竹野内豊がコミカルな演技で不思議なタクシーの運転手を好演!バカリズム脚本ドラマ「素敵な選TAXI」
2023.8.16(水)

ワイルドなビジュアルと魅惑の低音ボイスで人気の俳優・竹野内豊。キャリアを重ねる中、ドラマ「BOSS」シリーズの野立信次郎役などに代表される、コミカルな役柄でも高い評価を得ている。そんな竹野内のコメディ俳優としての才能が炸裂した作品の1つが、ドラマ「素敵な選TAXI」だ。
本作は、クールな外見に似合わず話し好きでおせっかいな運転手・枝分(竹野内)が、さまざまな事情を抱えた乗客を、「選択肢」をもじったタクシー「選TAXI」で、乗客が戻りたいと願う"過去の人生の分岐点"に運び、そこで起こるさまざまな出来事を軽妙なタッチで描く。

(C)カンテレ/MMJ
第1話「男と女の選択肢」では、恋人の浦沢香(小西真奈美)にプロポーズしようと、待ち合わせ場所の高級レストランへ急ぐ、売れない俳優・村上秀樹(安田顕)が主人公。些細なことで喧嘩となり、別れを告げて店を飛び出しタクシーに乗り込んだ香。彼女を追いかけるため慌てて手近なタクシーに乗り込んだ村上が、運転手の枝分から「彼女がいた時の店に戻りましょうか?」と、過去に戻ることを持ちかけられることから物語が動き出す。
竹野内が演じるのは、リーゼントヘアに口髭、ベストとネクタイというクラシカルなスタイルできめているタクシー運転手・枝分。喫茶店でメニューを見つめながらオーダーに迷っている場面で始まる登場シーンから、隙のないクールなビジュアルと、甘く響く低音ボイスで視聴者の心を鷲掴みに。そして、喫茶店の店員から「お決まりですか?」とたずねられる度、「すぐ決めるから...」「あと二択まで来ているから...」と、少しとぼけたセリフ回しで、枝分の優柔不断さをコミカルに表現している。
そんな竹野内のコメディセンスがまばゆいばかりに輝くのが、枝分が運転するタクシー車内での乗客との会話だ。
第1話では、村上が車内に乗り込み、「すみません、あの、前のタ...車、追って下さい」とオーダーを噛んでしまったことをからかうことから始まる。ねっとりとした低音ボイスで、「タクシー」と言おうとしたけれど、噛んだことで「車」に言い直したことについて、何度も何度も話題にする枝分。しかし、その口調は決して嫌味なものではなく、まさにお笑い芸人が淡々とボケていく様子を思い起こさせる。そして、村上の現状について「彼女、泣かせちゃったんですか?浮気?」と事情をたずねる際の表情とイントネーションに残るやんちゃな男子感は、スタイリッシュなビジュアルと渋い声とのギャップも手伝い、鮮烈な印象を残すはずだ。
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(C)カンテレ/MMJ
「過去に戻ることができるタクシーで、人生の分岐点をやり直す」といったファンタジックな設定のもと、細部まで作り込まれた上質なコメディに仕上げたのは、脚本を担当するお笑い芸人のバカリズム。枝分の行きつけとなっている喫茶店のマスター役として出演もしており、軽妙な演技を披露している。
第9話までは、乗客のサポート役に徹している枝分だが、最終話となる第10話「僕と君の選択肢」では、枝分にフォーカスを当て、なぜ枝分が「選TAXI」の運転手になったのか、その経緯も明かされていく。クスッと笑えながらも、心の奥が静かに温かくなるようなドラマを通して、竹野内のコメディセンスを堪能してほしい。
文=中村実香
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