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中山美穂が演じるドジで控えめなヒロインが魅力的!ドラマ「すてきな片想い」

2025.2.22(土)

中山美穂の俳優としてのイメージはそれぞれが過ごした青春期によって異なるかもしれない。1985年に歌手デビューした頃の彼女を覚えている人にとってはツッパリカルチャー全盛期の同年に公開された人気漫画が原作の映画「ビー・バップ・ハイスクール」のヒロイン役のセーラー服姿が強く印象に残っているだろう。中山は歌手としてブレイクしながら女優としても大活躍。ドラマ「ママはアイドル!」では中山美穂役で母親役に挑戦し、ミポリンという愛称が生まれ、「NHK紅白歌合戦」にも7年連続(1988~1994年)出場を果たした。

どこか困惑するヒロインを演じる中山美穂
どこか困惑するヒロインを演じる中山美穂

月9の「君の瞳に恋してる!」や「誰かが彼女を愛してる」(「世界中の誰よりきっと」(中山美穂 & WANDS)がミリオンヒット)の恋愛ドラマが焼き付いている人もいれば、現在、韓国で再上映されている岩井俊二監督の映画「Love Letter」(1995年)を思い出す人もいるかもしれない。不良少女から清純派、コミカルな役まで演じ、大きな功績を残した中山。そんな彼女が恋と友情の狭間で悩む会社員を演じ、柳葉敏郎と共演したのが月9の主演ドラマ「すてきな片想い」だ。

脚本は後に大人気ドラマを生み出す野島伸司で時代背景がバブル真っ只中ゆえ、連絡方法は家電。様々な偶然とすれ違いにより、片想いをこじらせてしまう中山の演技が悩ましくも美しい。

■おっちょこちょいでお人好しのヒロインを中山が演じる

中山が演じているのは美人なのにドジで自己アピール控えめな食品会社に務める与田圭子。朝の満員電車で助けられた野茂俊平(柳葉)にスカートのジッパーが開いていることを指摘され、赤面する。後に、この出会いが様々な偶然へと繋がっていくのだが、本作がじれキュン片想いドラマとなっている要因のひとつはヒロイン以外の主要な登場人物がみんな、いい意味で鈍いところにある。本社から異動してきた友美(和久井映見)は彼氏がいない圭子におもちゃメーカーに勤める俊平の電話番号を書いて紹介するが、待ち合わせ場所にいたのはあの電車の男性。恥ずかしくて陰から見るだけの圭子だったが、俊平の親友が圭子と同じ会社の潮崎豊(石黒賢)だったこともあり、対面することになる。しかし、電話で名前を告げていなかったこともあり、俊平は待ち合わせをすっぽかされた女性と圭子は別人だと認識。おまけに圭子の学生時代からの親友・落合妙子(相原勇)が俊平を好きになり、告白できなくなるどころか、親友の恋を応援してしまうハメになる。電話の女性に片想いし続ける天然気味の俊平と圭子の気持ちに全く気づかず、あっけらかんとしている妙子、そして圭子に好意を寄せる豊など、恋愛は完全なる混線模様。ドキドキする気持ちに嘘をつかなければならない困惑のヒロインを中山が表情豊かに演じている。

■クリスマスイブのラストシーンまでわからない恋模様

圭子の誕生日は12月24日。羨ましがられながらも同僚や先輩から彼氏がいなかったら「Wの悲劇」とからかわれている。イブのホテルは半年前から満室などバブル期らしい台詞や派手な装飾の飲食店がシチュエーションとなる中、登場人物たちもチャラついているように見えるが、物語が進むにつれて彼ら、彼女たちの素顔が透けて見えてくる。圭子は本心を隠して時にピエロのような役割を演じるが、果たしてピエロはヒロインだけなのか?と思わせられるストーリーは紆余曲折の末、イブにエンディングを迎える。困り顔も美しく、大人びた色気と年相応の笑顔のギャップも魅力的な中山の演技に惹きつけられる。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

すてきな片想い(全10話)
放送日時:3月3日(月)12:10~
放送チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります