『ウィキッド ふたりの魔女』吹替の海宝直人「エンターテイメントとメッセージ性のバランスが素晴らしい作品」
2025.3.6(木)

映画『ウィキッド ふたりの魔女』が3月7日(金)に公開される。
全世界で6,500万人以上の観客を魅了し、舞台で最も愛される傑作のひとつとして今も記録を更新し続けている「ウィキッド」は、名作小説「オズの魔法使い」で少女ドロシーがオズの国に迷い込むずっと前に遡り、この国で最も嫌われた"悪い魔女"と最も愛された"善い魔女"の過去をふたりの視点から描いた物語。
後の"悪い魔女"エルファバ役(シンシア・エリヴォ)の吹替を担当するのは、高畑充希、後の"善い魔女"グリンダ役(アリアナ・グランデ)の吹替には、清水美依紗。ウィンキー国の王子・フィエロ役(ジョナサン・ベイリー)を海宝直人が演じ、エルファバの妹・ネッサローズ役(マリッサ・ボーディ)を田村芽実が務める。
今回は海宝直人にインタビュー。舞台と映像作品との違いや吹替ならではの歌唱シーンへのアプローチについてなど語ってもらった。
――まずは、フィエロ役に決まった際のお気持ちをお聞かせください
「すごく嬉しかったです。『ウィキッド』は、トニー賞のパフォーマンスを見てから、ものすごく好きな作品でした。その後劇団四季が上演した『ウィキッド』を観たときには、1幕の『Defying Gravity』が終わったときに放心状態で動けず、そんな観劇体験はそのとき初めてで、ニューヨークにもロンドンにも見に行っていたんです。この映画化のお話もいち観客として楽しみだなという思いだったのですが、このように関わらせていただくことになって本当に夢みたいな話だと感じています」

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
――今回フィエロ役に臨む際に、どんな準備をされましたか?
「『ウィキッド』という作品の音楽や展開はもう体に染み込んでいたのですが、一旦それを忘れて、今回のこの作品に本当に初めて向き合うような感覚で向き合いたいなと思いました。新しい作品を望むような気持ちで向き合おうと思いました」
――役柄についてどのように受けとめましたか?
「ジョナサン・ベイリーさんの演じるフィエロは、冒頭は軽い王子で調子に乗っているような感じなのですが、でも彼の本質は誠実で、どこか寂しさみたいなものを抱えていて、自分の本質的な部分を理解してもらえないという諦めがあるからこその振る舞いなのではないかと思います。本編の中でも、エルファバから『幸せそうに見えないわ』という本質を突かれるシーンがありますが、心の奥底にある誠実さや繊細さがにじみ出ていて、そこが素晴らしいなと思います。ジョナサン・ベイリーさんが伝えるフィエロの思いをしっかり自分の声にのせて伝えられるようにしたいなと思いました」

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――フィエロに共感する部分はありましたか?
「自分に踏み込んできてくれる人に出会って、その人に惹かれていくということは、僕だけでなくいろんな方が経験があるんじゃないかなと思うので、その部分には1人の人間として共感できるなと思います」
――『ウィキッド』に登場する人物キャラクターの中で共感できるキャラクターはいましたか
「すごく生々しいというかリアルだなと思うのはネッサローズとフィエロの選択です。それがこの作品の肝にもなると思うのですが、一つ一つの思惑の掛け違いでどんどん思わぬ方向に進んでいってしまう部分の描き方がすごくリアルで共感します」
――フィエロといえば、やはり「ダンシング・スルー・ライフ」がかっこいいですが、本作の楽曲の中で他にお好きな曲はありますか
「本当に好きな曲だらけなのですが、今回この映画版になったことでよりすごく伝わってくるようになったなと思うのが「アイム・ノット・ザット・ガール」です。あのシーンの奥深さがすごく胸に刺さりました。本作の映像ならではの演出で、エルファバの思いを歌うのですが、エルファバの悲しみだけではなく、フィエロが持っている寂しさも同時に表現されていて、すごく素敵なシーンになっていると思います」

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

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――今回歌唱シーンもあったと思いますが、難しかったところはありますか
「自分が主戦場としている舞台とはまた違うアプローチが必要なものだというのはすごく感じました。普段は自分で咀嚼して自分の表現として歌うのですが、今回はジョナサン・ベイリーさんが元にあり、"フェイク(本来のメロディやリズムではない音を入れて歌うテクニック)"やその場で生まれたグルーヴがあるので、そこにぴったりと寄り添っていくのが難しかったです。フェイクは、本来100回やったら100回別のフェイクが出てくるようなものなので、その中の1回の偶発的に生まれるものをきちんとトレースして表現しなきゃいけないっていうのはすごく難しかったですが、やりがいのあるところでしたね」
――今回吹替にするにあたってミュージカル俳優としての数々の経験が活かされた部分はありましたか
「逆に、全く別の作業だなっていうのを改めてすごく感じましたね。なので自分自身のキャリアやこれまでやってきたものから出すというよりは、歌と歌唱とお芝居のそれぞれのディレクターさんや監督さんの導きのもと、その場でチャレンジしていくみたいな感覚の方が強かったです」
――監督さんとのコミュニケーションはどのようにとられましたか?
「完全に身を任せて、言っていただいたことにとにかく必死に食らいついていく感じでした。本当に繊細な違いを聞き分けていらっしゃるのでとにかくそこに付いていきました。言っていただいたのは、お芝居のことがすごく強かったのが印象的ですね。具体的な声の作り方というよりは、もっと内面的なバックグラウンドにあるものを出してほしいというニュアンス的なご指示が多かった印象です」

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
――海宝さんにとって音楽と演劇の魅力はどういうところにあると思いますか
「観る側としては、音楽と演劇は生きることそのものだなと思います。自分自身もつらいときとか苦しいときに、音楽や演劇に前に進む力をもらってきたのでそこが魅力だなと思います。俳優としては、特にお芝居やミュージカルだと同じシーンでやっている俳優同士で繋がれる瞬間、マジカルなことが起きる瞬間があるんです。その場でみんながキャッチボールをしていく中で、その瞬間にしか湧きあがらない感情やその場だからこそ出てきた思いに出会えることっていうのが一番の魅力ですね」
――『ウィキッド ふたりの魔女』を通して伝えたいメッセージをお願いします
「是非、見ていただきたいなと思います。エンターテイメントとして超一級で、音楽、演出、映像も素晴らしいし、それぞれのお芝居も歌も素晴らしいので、何も考えずに見ていただいて、楽しんでいただけると思います。そのなかで、人生の中で誰もが経験する喪失や不条理なことを包み隠さずにしっかりと描いて問いかけてくれますし、エンターテイメントとメッセージ性のバランスが素晴らしい作品が『ウィキッド ふたりの魔女』だなと思います。それぞれ共感するキャラクターもご自身の人生のステージによって違うと思いますし、世代ごとにそれぞれ感じることがあると思います。絶対に素晴らしい体験になることを保証しますので、是非見に来てください!」

文=HOMINIS編集部
映画情報
『ウィキッド ふたりの魔女』
3月7日(金)より、全国ロードショー!
(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
配給:東宝東和
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、ボーウェン・ヤン、ピーター・ディンクレイジ with ミシェル・ヨー and ジェフ・ゴールドブラム
監督:ジョン・M・チュウ(『クレイジー・リッチ!』『イン・ザ・ハイツ』)
製作:マーク・プラット(『ラ・ラ・ランド』『リトル・マーメイド』)、デイヴィッド・ストーン(「ウィキッド」)
脚本:ウィニー・ホルツマン
原作:ミュージカル劇「ウィキッド」/作詞・作曲:スティーヴン・シュワルツ、脚本:ウィニー・ホルツマン
日本語吹替版キャスト:高畑充希、清水美依紗、海宝直人、田村芽実、入野自由、kemio、ゆりやんレトリィバァ、塩田朋子、大塚芳忠、山寺宏一、武内駿輔ほか
日本語吹替版スタッフ:三間雅文(台詞演出)、蔦谷好位置(音楽プロデューサー)、高城奈月子(歌唱指導)、吉田華奈(歌唱指導)
公式サイト:https://wicked-movie.jp/
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