山下美月が明かす、乃木坂46卒業後の変化 初共演となった作間龍斗の印象も
2025.3.27(木)

山下美月が作間龍斗とW主演を務める映画『山田くんとLv999の恋をする』が、3月28日に公開される。本作は、累計発行部数600万部を突破する同名漫画を実写化した作品で、彼氏に振られたばかりの大学生・茜が、ネトゲで出会った超塩対応の高校生プロゲーマー・山田と最悪の出会いから次第に距離を縮めていくラブストーリー。今回は茜を演じる山下にインタビュー。乃木坂46卒業後初の映画主演となる本作の魅力や初共演となる作間の印象、2025年の決意などを語ってもらった。

――まずは映画出演が決まった時の心境を聞かせてください
「たくさんの方に愛されている作品に自分が主演として参加させていただけることにまずは驚きました。私自身、ザ・ラブコメな映画に出演するのは初めての挑戦だったので、その部分でも夢がかなったような気持ちでとても嬉しいですし、プレッシャーを感じつつも、楽しみな気持ちが大きかったです」
――本作への出演が決まる前から原作やアニメは見ていたのでしょうか?
「いろいろなところで耳にする作品ですし、原作は以前から読んでいました。それこそ『次にくるマンガ大賞』にランクインしていたり、ネットニュースで取り上げられているのを見たこともあったので、自分が出演できるなんて夢のようでした」
――山下さんは漫画もお好きなんですよね
「そうなんです。かなり少女漫画が好きで、移動中によくスマホのアプリで少女漫画を読んだりしています(笑)。特に人気の作品はチェックするようにしています」
――演じられた木之下茜についてどんな印象を受けましたか?
「自分がずっと見ていたラブコメ映画って、どちらかと言うと平成っぽい感じがあって。でも、この作品はベタな展開よりも、日常の中にある物語が描かれていて、より今っぽい、令和のラブコメだなと思いました。私が演じる茜ちゃんも普通の女の子で、大学生という設定なんです。もし近所に茜ちゃんがいたら、同性の私でもキュンとしちゃうような子。明るくて誰にでも優しく、コミュニケーション能力も高いけど、感情の起伏がちょっと激しい部分もあって。泣いたり笑ったり怒ったりするその姿がすごく可愛らしくて、愛おしいキャラクターだと思いました」
――これまで山下さんが演じてきたキャラクターはあざとい役柄が多かったですが、今回もそういった一面もありつつ、すごく喜怒哀楽がある人物ですよね
「表情やコミカルな動きで感情豊かに表現するのは、元々自分がそういった芝居が好きなので、楽しく演じられたのですが、茜ちゃんの温かさを表現する部分については、監督と話し合いをさせていただきながら、どのように表現するかを大切にしました。最近は自分の実年齢より上のキャラクターを演じることが多く、実年齢より下のキャラクターを演じるのは久しぶりでした。茜ちゃんは包容力がありつつ、年相応の可愛らしさも持っているキャラクターですし、山田や瑠奈ちゃんといったキャラクターの前では、お姉さん的な部分も出てくるので、自分の実年齢より若く見せたいと思いつつも、包容力やお姉さん感をしっかり残すことが課題だと感じたので、そこは意識しました」

――そのバランス感覚は大切にされたんですね
「そうですね。作品の中で年齢設定をどうするかって、どの作品でも難しい部分です。自分より年上のキャラクターや、若い高校生役を演じるのは難しいので、その点を意識して演じました」
――ちなみに、年上と年下だとどちらが演じやすいのでしょうか?
「私はどちらかと言うと上ですね。10代の頃からこの仕事をさせていただいていたので、同世代の人と関わることよりも、むしろ大人の方々と一緒にお仕事をする機会が多かったんです。撮影現場でもプロの方々の中でお仕事をしてきたので、大人としての立ち振舞いをする方がやりやすいです。なので、今は逆に若々しさを出すのが少し難しくなってきていて、ちょっと若作りしないといけないなと感じています(笑)」
――山下さんの年齢だとすごく微妙なラインですよね(笑)
「そうなんです(笑)。ちょうど学生役を卒業する年齢ですし、かと言ってまだ先生役というほど大人ではなく、大人と子供の狭間にいる感じです」

――原作がある作品とオリジナル作品だと、演じる上でアプローチの違いはありますか?
「原作がある作品のプレッシャーは特に大きく。オリジナルの作品だと、もちろん脚本家さんやプロデューサーさん、監督が作ってくださっているものではあるのですが、自分も一緒にキャラクターを1から作り上げることができるんです。ですが、原作がある作品の場合、まず原作の先生が作り上げられたものをベースとするため、その意向を第一に尊重したいという思いが強いです。『山田くんとLv999の恋をする」の原作のましろ先生とは、すべてリモートでのやり取りでしたので、プロデューサーさんや監督を通してのご確認も多かったです。先生に認めていただける作品を作らなければという気持ちはすごく強かったです」
――原作のキャラクターを映像に落とし込むという作業はとても大変ですよね
「原作やアニメで描かれている茜らしさを、現実の生身の人間が演じる際に、どうしても違和感が出てしまう部分があって。原作ではこうしていたけれど、実際に映像でそれを再現すると少し不自然に見えてしまう部分をどうやってうまく表現するかが課題でした。でも、行動の意図を変えたくはなかったので、原作のイメージを損なわないようにという部分を特に意識しました」

――今回初共演となった作間龍斗さんの印象はいかがでしたか?
「お会いする前は、『クールで無口な方かな?』と思っていたのですが、実際に現場でご一緒してみると、全然そんなことはなくて、すごく気さくな方でした。だんだんと『この方、ちょっと変な人かもしれない』と思えるようになったりもして(笑)。でも、アイドルとしての本職をしっかりこなしていらっしゃるので、まさにプロのお仕事だなと感じました。撮影が進むにつれて、変な一面がある反面、良い意味で非常に普通の感覚を持っている方だとも感じて。アイドルの方々ってステージに立ってキラキラして、多くのファンに応援される中で、少し普通の感覚が希薄になることもあると思うのですが、作間さんにはそのような空気感は一切感じられませんでした。すべてが良い意味で普通の感覚を持っている方だと思って、その点がすごく役者っぽいなとも思いました」

――山下さんは乃木坂46を卒業してからもう半年が経ちましたが、ソロ活動を始めたばかりの頃と今とでは心境の変化はありますか?
「正直なところ、ここまで流れるように進んできたという気持ちの方が大きくて。今後どうしていこうとか、こうなりたいという目標を考える時間があまりなかったというか、良い意味で、とにかく今を一生懸命やらなきゃという気持ちで、いただいているお仕事を必死に頑張ってきたという感じです。でも、それが辛いとか、グループ時代に比べて大変になったということは全くなくて、いい意味で変わらずに来られたなと思っています」
――最初はさみしい気持ちもありましたか?
「...どうなんだろう(笑)。でも、卒業した直後は解放感もありました。それはアイドルが嫌だったわけでは全くなくて、むしろ自分で初めて人生の中で全力で頑張りきれたという達成感があったので、その意味ですごくスッキリした感覚でした」
――2025年の目標はありますか?
「この『山田くんとLv999の恋をする』の公開や、1月からは『御曹司に恋はムズすぎる』にも出演させていただけて、卒業して今ようやく半年が過ぎて、色々なことがまた動き始める時期だなと感じているので、一つひとつ丁寧にやっていきたいという気持ちがあります」

取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI