「キル・ボクスン」が話題の女優チョン・ドヨン、ソン・ガンホやコン・ユ、ペ・ヨンジュンらとの体当たり演技も評判の華やかなフィルモグラフィー

2023.4.14(金)

これまで数多くの国内外の映画賞を受賞し、韓国を代表する映画女優として君臨するチョン・ドヨン。最新主演作「キル・ボクスン」での"伝説の女殺し屋"が強烈なインパクトを放っている彼女だが、今年の2月には50歳という人生の節目を迎えたばかり。妖艶なまでの美しさは年齢を重ねるごとに増しており、貫禄や気高さまでが加わった今、より一層の輝きを放っている。

2023年1月には、ソン・ガンホ＆イ・ビョンホンという2大スターにも引けを取らない熱演を見せた映画「非常宣言」が日本で公開。さらに3月31日に世界配信された前述の「キル・ボクスン」でも、組織のボスを演じる名優ソル・ギョングと重量級の演技合戦を繰り広げており、相次ぐ話題作で活躍の場を広げている。

■ソン・ガンホ、コン・ユ、イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミン、ペ・ヨンジュン...名だたるスター俳優とタッグを組んできたフィルモグラフィー

チョン・ドヨンの代表作といえば真っ先に頭に浮かぶ「シークレット・サンシャイン」(2007年)では、最愛の息子の命を奪われ心が崩壊したシングルマザーを熱演。ソン・ガンホ演じる見守ることしかできない不器用な男との交流から微かな希望を見出していく様を演じ切り、その入魂の演技により「第60回カンヌ映画祭」の主演女優賞に輝いた。

他にも、チョン・ドヨンがこれまでに体当たりの熱演を見せてきた"相手役"は、名実ともに韓国を代表するスター俳優ばかり。

禁断のＷ不倫へと溺れる男女関係を描いた「男と女」(2016年)ではコン・ユとの共演で、抗えない恋の激しさを体現。「イカゲーム」のイ・ジョンジェと濃厚なラブシーンが話題となった「ハウスメイド」(2010年)や、名優ファン・ジョンミンと共に純情な恋模様を表現した「ユア・マイ・サンシャイン」(2005年)、ペ・ヨンジュン扮する稀代のプレイボーイに弄ばれる女性を演じた「スキャンダル」(2003年)...。

錚々たる実力派俳優たちとの共演で、妖艶な魅力を放ち、その強烈な存在感をスクリーンに焼き付けてきた。

■オスカー女優、ユン・ヨジョンとも共演！「藁にもすがる獣たち」で見せた強烈な存在感

4月20日(木)にKNTVにて放送される「藁にもすがる獣たち」(2020年)もまた、第一次韓流ブームを代表する大ヒット映画「私の頭の中の消しゴム」(2004年)のチョン・ウソンとの共演を果たした1作。曽根圭介の小説を韓国で映画化した本作は、借金や事業の失敗といったさまざまな事情を抱える人々が、大金を巡ってぶつかり合う様子を描いたクライムサスペンスだ。

ドヨンは暗い過去を清算し、新たな人生を夢見るキャバクラ社長・ヨンヒを演じており、面倒を起こす客の元へと出向く登場シーンからは、背中越しにも関わらず、貫禄を漂わせた後ろ姿と歩き方で大物感を演出。客からビンタを喰らわされれば躊躇なく殴り返す一幕では、余裕に満ちた微笑みの中に一瞬、かすかに野蛮な顔を覗かせ、狂気を孕んだキャラクター像を巧みに表現している。

また、元恋人のテヨン(ウソン)の前に突如現れたかと思えば、絶妙な色っぽさを湛えながら、過去に借金を押し付けたことを謝罪。テヨンのバックハグに対して、何とも言えない複雑な顔つきを浮かべるなど、女のしたたかさと不敵さをムンムンに漂わせた独特の"圧"が凄みを感じさせる。

「暴力的な男性たちの中で、したたかにうまく立ち回るキャラクターを演じるよう心がけました。これまでにない違った一面の私が見れると思います」と、自身の役作りを明かしたドヨン。その言葉通り、他人を巧みに操り大金と新たな人生を手に入れようとする野心的な表情が印象的だ。

そんなヨンヒの借金の保証人になったことから大金が必要になる出入国審査官・テヨンを演じたウソンも、優柔不断で受け身なキャラクターという、人間味に溢れた新境地を開拓。時に借金相手に媚び、時には慌てふためき、追い込まれるうちに激昂する...。頼りになる落ち着いた大人の男性といったイメージの強いウソンだけに、感情を爆発させ、どこか滑稽で狡猾なキャラクターが新鮮に映る。

加えて、「ミナリ」(2020年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したことも記憶に新しいユン・ヨジョンも、物語のカギを握るジュンマン(ペ・ソンウ)の認知症を患った母・スンジャ役として出演。クライマックスでは自らアクションもこなすなど、俳優としての気骨を見せている。抜群の存在感を放つチョン・ドヨンのみならず、そうした実力派たちによるアンサンブルが生み出す、予測不能のサスペンス劇は見応え抜群だ。

年齢を重ねながら挑戦的な役にも挑むことで新たな魅力を獲得し、俳優として進化し続けるチョン・ドヨン。そんな彼女の姿勢が色濃く出た「藁にもすがる獣たち」からは、世界に名を轟かす実力の高さを存分に堪能できるはずだ。

文＝HOMINIS編集部

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