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『ウィキッド ふたりの魔女』吹替の田村芽実「エルファバが目指すような未来がこの世界にも訪れたら」

2025.3.5(水)

エルファバの妹・ネッサローズの吹替をした田村芽実
エルファバの妹・ネッサローズの吹替をした田村芽実

映画『ウィキッド ふたりの魔女』が3月7日(金)に公開される。

全世界で6,500万人以上の観客を魅了し、舞台で最も愛される傑作のひとつとして今も記録を更新し続けている「ウィキッド」は、名作小説「オズの魔法使い」で少女ドロシーがオズの国に迷い込むずっと前に遡り、この国で最も嫌われた"悪い魔女"と最も愛された"善い魔女"の過去をふたりの視点から描いた物語。

後の"悪い魔女"エルファバ役(シンシア・エリヴォ)の吹替を担当するのは、高畑充希、後の"善い魔女"グリンダ役(アリアナ・グランデ)の吹替には、清水美依紗。ウィンキー国の王子・フィエロ役(ジョナサン・ベイリー)を海宝直人が演じ、エルファバの妹・ネッサローズ役(マリッサ・ボーディ)を田村芽実が務める。

今回は田村芽実にインタビュー。『ウィキッド』がミュージカル俳優を目指そうと思ったきっかけのひとつだと語る田村に舞台や映像作品と吹替の違いや役柄について語ってもらった。

――ネッサローズ役に決まったときのお気持ちを教えてください

「この作品が大好きなので携われることが嬉しかったです。また、吹替などの声のお仕事にずっと興味があったので、そういった部分でもすごく嬉しかったです。ミュージカルでこの作品に参加するのもきっと嬉しいと思うのですが、初めて声の現場に行けるということも、とても楽しみでした」

田村芽実が吹替を務めるネッサローズ(マリッサ・ボーディ)
田村芽実が吹替を務めるネッサローズ(マリッサ・ボーディ)

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

――声優としてこの作品に挑むときにどんな準備をされましたか?

「声優として初心者で口を映像と合わせるなど初歩的なことからわからなかったので、まず自分が準備できることはやろうと思いました。"何秒にこのセリフ"というのを全部頭に入れて、ほぼセリフを覚えるように挑みました。心の部分では、演じている方の心情、吐息をの出し方まで考えながら挑みました」

――ご自身の役柄・ネッサローズについてどのように受け止められましたか?

「ネッサローズは、真面目でいい子というイメージがあると思うのですが、彼女自身はそれまで"そうせざるを得なかった"子だと思います。車いすで誰かの手を借りながらでないと生きてくことができず、自分の意見を言うことが許されないような人生を生きていたと思うのですが、映画の中では1人で大学に入ることで親から自立するところからスタートします。そんな中でも唯一心を許して、本当の自分でいられるのが唯一お姉ちゃんのエルファバとの関係だと思います。2人には普通の姉妹以上の制約があるからこその普通の姉妹以上の関係性というのがあると思いますし、ネッサローズは強い信念を持った女性なんだろうと思っています」

田村芽実が吹替を担当したネッサローズと、高畑充希が吹替を担当したエルファバ
田村芽実が吹替を担当したネッサローズと、高畑充希が吹替を担当したエルファバ

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

――ネッサローズに共感できる部分はありましたか

「私は自由奔放に生きてきたタイプなのですが、ネッサローズにもしハンデがなければきっと私と同じように自由奔放なタイプの女の子だったんだろうと思います。私も実際に2人姉妹の妹なので、そういったところは通じるかなとは思います」

――この役を演じるにあたって、どういうところを意識しましたか?

「ネッサローズはずっと車椅子に乗っているのでアフレコも実際に座って収録したんです。立って声をだすと足や腰に力が入るのですが、座っているとそこに力が込められず足の付け根やお腹に力を入れて声をだしました。そういった意識を持ちながらやることによって外側からネッサローズに近づけたのかなと感じています」

映画『ウィキッド ふたりの魔女』

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

――ウィキッドに登場するキャラクターの中で共感できるキャラクターはいますか

「『ウィキッド』が人気作である理由の1つは、主役の2人が全く違う道を歩んで、全く違う選択をしているのにも関わらず、どっちにも共感できるというところだと思います。私が若かった頃は、エルファバだけに共感して心を突き動かされていたのですが、改めて今回この映画を見たときにグリンダも自分の夢を曲げなければいけなかったり、大人として社会で生きていたらこういうこともあるな、などと共感しました。エルファバの目線で見たらグリンダはうらやましいけど、グリンダもエルファバのことが羨ましいんだろうなと感じましたし、これが大人になることかと思いましたね」

――『ウィキッド』を通して大人になる実感を得られたということですね

「『ウィキッド』は社会の仕組みを描いている作品だと思うんです。社会の中でなにか1つを悪者にすることによって社会が統一されていくことや我々人間の性質というものをおとぎばなしの世界の中で素直に描いている作品だと感じます。また、それが教訓めいていなくて、物語の中に落とし込んであるので本当に素晴らしい脚本・演出だと思いますし、世の中が本当の意味で生まれ変わらない限り、この作品はたくさんの人の心を打つと思います。いつかこのウィキッドという作品の目指すような、エルファバが目指すような未来がこの世界にも訪れたらいいなと思っています」

映画『ウィキッド ふたりの魔女』

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

――ウィキッドでは様々な名曲があると思いますが、その中でも特に田村さんの推しの曲はありますか?

「全部好きなのですが、『I'm Not That Girl』という曲です。フィエロに恋をしたエルファバが、グリンダとフィエロの仲を見て歌う失恋ソングなのですが、その歌がすごく胸に来ました。昔ウィキッドを見た当時は学生だったので、エルファバが緑の肌であるがゆえに好きな男性にもアプローチできないというところがかわいそうで、その失恋ソングにすごく心を打たれましたし、観劇中いつもその歌で泣いていました。今この時代にも、ルッキズムに苦しんでる方たちがたくさんいると思うので、そういう方たちにも勇気を届けられる作品だなと改めて思います」

――表現するにあたって、難しかったところはありましたか?

「ネッサローズがお父様から宝石の靴をもらったときに、靴を見ながら『宝石の靴だわ』というシーンがあるのですが、私が声を当てるとお父様に話しかけているように聞こえる、と監督がおっしゃられて、そういった部分が難しかったです。映像や舞台だったら実際に自分が下を向けばいいだけだけど、声だけで空気感まで表現することがすごく難しいなと思いつつ、とても楽しいとも感じました。すごく楽しかったので、あっという間に収録終わったように感じて少し寂しかったです」

映画『ウィキッド ふたりの魔女』

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

――ほかにも、これまで出演された舞台や映像作品との違いはありましたか?

「映画自体はもう出来上がっていて、そこにプラス、日本語でお届けするための手助けをするということなので、もちろんネッサローズという役について深く考えつつ、それよりもネッサローズを演じている女優さんはどういう心情で、どういう動機でこのセリフを発しているんだろう、と演じた女優さんに焦点を当てて作っていきました。舞台や映像だと自分で問題を頑張って解いていく感覚なのですが、今回は映像の中で演じている方のネッサローズが正解なので、もう答えがあってそこに自分が頑張って近づいていく感覚でした」

――『ウィキッド』の音楽や作品のどういうところに魅力があると思いますか

「音楽はすごくキャッチーで、全ての曲にキラキラした宝石箱のような雰囲気があるので、特にこの映画はミュージカルを観劇したことない方でも観やすいのではないかと思っています。また、作品としては女性2人が主役というところに、私を含めた当時のミュージカル少女やミュージカルの世界で生きる女性たちは勇気を与えられたと思います。この作品がミュージカル俳優を目指そうと思ったきっかけのひとつですし、この作品に出演したいという気持ちでここまで来られたところもあります。たくさんの女性に希望を与えている作品だと感じています」

――『ウィキッド』のファンに向けて本作を通して、伝えたいメッセージをお願いします

「私も『ウィキッド』ファンなのでいっぱいあります!ミュージカルにはミュージカルの素晴らしさがあると思いますが、この映画の中には、ミュージカルではできない演出がとても効果的に差し込まれていて、より没入できると思います。登場人物の輪郭がよりはっきりして大事にしているものも見えるし、それぞれの大切にするものがとても色濃く見られる映画だと思います」

映画『ウィキッド ふたりの魔女』フォトセッションの様子
映画『ウィキッド ふたりの魔女』フォトセッションの様子

文=HOMINIS編集部

映画情報

『ウィキッド ふたりの魔女』
3月7日(金)より、全国ロードショー!
(C)Universal Studios. All Rights Reserved.
配給:東宝東和
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、ボーウェン・ヤン、ピーター・ディンクレイジ with ミシェル・ヨー and ジェフ・ゴールドブラム
監督:ジョン・M・チュウ(『クレイジー・リッチ!』『イン・ザ・ハイツ』)
製作:マーク・プラット(『ラ・ラ・ランド』『リトル・マーメイド』)、デイヴィッド・ストーン(「ウィキッド」)
脚本:ウィニー・ホルツマン
原作:ミュージカル劇「ウィキッド」/作詞・作曲:スティーヴン・シュワルツ、脚本:ウィニー・ホルツマン
日本語吹替版キャスト:高畑充希、清水美依紗、海宝直人、田村芽実、入野自由、kemio、ゆりやんレトリィバァ、塩田朋子、大塚芳忠、山寺宏一、武内駿輔ほか
日本語吹替版スタッフ:三間雅文(台詞演出)、蔦谷好位置(音楽プロデューサー)、高城奈月子(歌唱指導)、吉田華奈(歌唱指導)

公式サイト:https://wicked-movie.jp/
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#映画ウィキッド #ふたりの魔女