「チ。 ―地球の運動について―」アルベルト役の石毛翔弥が語る、好奇心が刺激される瞬間とは?「この仕事が僕にとっての命を懸けるもの」
2025.3.14(金)

TVアニメ「チ。 ―地球の運動について―」がクライマックスを迎えている。第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞など数々の賞を席巻した作家・魚豊による本作は、地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語だ。
その重要な局面となる第23話から登場するのが、淡々とした口調でありながら内に秘めた思いを抱える男・アルベルトだ。このアルベルトを演じるのは、確かな演技力と繊細な表現で注目を集める石毛翔弥。彼は一度オーディションに落選しながらも、再び巡ってきたチャンスを掴み、アルベルト役を手にした。オーディションへの挑戦、作品への思い、そして自身の演技に込めた想いを聞いた。
――本作への出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください
「もう本当に月並みな表現ですが、端的に言って嬉しかったですね。実はアルベルト役のオーディションを受ける前に、1回目のオーディションを受けたことがあったんですけど、役を掴むことができなかったんです。そんな中で、再びアルベルトという役でチャンスをいただけたことは本当に嬉しかったですし、決定の報告をいただいたときは、心から喜びました」
――二度目のオーディションだったんですね
「そうなんです。アルベルトのオーディションはそれより少し後の時期に行われたようなのですが、僕が初めて原作に触れたのは最初のオーディションのときでした。原作を拝読して、作品の面白さはもちろんですが、『この世界観の中で演じるのはすごく楽しそうだな』と思っていたんです。ただ、1回目と違って2回目のオーディションのときには、すでにラファウをはじめとするキャストの方々が決まっていらしたので、嬉しさと同時にプレッシャーも感じました」
――オーディションに向けてはどのような準備をされたのでしょうか?
「1回目のオーディションを受けたときに、すでに作品はすべて読ませていただいていたので、アルベルトのオーディションに臨む際も、特別な役作りというよりは、改めて読み直して彼の心情を深く理解することに重点を置きました。アルベルトの持つ想いや感情を、ただ演じるのではなく、彼が本当に喋り、思いを吐露しているように感じてもらえるよう意識しながら、オーディションに臨みました」

――本作の物語についてはどのように感じましたか?
「ある種、『チ。』は時代背景や地動説に命をかけるというテーマから、歴史もののようにも感じられますが、それ以上に登場人物たちの熱い思いや人間臭さが強く描かれている作品だと思います。アニメ化されて実際に声がついたことで、その感情の厚みがさらに増して、より一層引き込まれるようになりました。ただ、物語が仰々しいものではなく、人が生きていく美しさや、出会いの尊さを感じられる作品だと捉えていたので、原作を読みながら、そしてアニメを追いながら、その魅力を改めて実感しましたね」
――アルベルトは淡々とした話し方が印象的です。演じるうえではどのように意識されましたか?
「アルベルト自体は物語の中で劇的に変化するわけではないんです。ただ、あるシーンで特定の人物との対話を通じて心情の変化が生まれて、過去にあったことを受け入れながら前に進むことができるようになっていくんです。でも、それって現実世界でもよくあることだと思っていて。だからこそ、アルベルトを演じる際に大切にしたのは、見ている人が彼の感情に突飛な印象を抱かずに、むしろ身近に感じてもらえるようにすることでした。アルベルトは、かつて自分が好きだったものに対して、ある出来事がきっかけで興味を失ったり、恐怖を感じたりしているんです。それは誰にでも起こり得ることですし、実際にそういう経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。そういう意味で、アルベルトの抱える感情や想いはとてもリアルですし、共感してもらえる部分があるのではないかと思っています。僕自身も、彼の心情に共感する部分が多かったので、そうした繊細な部分を意識しながら演じさせていただきました」

――アルベルトは物語が進んだ23話で初登場しますが、途中で物語に入るということに対する難しさはありましたか?
「いや〜もうそれは大いにありますね(笑)。しかも、収録現場にいたわけではないので、現場の温度感がわからない中での演技という難しさもあって。ただ、アルベルトが登場する章は、他の章とは少し毛色が違っていて、物語として地続きのようでありながら、ある意味ではそうではない。視聴者の想像によって補完できる余地が多い登場の仕方をしているので、そういう意味では『チ。』が作品全体を通して繋いでいく"バトン"の受け渡し方が、少し異なるように感じました。もちろんプレッシャーや緊張はありましたが、変に背負いすぎずに現場に入ることができたのかな、とは思います」
――今回アルベルトが登場したことで、個人の信念の物語から歴史が大きく動く物語へとスケールが広がっていきますよね
「第3章の最後でアントニがノヴァクたちに対して『君たちは歴史上の人物じゃない』と言う場面がありますよね。そこから、地動説の弾圧について、すべての責任をノヴァクに押し付けるわけではないけれど、彼の周囲でしか起こっていなかったことだという意味合いが込められている。その流れを受けてのアルベルトの登場なので、見る人の数だけさまざまな考察が生まれる章になっているのかなと感じます。それこそ、『こういうことだったのかな?』『いや、違うんじゃない?』『もしかしたらこうだったのかも』と、想像をどこまでも膨らませられるような、解釈の余地が多い章だと思いますね」

――本作は登場人物の好奇心に従って突き進んでいく側面がありますが、石毛さんはどんな時に好奇心が刺激されますか?
「僕にとっては、この仕事がそれにあたるかもしれません。高校時代に演劇科に所属していて、そこから劇団に入り、この仕事を始めました。それ以来、ずっとこの道のことだけを考えて今に至るので、そういう意味では、僕にとっての"命を懸けるもの"なのかなと思います。ラファウたちのように、本当に命を懸けてでも貫きたいという覚悟があるのかは正直わかりませんが、それでもこの仕事に情熱を注いできたことは間違いありません」
――石毛さんは普段から好奇心は旺盛なほうですか?
「僕はどちらかというと、初期のオクジーやアルベルトのような性質を持っていると思います(笑)。虚無というほどではないですが、その気質は多分に含んでいますね。もちろん、役を演じるときには、そのキャラクターが何を考えているのか、どんなことに精通しているのかを理解するために調べることがあります。でも、それがすべて自分の知識として深く身についているかというと、そういうわけではないですし、僕自身、演じること以外の部分では、非常に淡泊な性格だと思います(笑)。ただ、好奇心や興味の面で言うと、人の気持ちに関してはすごく繊細に感じる部分があるかもしれません。相手がどう考えているのかを敏感に察知するところは、自分の特徴の一つだと思います」
――石毛さんは本作を通して、視聴者の方にどのようなメッセージを感じてほしいですか?
「『チ。』という作品自体が、『命を懸けてでも成し遂げたいことがある』『やり遂げることがある幸せ』といったテーマを持っていると思うのですが、それと同じくらい大切なのが"出会い"だと僕は感じています。個人的に、この作品を通して一番強く心に響いたのが"出会い"の大切さ。もちろん、このテーマを押し付けがましく伝えたいわけではないのですが、日々の生活の中で、人は決して1人では生きていけないものですし、たとえ一期一会の出会いであっても、それが人生に大きな影響を与えることもあると思うんです。そういう意味で、出会いというのは本当に尊いものだと僕自身も改めて感じていますし、この作品を通じて、皆さんにも何かしら感じ取っていただけたら嬉しいなと思います」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
-
「チ。 ―地球の運動について―」アルベルト役の石毛翔弥が語る、好奇心が刺激される瞬間とは?「この仕事が僕にとっての命を懸けるもの」
提供元:HOMINIS3/14(金) -
青山なぎさにとっての「麻辣湯」はストレス発散?おすすめの食べ方も伝授!【#推シゴトーク】
提供元:HOMINIS10/23(水) -
乃木坂46・金川紗耶&田村真佑のマイブームを直撃!田村の"水飲み習慣"は賀喜遥香ファミリーのススメ【#推シゴトーク】
提供元:HOMINIS12/18(水) -
梶裕貴が推しについて語りつくす!?【#推シゴトーク】
提供元:HOMINIS1/13(月) -
駒田航&神尾晋一郎が推していることとは?【#推シゴトーク】
提供元:HOMINIS3/1(土)