竹野内豊が演じる型破りな裁判官の人間味溢れる魅力にハマる!映画「イチケイのカラス」
2023.10.31(火)
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公開中の映画「唄う六人の女」で山田孝之とダブル主演を務めている竹野内豊。そんな竹野内の近年の代表作といえば、2021年放送のヒットドラマ「イチケイのカラス」だろう。竹野内が演じたのは、趣味がふるさと納税の、型破りで自由な裁判官・入間みちお。エリート気質の裁判官が多い中、納得できないことがあると「職権を発動します!」と宣言し、人間味溢れるチャーミングなキャラクターで多くの人を魅了した。その人気もあいまって2023年に公開されたのが映画「イチケイのカラス」だ。
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(C)2023浅見理都/講談社・映画「イチケイのカラス」製作委員会
映画の舞台は岡山県。入間が東京地方裁判所第3支部第1刑事部、通称「イチケイ」を去ってから2年後の設定だ。ドラマでエリート裁判官役だった坂間(黒木華)は裁判官の他職経験制度を活用して弁護士となり、奇しくも入間が異動した先である秋名市の隣町・日尾美町に配属されることになる。後半にいくにつれて伏線が回収されていくストーリーと、国家権力も絡んだスケール感は映画ならでは。
本作で入間は、イージス艦と貨物船の衝突事故をきっかけに、「夫(津田健二郎)が事故を起こすわけがない」と主張する妻(田中みな実)が、防衛大臣の鵜城(向井理)に包丁を突きつけようとした事件を担当。一方で坂間は、トラックの土埃で視界が見えなくなった老女の交通事故案件を検証している。一見、何の関係もないように思える2つの事件に隠された真実とは――。吉田羊、斎藤工、宮藤官九郎、尾上菊之助など、キャストも豪華な劇場版で見せた竹野内の新たな顔にも注目したい。
■いつも飄々としている入間が見せた意外な一面とは?
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(C)2023浅見理都/講談社・映画「イチケイのカラス」製作委員会
貨物船が航路から外れていたこと、イージス艦の航海日誌が紛失されていることに入間は疑問を抱き、職権を発動する。しかし、裁判官室を訪れた鵜城防衛大臣は「貨物船の船員たちが朝まで酒盛りをしていて体調不良を起こしていた」と主張し、暗に圧力をかけられ、入間は裁判長を交代させられてしまう。シビアな局面においてもいつも飄々としていて、笑みを浮かべ、ジョークを飛ばす入間だが、今回ばかりは「それ、やっちゃいけないでしょ?」と、1人になった時には悔しさと怒りを滲ませる。一連のシリーズで一度も見せたことがない行動が事件の闇の深さを想像させ、同時に竹野内の演技が入間の人間味、裁判官として譲れない正義を浮き彫りにする。
そして、もちろん、いつものチャーミングな入間も健在だ。人権派弁護士の月本(斎藤)とバディを組んで日尾美町の経済を握る工場の汚染問題に熱心に取り組んでいる坂間が、帰るところがなくなり入間の家に泊まりに来ることに。坂間が思わず弱音を吐き、「聞かなかったことにしてください」と言うと、入間の不自然ないびきが聞こえてくるのも微笑ましい。
■坂間らしい恋心を黒木華が表現しているのも新鮮ポイント
東京・イチケイの部長裁判官・駒沢(小日向文世)の教え子であり、やや強引ながらも行動力のある月本に徐々に惹かれていく坂間の恋が描かれているのも今までになかった要素だ。健康被害が出ているにも関わらず、工場の問題に町の人々が沈黙する状況が底知れない何かを感じさせるだけに坂間の女性らしさが垣間見えるシーンは重々しい空気に風を送りこむ役割を果たしている。海で遊んでいるように見えて諦めていない入間も、人力で汚染土を見つけ出そうとする坂間もそれぞれが危険を顧みず、真実へと迫っていく後半まで謎解きにドキドキ。見る側が思わず自分の人生に重ねてしまう法廷での名言やパフォーマンスも含め、竹野内の魅力溢れる演技に惹きつけられずにいられない。
文=山本弘子
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