キム・ジョンヒョンが体現する「どん底からの再生」に涙...！「愛の不時着」とはまた違った「影のある表情」に引き込まれる

2023.4.21(金)

3月24日に韓国で最終回を迎えた主演ドラマ「コクドゥの季節(原題)」が大きな注目を集めたキム・ジョンヒョン。"死神"と"医師"という1人2役へのチャレンジはもとより、前作「哲仁王后(チョルインワンフ)～俺がクイーン！？～」(2020年)から約2年ぶりのドラマ復帰だったこともあり、その変貌ぶりも話題となった。

それ以前のジョンヒョンと言えば、大ブレイクのきっかけとなった「愛の不時着」(2019年)での実業家ク・スンジュン役が真っ先に思い浮かぶ。詐欺師でありながらどこか憎めないスンジュンに魅了された人も多かったはずだ。

影を帯びた表情が似合うジョンヒョンではあるが、その魅力が存分に発揮された注目作といえるのが、2018年に放送されたドラマ「時間」だ。

4月26日(水)より女性チャンネル♪LaLa TVにてノーカット字幕版が放送される「時間」は、少女時代の最年少メンバー・ソヒョンとの共演も注目を集めたラブサスペンス。病で余命半年と宣告された財閥の御曹司・スホ(ジョンヒョン)と、愛する妹を亡くし時が止まってしまったヒロイン・ジヒョン(ソヒョン)が出会い、運命的に惹かれ合う様子が描かれる。

ジョンヒョン演じるスホは、従業員を怒鳴りつけ、理不尽に謝罪させるなど、序盤では傍若無人でわがままなキャラクターとして登場する。愛人の子として冷たい視線に晒され続けた揚げ句、母の死を目の当たりにするというハードな少年時代を送ってきた寂しい人物だ。

そんなスホの人生に訪れる最初の大きな転機が、1話でいきなり描かれる脳腫瘍による余命宣告。生きる目的も考えず、ただただ自分以外の全てを憎みながら生きてきたスホは、突然言い渡された"余命半年"という事実を受け入れることができず、さらに荒れ狂う。

そんなスホはある日、酔ってホテルの一室で目覚めると、室内のプールで若い女性の水死体を発見する。その事件を発端に、彼に遺された"時間"は大きく様変わりしていく。

亡くなったのは、スホが怒りに任せて怒鳴りつけたデパートの案内嬢・ジヒョンの愛する妹、ジウンだった。過酷な少年時代を送り、人に親切にするすべを知らずに生きてきたスホは、妹の死の真相を知りたいと訴えるジヒョンを一度は拒絶する。

だが、絶望の中でもスホに感謝の言葉を述べるジヒョンの心の美しさに、スホは次第に惹かれていく。自分に遺された人生はたったの半年。打ちひしがれるジヒョンから目が離せないでいるうち、スホは"自分ができることは何か"を自問し始める。

そして、自ら命を絶とうとするジヒョンを止めるため、自分の言葉で一生懸命語りかける。一筋の涙をこぼし「死ぬなら死ねばいい。生きると決めたら、幸せになろう。不幸はイヤだろ？ 安心しろ。死を覚悟したなら、一緒に飛び降りよう」と穏やかに語るスホ。初めて芽生えた「人は幸せになるために生きるんだ」という思いが、特別な意味を持ちはじめ、やがてスホ自身にも勇気をもたらしていくのだ。

「俺に何かできるか？」...そうぎこちなくジヒョンに手を差し伸べ、「死ぬ前にやることができた」と最初で最後の"使命"に向き合うスホ。他人のために初めて真剣になって全力疾走する姿は、序盤とは別人のよう。愛することも愛されることも知らずに生きてきたスホの"再生"を、ジョンヒョンが丁寧に演じている。

約5年前のドラマではあるが、その後に「愛の不時着」「哲仁王后」という大ヒットを経て、「コクドゥの季節」でも優れた演技力を証明してみせた今、改めて振り返ってみたい注目作といえそうだ。

文＝酒寄美智子

• 「哲仁王后」以来となるキム・ジョンヒョンの復帰作！「愛の不時着」とはまた違った現代ロマンス「コクドゥの季節」で見せた1人2役
• キム・ジョンヒョン演じる王様とは好対照！ナ・イヌが「哲仁王后」で体現する想い人への「深い献身」
• 「愛の不時着」「哲仁王后」のキム・ジョンヒョン、実年齢10歳差の高校生もハマリ役！