水谷豊×寺脇康文、2人が演じる対照的な刑事バディの魅力を「相棒 season2」で再確認

2023.10.31(火)

クールでスマート、抜群の頭脳を持つにも関わらず、出世コースに背を向ける"警視庁一の変人"と称される刑事・杉下右京(水谷豊)。右京と、その相棒となる個性的な刑事たちがさまざまな難事件に立ち向かうTVドラマ「相棒」は、2023年10月より最新作となるシーズン22が放送されている、日本屈指のロングヒット・シリーズだ。

シーズン21から再び登場した熱血刑事・亀山薫(寺脇康文)は、2000年から2001年にかけて土曜ワイド劇場枠で3回放送されたプレシーズンから、2008年スタートのシーズン7まで登板し、右京の相棒にカムバックした。シリーズ内最長コンビという記録を絶賛更新中の右京×薫コンビだが、中でも、彼らの関係が完熟期へと突入する時期だったとも言えるのが、2003年放送のシーズン2だろう。

元々は、警視庁にとって制御の利かない厄介者である右京を"島流し"にするため、無理やり設けられた窓際部署の警視庁生活安全部特命係。"警視庁の陸の孤島""人材の墓場"と揶揄され、右京の下についた6人の部下は相次いで警視庁を去った。しかし、捜査一課を追い出された亀山が居着いて以来、2人の名コンビぶりにより、特命係は多くの事件を解決に導いてきた。
シーズン1終盤で特命係の解散が決定したこともあり、右京は休職してイギリスへ旅立ち、亀山は運転免許試験場へと転属に。第1話 「ロンドンからの帰還 ベラドンナの赤い罠」では、元検事で"平成の切り裂きジャック"とあだ名された死刑囚・浅倉(生瀬勝久)が脱獄。刑務官の携帯電話を奪った浅倉から連絡を受けた亀山が、証拠不十分で迷宮入りした、東亜薬科大学教授毒殺事件の容疑者・小暮ひとみ(須藤理彩)の再捜査を右京に依頼することから、特命係が復活するさまを描いていく。

青い制服に身を包み、運転免許試験場で働く亀山の一方、イギリスへ渡った右京は、ロンドンのキングスクロス駅などを、いつものスーツ姿にハットを被るといったダンディなスタイルで闊歩。映画「ハリー・ポッター」の中でホグワーツ魔法学校に向かう列車が発着することでおなじみのプラットホーム9 3/4に耳を近づけて微笑むなど、イギリスを満喫しているシーンが描かれる。また、地下鉄のベイカー・ストリート駅入口すぐにあるシャーロック・ホームズ像の前では足を止め、帽子を取って敬意を表するといった小粋なシーンが続々と登場。右京を演じる水谷がまとうエレガントな雰囲気がぴったりなロンドンロケでの映像は、シーズン2の大きな見どころのひとつだ。

また、時差をまったく念頭に置かず、連絡を取りたいという一心で職場からイギリスに電話を掛けまくる亀山の真っ直ぐな熱血刑事ぶりを、寺脇はギラギラとした情熱的な瞳で表現。いつもスーツをきっちりと着こなす右京とは対照的に、シャツを第2ボタンまで外し、腕まくりまでして制服を着崩したり、捜査時にはフライトジャケットにTシャツ、カーゴパンツとワークブーツを身に着けたり、当時の流行を取り入れつつも機動性を重視したファッションを披露している。
常にポーカーフェイスな右京と、黙っていても表情にその胸中が如実に現れる亀山というように、ビジュアルから性格まで、すべてにおいて正反対な2人だが、相棒として行動する際には、絶妙なコンビネーションを発揮する...。それこそが、今も右京×薫コンビが長く愛され続けている要因だろう。

また、多彩なゲスト俳優陣が物語に厚みをもたらしていることでも知られる同シリーズ。シーズン2では、生瀬と須藤の熱演が光る第1～2話や、子役時代の須賀健太の愛らしさが印象的な第9話などは要注目だ。

正反対の人物がコンビを組むからからこそ生まれる化学反応が魅力の「相棒」シリーズ。「一度解散した特命係のリブート」という大きな節目から、右京×薫コンビが唯一無二の関係性を紡いでいくさまを、ぜひその目で再確認してほしい。

文＝中村実香

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