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吉岡秀隆を始め、豪華俳優陣が昭和の下町の営みを再現した映画「ALWAYS 三丁目の夕日」

2023.11.9(木)

2005年に制作され、第29回日本アカデミー賞で作品賞を含む12部門で最優秀賞を受賞した映画「ALWAYS 三丁目の夕日」。高度成長期の東京を舞台に、吉岡秀隆演じる売れない小説家や下町の人々とのふれあいを丁寧に描いて大ヒットとなった。

下町で暮らす人々を演じる小雪、須賀健太、吉岡秀隆
下町で暮らす人々を演じる小雪、須賀健太、吉岡秀隆

©2005「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会

監督を務めたのは本作が出世作となり、のちに「DESTINY 鎌倉ものがたり」(2017年7)も手掛けた山崎貴。山崎監督がこだわり抜いたVFX(CG)で再現された昭和30年代の街並みは見事という他はなく、建設中の東京タワーや道で遊ぶ子供たち、三輪自動車が巻き上げる砂埃など細部に至るまで表現され、当時の日本の空気がそのまま感じられる。そこに、血のつながらない少年と暮らすことで成長していく主人公、集団就職で青森からやってきた少女を巻き込みながら描かれる自動車修理工場一家の家族愛、空襲で妻と娘を亡くした医師の家族への思い、たばこ店や居酒屋など個性豊かな近所の人々とのつながりが描かれる。とにかく泣かされることは必至、そしてあたたかな気持ちにさせてくれる、上質な人間ドラマだ。

©2005「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会

昭和33年春、集団就職列車に乗って上野駅に着いた六子(堀北真希)は東京での暮らしに胸躍らせていた。大きな道路を走る無数の車や路面電車、行きかう大勢の人々、高度成長真っただ中の東京は見るものすべてが衝撃だった。就職先の鈴木オートは社長の鈴木則文(堤真一)、妻・トモエ(薬師丸ひろ子)、息子・一平(小清水一揮)の三人家族で、六子を大歓迎するものの、「もっと大きな会社だと思ったのに...」と少しがっかりする六子だった。

そんな中、鈴木オートの向かいにある駄菓子屋では、一流小説家を目指しながらも落選続き、児童向け冒険小説で食いつないでいる茶川竜之介(吉岡秀隆)が、文句を言いながらも店番をしていた。ある夜、美人女将・石崎ヒロミ(小雪)が営む居酒屋で酒を飲んでいた竜之介。ヒロミは古い友人の子供を引き取ることになり困っていると告白し、竜之介に子供の面倒を見てほしいと懇願する。初めは断る竜之介だったが、ヒロミと親しい仲になれるかも?という誘惑に負け、安請け合いしてしまう。かくして預かることとなった古行淳之介(須賀健太)は、竜之介が小説を書いている横でじっと正座をしているようなおとなしい子。だが、竜之介がSF小説「少年冒険団」の作者だと知るや否や目を輝かせて大興奮。淳之介はあっという間に竜之介になつき、血のつながらない2人の奇妙な生活がスタートする。

高度成長期とはいえ、まだまだ裕福ではなく、今ほど便利でもなかった昭和30年代。戦後、いろいろな思いを抱えながらも1つ1つの小さな幸せをかみしめ、前へ前へと進んでいく人々。街並みの再現だけでなく、義理と人情が息づく"古き良き日本"の姿を俳優陣が生き生きと表現しており、奇しくも昭和レトロブームが到来している令和の今、見るべき作品と言えるだろう。

文=石塚ともか

放送情報【スカパー!】

ALWAYS 三丁目の夕日
放送日時:12月2日(土)16:00~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります