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藤原竜也が超常的な雰囲気と人間くささを兼ね備えた演技を見せるドラマ「全領域異常解決室」

2025.2.19(水)

藤原竜也の揺るぎない存在感、緊張感が途切れない演技力に持っていかれるのが完全オリジナルドラマとして放映され、数々の考察を生んだ「全領域異常解決室」だ。脚本は「TOKYO MER~走る緊急救命室~」、「マイファミリー」などの黒岩勉で、演出を手掛けたのは「リーガル・ハイ」、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査」の石川淳一。

共に事件の捜査をする興玉(藤原竜也)小夢(広瀬アリス)
共に事件の捜査をする興玉(藤原竜也)小夢(広瀬アリス)

1話完結の本格ミステリーとしてスタートした本作は始まってみると第5話で思わぬ展開に。不可解な異常事件を解決する世界最古の捜査機関「全領域異常解決室」(通称「全決(ゼンケツ)」)の個性派メンバーたちが後に何者なのかが明らかにされる構成も話題を呼んだ。

主演の藤原が演じるのは「ゼンケツ」の室長代理で超常現象のスペシャリスト、興玉雅。藤原と初共演となった広瀬アリスが相棒の雨野小夢を演じている。神を名乗るヒルコからの犯行声明と遺体だけが消える神隠し事件、興玉が"キツネツキ"と分析した集団失神事件など、異常事態を捜査する「ゼンケツ」に警視庁から出向してきたのが小夢(広瀬)。物語が進むにつれて実は最初から伏線だらけだったと気づく展開が衝撃的だ。ミステリアスな主人公を演じられるのは藤原しかいないと脚本家もプロデューサー(大野公紀)もオファーしたというが、「僕も神です」という視聴者の度肝を抜いた台詞は藤原が言うからこそ、半端ない説得力がある。

■藤原が演じているのは冷静沈着、浮世離れした主人公

稲荷神社の中にある「ゼンケツ」本部のメンバーは局長の宇喜之(小日向文世)、デリバリースタッフの芹田(迫田孝也)、豊玉神社の巫女・妃花(福本莉子)、非正規職員の村主(名村長)に興玉と小夢を加えた6人。常識では計り知れないオカルト的な怪事件が起こる中、興玉は全く動揺することなく、雨野に日本書紀や古事記に綴られている妖怪や神についてレクチャーし、「勉強不足ですね」と言い放つ。そんな得体の知れない組織を疎ましく思っているのが同じくヒルコを追っている警視庁捜査一課の警部、荒波(ユースケ・サンタマリア)と二宮(成海璃子)だ。両者は時に仕方なく情報を共有し、事件に挑んでいく。豊富な知識に裏打ちされた分析力とシニカルな視点を持つ興玉を演じた藤原の台詞量は膨大で得意のマシンガントークが炸裂。しかし、滅多に感情を表に出すことはない。追い詰められて絶叫する「カイジ」とはある意味、真逆の役だが、学校の先生から「ケセランパサラン」(江戸時代から語り継がれている謎の生物)を見せられて思わず笑顔になったり、「自分を犠牲にして誰かを守る時だけは人間が美しく見える」と発言するなど意外な顔を垣間見せる。変わらない少年性と達観している雰囲気を兼ね備えている稀有な俳優、藤原竜也だからこそ演じられる主人公だ。

■7話から始まる怒涛の神々たちの戦い。藤原の人間くさい演技が刺さる

後半から、日本神話をモチーフに描いた社会派エンターテインメントミステリーだということが明らかになっていくのが本作。迫力のアクションシーンも存分に楽しめる。人間として生きている神々たちが消されていく中、絶体絶命のピンチに襲われても興玉の頭の中に常にあったのは「私があんたを守るから」と言い切った芸能の神である小夢の言葉だ。最終話までヒルコの正体がわからない中、鉄壁の隙のなさを保っていた興玉の理性が徐々に崩れ去っていく藤原の演技は"さすが"としか言いようがなく、広瀬も前半とは異なる母性溢れる美しい表情を見せる。ハマったらもう1度見たくなる中毒性のある作品。藤原を始めとするキャストたちの芝居、台詞も素晴らしい。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

全領域異常解決室
放送日時:3月13日(木)12:30~
放送チャンネル:フジテレビTWOドラマ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります