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上川隆也が20数年にわたり、事件の謎を追う!20代から50代までの姿を1人でこなす演技力に脱帽のドラマ「テミスの剣」

2023.3.14(火)

ベストセラー作家・中山七里の同名小説を上川隆也の主演で映像化したドラマ「テミスの剣」。上川隆也が20数年にわたって事件の謎を追い続ける孤高の刑事を演じ、どんでん返しのミステリーでありながら重厚な緊張感が全編にわたって満ちているヒューマンサスペンスだ。

(c)テレビ東京

先輩刑事と共に強盗殺人事件の捜査を担当することになった若手刑事の渡瀬(上川隆也)。死刑判決を言い渡された犯人は不当な取り調べがあったとして控訴審を起こすが、最高裁はその訴えを退けて死刑が確定し、先輩刑事の容疑者に対する暴行を止められなかった渡瀬は深い罪悪感にさいなまれる。それから4年後、ある事件を通じて4年前の強盗殺人事件に対する疑念を抱いた渡瀬は、真相に迫るとともに汚点を隠そうとする警察組織の闇にも立ち向かうことになる。

物語の主人公である孤高の刑事・渡瀬は、鋼のような意志を持つ人物だ。原作小説を読んだプロデューサーの松本拓氏は、「この作品の主人公は、上川さん以外いない!」と確信し、何度もオファーしたという。ひとつ注目すべきは、上川隆也が主人公である渡瀬の20代から50代までの姿を1人で演じているという点だ。上川自身もこの点はオファーを受けた際に懸念したと語っているが、威圧的な先輩刑事の横で組織に従うしかない無力感を噛みしめる新人の姿から、自分だけの軸を見つけ正義を追求するベテラン刑事の風格まで、どの姿も説得力に満ちていたのは実力派俳優のなせる技と言えるだろう。

(c)テレビ東京

渡瀬の行動を一言で表現するなら、理不尽との戦いだ。自白を引き出すためなら暴行もいとわない先輩刑事、警察の汚点を隠して正義よりも組織を守ろうとする同僚たち...渡瀬は真実を追い求める正義のヒーローでありながら、その表情は決して明るくなることはない。上川の張り詰めた瞳や自責の念にかられながら絞り出す声からは、渡瀬に課せられてしまった"枷"の重みが痛いほどに伝わってくる。「私はどうすればいいのでしょうか」と震える声で問う渡瀬のセリフが印象的だが、正義なき世界の正義の味方は、渡瀬のような姿をしているのかもしれない。

(c)テレビ東京

そして、渡瀬が尊敬する検事役を演じる船越英一郎、渡瀬とパートナーを組むベテラン刑事役の高橋克実、事件の容疑者の父役を演じる伊東四朗といったキャストたちが、二重三重に入り組んだサスペンスに確かな重厚感を与える。正しいことが見えづらい世の中で日本の司法制度にメスを入れながら、正義とは何かを考えさせてくれる作品だ。

文=本永真里奈

放送情報

テミスの剣
放送日時:2023年4月11日(火) 11:00~13:00
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります