工藤静香の俳優・アイドルの両面を楽しめる、ちょっと不思議な映画「未来の想い出 Last Christmas」
2025.3.28(金)

アイドルとして活躍していた工藤静香が、「君が嘘をついた」(1988年)や「世界で一番君が好き!You are my favorite in the world」(1990年共にフジテレビ系)といったトレンディドラマに出演して一躍俳優としても注目を集めていた1992年に清水美砂とW主演した映画「未来の想い出 Last Christmas」が4月14日(月)に日本映画専門チャンネルで放送される。藤子・F・不二雄による「未来の想い出」という漫画をもとにした少し不思議なタイムリープ映画で、森田芳光が監督を務め話題を呼んだ。
物語は1991年のクリスマスイブ。偶然出会った売れない漫画家の納戸遊子(清水美砂)と、幸せとは言えない結婚生活を送る金江銀子(工藤静香)。連絡先を交換して別れるものの、翌日、出版社主催のゴルフコンペに出席した遊子は急死。また彼女の葬儀に参列した銀子も帰宅途中に不思議な力により亡くなってしまう。
死んでしまったはずの遊子だったが気がつくと1981年に。驚きつつもこれまでの記憶をフル活用し、未来でヒットしている作品のアイデアを引用して売れっ子漫画家になることを決意。順調に人生が進み始める中、アイデアの盗用をほのめかす脅迫状が届く。遊子が1人会いに行くとそこには銀子がいて、久しぶりの再会を喜び合う。
タイムリープを生かして自分が目指す人生を歩もうと模索する2人の女性。不思議な力と友情に結ばれた彼女たちは、遡った10年を思いっ切り過ごしていく。しかし2回目の人生も上手くいかず、まさかの3回目の人生が待っていて...。

工藤が演じた銀子は、1回目の人生では証券会社に勤める夫・行男(宮川一朗太)に虐げられながらも、いつかは1人で何かができるようになりたいと臨んでいる女性。そのため2回目の人生では行男とは結婚せず、独身時代に気になっていたデザイナーの卵のタキオ(デビット伊東)と付き合いつつも、自立した1人の女性として、投資アドバイザーになり活躍。一気にキャリアウーマンに変身している。
中身は同じだが歩んだ人生により異なって見える1回目と2回目の銀子。その違いを、工藤は2回目では元々持っていた勝ち気さを大きめに出すなど見事に表現している。とくに2回目の人生は仕事に生きると決意している雰囲気が漂っており、甘いボイスと相まってかなり魅力的な女性として存在している。
そして見逃せないのが表情の変化。順風満帆のように見える人生だが、実はからくりがあることを知っている本人。未来が見えてしまっていることによる刹那的な表情は、見る者に訴えかける。中でもまさかの3回目の人生を歩むことになった彼女の時折見せる不安げな表情はなんとも切ない気持ちにさせてくる。
そんな彼女の演技はもちろんのこと、ファッションやメイクの違いも楽しめるのが本作。1981年からの10年間が描かれるため、オリーブ少女的な衣装からバブル期まっただ中の派手なボディコン姿、DCブランドに身を包んだ姿など、ファッションショーのようにいろいろな姿を披露。アイドル・工藤静香の魅力も詰まっている。
工藤の演技はもちろんのこと、清水美砂演じる遊子との友情や原作者の藤子・F・不二雄や赤塚不二夫、石ノ森章太郎といった漫画家のカメオ出演など、釘づけにする魅力があふれている本作。工藤静香きっかけで一度見てみてはいかが?
文=玉置晴子
放送情報【スカパー!】
未来の想い出 Last Christmas
放送日時:4月14日(月)22:10~
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります