指して国内最高峰リーグをさらに発展させるため、2022年1月より新たに開幕した「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(ジャパンラグビー リーグワン)」だろう。
2023-24シーズンは、各ディビジョンともに12月9日より開幕、2024年5月26日(日)にプレーオフトーナメント決勝が予定されており、日本中のラグビー選手の活躍が期待される。
今回は、東芝ブレイブルーパス東京でキャプテンを務める、リーチ マイケルにワールドカップで感じたこと、リーグワンでの注目ポイントや意気込みなど語ってもらった。
――今回のワールドカップでは全4試合にフランカーとして先発されました。個人としてのパフォーマンスの評価をお願いします
「先発で出場できたことはすごく嬉しくて、自分のポジションを勝ち取って試合に出ることができて良かったと思います。ただ、最終戦に負けてしまったことにとても責任感を感じていますし、まだまだ強くならないといけないなと思いました。今回の大会でいろいろ感じたこともあったので、これからまた更に進化できるよう頑張りたいと思います」
――今回は姫野選手が初めてキャプテンを務められましたが、どのようにサポートされてましたか?
「今回、姫野がキャプテンになって彼自身もすごく成長したと思うし、キャプテンの重みも感じたと思います。キャプテンは準備だったり、プレー以外のところでも気を遣わないといけないので、バランスとるのがすごい大変。僕はキャプテンじゃなかったので、今回はすごく楽でした(笑)。自分のプレーを磨くことが彼のためにもなると思ったので、自分のプレーに集中してました」
――今回のワールドカップの4試合の中で、一番スクラムがキツかったチームはどこでしたか?
「イングランドが一番キツかったです。重かったですね。前回の対戦では押されたりしましたが、今回はスクラムを組んで、すごく重く感じながらも押し返したりもできたし、良かったです。自分たちがやってきた準備は間違ってなかったなと思います」
――イングランド戦で日本のスクラムが良いと話題になりましたが、その前のチリ戦での経験が何か関係していたのでしょうか?
「いや、もう全部の積み重ねだと思います。いろんな試合をして、いろんな組み方を見て、この試合に関してはこういう組み方が良いっていうのを考えたり、長谷川慎コーチが相手の傾向も分析してくれたので、チーム全員が意思統一して試合に挑めました」
――サモアはレッドカードが出てからまとまった感がありましたが、14人になったサモアはどうでしたか?
「そこから何かよく分からない強さが出てきましたね(笑)。『ココだ!』ってときにフォワードがどんどん前に出てきて、それを止めるのも大変でしたね。過去10年の中でもベストメンバーだったと思います。サモアの強みはフィジカルももちろん強くてどこからでもトライが取れる。ナチュラルに身体能力も高いです。その中で日本代表として勝ったのは大きかったですね」
――そこからアルゼンチン戦ですが、負けたらプール戦敗退という大一番でした。試合に臨む気持ちはいかがでしたか?
「1週間の準備も意識して、どうやって勝つか戦術を磨いたり、自分の体を整えたりして、グラウンドに立った時はすごく楽しかったです。アウェーの状態で、勝ったらまた次に行けるというプレッシャーが楽しかったです。自然と笑顔が出て、この試合で勝ったら本物だと思ってプレーしていました」
――今回のアルゼンチン戦を通して、「全力を尽くしたけど相手が強かった」とおっしゃっていましたが、どんな部分が強かったですか?
「60分過ぎからのフィジカルだったり、スクラムも強かったし、キックのキャッチだったり、ラインアウトのプレッシャーのかけ方とかも相手の方が良かったですね。そこで試合が崩れて自分たちにプレッシャーがかかって...悔しい試合でした」
――今後、日本ラグビーが世界と戦うために強くなる上で、選手にはどんな経験が一番役に立つと思いますか?
「姫野がニュージーランド、松島がフランスに行ったりしていますが、そういう海外に出る選手を増やしていかないといけないなと思います。海外でプレーする機会を増やしていけば、ワールドレベルも肌で感じることができて、その感じたことが日本代表のプレーにもつながると思います」
――今の日本代表の若手選手たちをどう見てますか?
「強いし、楽しませる人がたくさんいるし、良い選手が多いと思います。試合の機会を増やして成長してほしいなと思います。日本は良い選手がたくさん揃っているのでこれから楽しみです」
――ご自身にとってワールドカップとはどんな舞台ですか?
「ラグビー選手にとって、ワールドカップは自己表現が出来る場所だと思います。チームにとっては国の強さを魅せられる場だと思いますし、一番試される場所だと思います。フィジカル、スキル、戦術。お互い準備してピッチに立って、それぞれいろんな想いを持って勝ち上がっていくことが本望だと思います」
――チームを作っていくうえで大事なことはどんなことだと思いますか?
「戦術もそうだし、パワーやスキルも大事だし、タックルも大事。そして、パワーが出る原料を作っていくためには、特別な想いを持っていることが大事です。ここだ!ってときは、特別な想いがある方が少しでも有利になるんだと思います。日本代表としての誇りを磨いていきたい。これから一番成長してく過程だと思いますし、そこを繋げていきたいです」
――ワールドカップでリーチ選手自身のベストプレーはどの部分でしょうか?プレーの最中の一瞬一瞬は覚えているものですか?
「意外と覚えています。抜かれたシーンが一番覚えていますけどね(笑)。ベストシーンは一番最初のタックルかな。チリが蹴って、走って来てタックルして...そこが一番かなと思います」
――2027年のワールドカップへの抱負を聞かせてください
「まずは、自分のプレーを磨きながら今シーズンも選ばれるように頑張りたいです。選ばれるか、選ばれないかはもちろん自分の実力ですけど、あとは監督次第。選ばれるように頑張りたいなと思います」
――そしてリーグワン、今期ブレイブルーパスにオールブラックスのシャノン・フリゼル選手とリッチー・モウンガ選手がいます。リーチ選手から見て、どれくらい凄い選手ですか?
「2人ともバリバリの現役の2人なので、スタミナもありますし、リッチー・モウンガは世界TOPの10番。大事なことは、完全に2人に任せることはせず、チームにコミットしてもらって、自分の能力を発揮するためにサポートしたいなと思います」
――府中の街で連れていきたいお店はありますか?
「たくさんあります。日本の良さっていうのは定食屋さんだったり、スナックだったり、居酒屋だったり...いろいろあって。フルコースで紹介したいと思います。楽しい一日になると思います。日本に来る外国人には渋谷に行ってしまったりするから、ローカルなところが楽しいってことをしっかり伝えたいなと思います。ローカルの人とコミュニケーションして、僕らの街を楽しんでもらいたいなと思います」
――今シーズン、ブレイブルーパスのここに注目というところはありますか?
「若手選手に注目してほしいです。木村星南、原田衛、小鍛治悠太はすごくイキイキしてるし、伊藤鐘平とワーナー・ディアンズもいます。この若手は東芝を変えていってくれると思います」
――ブレイブルーパスの一員として、今シーズンの抱負をお願いします
「優勝できる条件はすべて揃っていると思うので、あとは選手次第ですね。どれだけハードワークして、どれくらい未完成のことをいっぱいできるか。いろんなチームにスーパースターがたくさん揃っているので、その中でも勝ちに行く、勝ち切る!ベテランとして頑張りたいと思います」
――日本のファンのみんなはリーチ選手大好きなのでいつまでも応援してます!
「期待に応えられるよう、頑張ります。休んだら、相当歳を感じるかと思います。止まらないでどんどん成長していきます!」
文=HOMINIS編集部
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