堺雅人、冤罪の逃亡犯として逃げ回る!竹内結子の柔和な雰囲気も魅力的な伊坂幸太郎原作の映画「ゴールデンスランバー」
2023.5.10(水)
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人気ミステリー作家・伊坂幸太郎による同名小説を映画化した「ゴールデンスランバー」(2010年)。2007年に発表された原作は、2008年に本屋大賞と山本周五郎賞を受賞し、ベストセラーとなった。「アヒルと鴨のコインロッカー」(2007年)、「フィッシュストーリー」(2009年)など数多くの伊坂作品が映像化されてきたが、本作の映画化にあたっては前述の2作を担当した中村義洋が監督を務めた。
平凡な30歳の独身男性・青柳は、仙台市内で宅配便のドライバーをしている。現地で総理大臣がパレードを行なう日に、大学時代の同級生・森田に呼び出されて、逃げるよう警告される。その直後に首相が殺され、身に覚えのないまま見えない巨大な力によって犯人に仕立てられていく。厳戒な警備網が敷かれた仙台市内を2日間にわたって逃げ続ける青柳。元恋人で大学時代のサークル仲間でもある晴子は報道に驚き、かつての仲間たちに連絡を取ろうとする。生きるために逃げる青柳の逃亡劇を軸に、彼の人生に関ってきた人々がさまざまな距離感で描かれる、見応えあるサスペンスに仕上がった。
主人公の青柳には、堺雅人が抜擢された。当時の堺は、2004年NHK大河ドラマ「新選組!」で穏やかな微笑みと知性あふれる山南敬助を演じて広く認知され、2008年NHK大河ドラマ「篤姫」で宮﨑あおい演じる主人公・篤姫の夫である徳川家定役も人気に。同年にブルーリボン賞助演男優賞など助演男優賞を総なめにするほど、その好演は高く評価された。続くサスペンスコメディ「アフタースクール」(2008年) や、主演映画「南極料理人」(2009年)でのほっこりと癒されるユーモラスな役柄も好評を博した。犯人に仕立てられた無実の男の大逃亡劇を描く本作では、大きな陰謀に巻き込まれていく青柳を実に普通の男らしく演じた。お人好しそうな表情で呑気に再会を喜んでいたのも束の間、突然の展開に驚き戸惑いながら逃亡せざるを得なくなる。過去を塗り替えられ追い詰められていく中、かつての仲間たちとの信頼という唯一にして最大の武器を手に一世一代の勝負に出る。人に騙され振り回され、驚いたり泣いたり、近年ではあまり見ない堺の表情も見ものだ。
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(C)2010「ゴールデンスランバー」製作委員会
逃亡劇の途中で彼を支えるのが、竹内結子演じる樋口晴子、吉岡秀隆演じる森田森吾、劇団ひとり演じる小野一夫ら、かつての仲間たちだ。中でも晴子演じた竹内の存在感は大きい。青柳の元恋人で今は別の男性と結婚した一児の母となった晴子だが、窮地に陥った青柳を信じて逃亡の手助けをする。車に残したメッセージをはじめ、ところどころに残されるサインからは、竹内のぬくもりのある柔らかな声が聞こえてくるようだ。ちょっと呆れたような、からかうような愛らしい表情。青柳という人間をきちんと知っている晴子が味方でいてくれることが心強い。回想シーンでの大学時代の恋人らしいやりとりも微笑ましく、前年2009年の映画『ジェネラル・ルージュの凱旋』でも共演している2人が息のあった演技を披露した。
近年は、2012年からの「リーガル・ハイ」シリーズや、2013年・2020年の「半沢直樹」シリーズなどのイメージが強い堺。物語を牽引していく癖のある強気なキャラクターゆえに、鮮烈なインパクトを残している。しかし、それ以前の堺による周りに振り回され困惑する"普通の人"も、絶妙で非常に良い。癖のない人物も違和感なく体現する、さすが演技派と納得の演技だ。今作では、どこか哀愁漂う穏やかな笑みを浮かべているような表情で、青柳の喜怒哀楽を表現してみせた。堺が演じると、なぜか青柳を助けてしまいたくなる気持ちが分かる気がした。
文=中川菜都美
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