「ノクドゥ伝」よりもリアル？細マッチョなチャン・ドンユンの「女装姿」が眩しい真っ直ぐな青春ロマンス

2023.9.7(木)

今年4月に日本で公開された映画「オオカミ狩り」(2022年)では、ソ・イングクと共に挑んだ強烈な役作りが注目を集めたチャン・ドンユン。一方で、韓国で4月に最終回を迎えた青春ドラマ「オアシス」では、ソル・イナとのロマンスが支持を集めるなど注目の新作が相次いでいる。

7月には31歳を迎え、キャリアの充実期に突入した感のあるドンユンだが、その転機となった作品と言えば、ロマンス時代劇「ノクドゥ伝～花に降る月明り～」(2019年)だろう。本作で演じた"女装男子"ノクドゥは、当時「女性よりも美しい」と大きな反響を呼んだ。

だが、そのしなやかで細マッチョなスタイルを活かし、「ノクドゥ伝」の前年には既に麗しい"女装姿"を披露。その瑞々しい青春ドラマこそ、ドンユンの多彩な魅力が詰まった「恋のステップ～キミと見つめた青い海～」だ。

釜山近郊、美しい海と広大な空に囲まれた自然豊かな巨済(コジェ)島を舞台に、競技ダンスに打ち込む高校生たちの青春を描いた「恋のステップ～キミと見つめた青い海～」。巨済島の学生たちによる実話を基にした青春ストーリーとして、韓国での2018年放送当時も大きな話題となった。

島での暮らしにうんざりする女子高生のシウン(パク・セワン)は、ソウルの大学への進学を有利にするため、廃部寸前の競技ダンス部に入部する。一方、亡き母に教わった社交ダンスを愛する男子高生のスンチャン(ドンユン)は、密かに思いを寄せる幼なじみのシウンによって練習に参加させられることに。女性パートを割り当てられたスンチャンだったが、ダンス部の面々と共に小さな島から奇跡を起こしていく。

ドンユンの出世作と言えば、若手スターの登竜門として知られる「学校」シリーズの「恋するレモネード」(2017年)で演じた文武両道の生徒会長・デフィ役。方や、何かと共通項の多い今作で演じたスンチャンは純朴な高校生だ。

実業家である父に言われるままに、柔道をはじめとするいろいろなスポーツを習うものの、唯一面白いと思えたのが、母との思い出でもあるダンス。好きが高じて女子高のダンス部を盗み見ていたところ痴漢と間違えられてしまうことも...。そんな不器用なキャラクターをドンユンは、当時20代半ばとは思えないピュアさで好演している。

さらにスンチャンが女装してダンスの大会に出場するシーンでは美しいドレス姿も披露。ドンユン自身、大学時代にコンビニ強盗を捕まえて警察表彰を受けた際、ネットで"イケメン大学生"と話題になってスカウトを受けた逸材として知られているのだが、そんな爽やかで好感度の高いビジュアルだけに、女装させたくなる制作陣の気持ちも分かる。

一方で、男性パートを踊るようになってからは凛々しさが倍増。ダンス部員を演じるキャストたちは1日8時間に及ぶ特訓を経て撮影に臨んだそうで、抜群のスタイルを誇るドンユンのキレ味鋭いターンや力強いリフトは絶品。思わず目で追ってしまうダイナミックさで、ダンス男子を魅力的に演じている。

堂々としたダンスシーンとは裏腹に、シウンとの恋愛シーンでは素直になれない純朴男子に早変わり。幼なじみを異性として意識し始めた18歳の純真さを愛嬌たっぷりに表現し、この年のKBS演技大賞の連作単帯劇賞を受賞した。

今や30代を迎え、すっかり大人の魅力をまとったチャン・ドンユン。たった5年前に演じていたこんなにもピュアな男子高校生役を、今改めて味わってみてはいかがだろうか。

文＝酒寄美智子

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