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激闘の末、叡王戦での防衛を果たした藤井聡太の5月の対局を振り返る!

2023.6.17(土)

相穴熊の激闘が続いた叡王戦は苦しみながらも3勝1敗で防衛を果たした。名人戦では3勝1敗とリードし、七冠まであと1勝と迫っている。
※対局予定棋士の名前の後の()内は藤井から見た過去の対戦成績。
 
5月6日に第8期叡王戦五番勝負第3局で菅井竜也八段と対戦。菅井の三間飛車から相穴熊の難解な戦いとなるが、終盤の踏み込みが裏目に出て菅井にリードを許す。苦しい終盤戦となるが、巧みな粘りで徐々に差を詰めて最後は逆転。底力を見せて2勝1敗とした。
 
5月10日に第71期王座戦挑戦者決定トーナメントで中川大輔八段と対戦。角換わり腰掛け銀から力戦模様になるが、積極的な仕掛けでペースをつかむ。中川の反撃にも丁寧に応じて差を広げると、最後はしっかりと寄せ切った。2回戦では村田顕弘六段(3勝0敗)と対戦する。
 
5月13、14日に第81期名人戦七番勝負第3局で渡辺明名人と対戦。角換わりの出だしだったが、駆け引きの末藤井が角道を止めて雁木の戦いになる。先攻してペースを握ったかに見えたが、その後に鮮やかな切り返しにあって苦戦に。最後はピッタリの攻防手を浴びて敗れた。これで七番勝負は藤井から見て2勝1敗に。
 
5月21、22日に名人戦第4局で渡辺名人と対戦。後手の渡辺は第2局に続き雁木を選び、藤井は早繰り銀から速攻を目指す。渡辺も居玉のまま反撃するが、藤井は攻めを的確に受け止めてリードを奪う。反撃してからは早く、短手数での終局となった。これで3勝1敗と奪取へあと1勝と迫った。第5局は5月31日、6月1日に行われた。

5月28日に叡王戦第4局で菅井八段と対戦。菅井の三間飛車に藤井は銀冠模様。序盤の揺さぶりで千日手に持ち込み、先手番を得た。

叡王戦の防衛を果たした藤井聡太叡王
叡王戦の防衛を果たした藤井聡太叡王

指し直し局はまたも菅井の三間飛車から、今度は相穴熊へ。藤井がペースをつかんでいたように見えたが、気が付くと苦しい局面に。だが、藤井も必死の食い付きを見せて、またも千日手になった。
 
さらなる指し直し局は三間飛車の相穴熊へ。飛車交換から互いにと金で削り合う展開となるが、気が付けば藤井が形勢をリードしていた。端攻めの勝負手も的確な対応を見せて、最後は一気の即詰みに打ち取った。これで五番勝負は3勝1敗となり、叡王戦では3連覇を果たした。

第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の挑戦者は佐々木大地七段(2勝2敗)に決定。タイトル戦では顔合わせとなる。第1局は6月5日に行われる。ベトナム対局で、藤井が海外で対局するのは初だ。
 
伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負の挑戦者は佐々木大地七段に。棋聖戦と合わせてダブルタイトル戦となった。第1局は7月7日(金)、8日(土)に行われる。
 
第73回NHK杯将棋トーナメントの組み合わせが発表。藤井は2回戦で出口若武六段(7勝1敗)と対戦する。
 
第44回将棋日本シリーズJTプロ公式戦の組み合わせが発表。シードの藤井は2回戦で斎藤慎太郎八段─菅井竜也八段戦の勝者と対戦する。対局は9月9日(土)の予定。

ABEMAトーナメント2023はリーダーとして澤田真吾七段、齊藤裕也四段を指名。予選はEリーグに登場し、チーム渡辺(渡辺明名人、佐々木勇気八段、岡部怜央四段)、チーム千田(千田翔太七段、西田拓也五段、藤本渚四段)と予選通過を争う。

文=渡部壮大

放送情報

第71期 ALSOK杯王将戦 七番勝負 第1局 渡辺 明王将 vs 藤井聡太竜王
放送日時:6月25日(日)16:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます