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エバースの漫才の作り方とは?3本の新作ネタを披露する90分冠特番『エバース漫才記』

2025.2.12(水)

エバースの真骨頂である漫才の魅力に迫る90分冠特番『エバース漫才記』
エバースの真骨頂である漫才の魅力に迫る90分冠特番『エバース漫才記』

2月21日(金)にCS放送「映画・チャンネルNECO」にてオリジナル番組『エバース漫才記』が放送される。

2024年はM-1グランプリを始め、出場した数々の賞レースで決勝に勝ち進んだエバース。東京しゃべくり漫才の次期エースと目される2人が、未知の世界を体験取材し3本の新作漫才を作ることに。エバースの真骨頂である漫才の魅力に迫る90分となっている。

スカパー!番組配信では、放送終了後からアフタートーク番組も配信。収録の裏話や本編に入りきらなかった裏側まで聞くことができる。

今回はエバースの2人に、企画に挑んでみての感想や彼らにしか出せない漫才のネタ、彼らの魅力が詰まったラジオについて語ってもらった。

ネタ合わせをするエバースの2人(左から佐々木隆史、町田和樹)

(C)日活・チャンネルNECO

――新ネタを3本作って披露するというストロングスタイルの番組ですが、まず率直に番組をやると聞いたときのご感想は?

佐々木「まずしんどいなって感じでしたね」

町田「僕はネタを作らないので、楽しいロケができればってところでしたかね。多分佐々木が普段のロケよりピリつくと思ったので、なるべく癇に障らないようにと」

――ちなみに佐々木さんがネタ作りをしているとき、町田さんは何をされているんですか?

町田「コーヒーを飲んでいます。カフェインも入っていますし、ゆっくりできますしね。特に何も考えてないです」

――3つの未知の世界を体験されたと思うのですが、印象的だったものはありますか?

佐々木「忍者教室が一番ですかね。忍者の先生が結構変わっている人で、一番印象には残っています」

町田「なんていうか、変な世界でした」

――難しい質問かもしれませんが、3つの世界でお笑いと共通するところはありましたか?

町田「メイドカフェはお客さんを楽しませるって意味で近い気がしましたね。キャラクターから"降りる"っていったらあれですけど、メイドさんは降りずにずっとやり続けるプロだなと思いました」

(C)日活・チャンネルNECO

(C)日活・チャンネルNECO

――では、具体的に新ネタの話も伺っていきたく思います。ネタを作るときはどのような着想で進めていくのでしょうか?

佐々木「今回はお題があって、例えばコント漫才だったら入るのは簡単なんですよ。2人で『試しにやってみようか』とコントに入るだけなので。でも僕らはしゃべくり漫才で、普段の会話にどう入れ込むかを考えないといけない。メイドカフェだったら、『俺じゃなくて町田がメイドさんに恋していたほうがリアリティあるか』とかから考え始めて、町田から『好きな子がいる』って俺に相談するみたいな方向性で考えましたね」

――なるほど。そうすると、現実にはない「忍者」というネタは少し難しくなりそうです

佐々木「そうですね。現実世界にないものなので、どう漫才に組み込むかっていうのは結構難しかったです」

町田「思ったより忍者だったんでびっくりしました(笑)」

――3本作って、お気に入りのネタはできましたか?

佐々木「『茶道』は形自体はよくできたかなっていう感じはしますね。改良によっては、ライブでもできそうなくらいの手応えはあります」

町田「茶道ってなんかちょっと知っているというか、全くわからん世界ではないし、テーマが良かったですね。例えば器回してみるとかなんとなく知っているし、そういう面では幅広い年代の人が楽しめるネタになっていくかなという感じですね」

――3本新ネタを作って、披露して、達成感は相当のものですよね

佐々木「だいぶありましたね。終わったという感じで」

町田「しんどかったけど、結果的には使えそうな今後にも役立つものが絞り出せたという感じでありがたいなと」

――漫才師としても得られたものが大きい番組になりましたね

佐々木「ネタって本気出せば1時間でできるんだなって思いましたね。今まで結構ダラダラしてめっちゃ時間かかることもあったんで、それは新しい発見でした」

町田「ネタは佐々木が作っていますけど、僕も9年やってきているし、ひとつひとつをつなげる部分はできるようになったんだという自信はつきましたね」

(C)日活・チャンネルNECO

(C)日活・チャンネルNECO

――ネタ作りは佐々木さんが一人で担当されていますが、元々クリエイティブなことを考えるのは得意な方だったんでしょうか?

佐々木「根拠のない自信なんですけど、作れそうだなというのはありました。ずっと野球をやっていたんですけど、野球部の頃から周りより面白いなって感覚はあって。小学生の頃、暇なときにマンガのオリジナルストーリーを考えるのが好きで、自分のマイブームになっていました。今思えば、それが漫才にも生きているのかもしれないです」

――いざ漫才を作ってみて、すぐに形になっていきましたか?

佐々木「いや、すぐには全然でしたね。最初は見よう見まねで、好きな先輩のネタを見ながら作っている感じでしたね。でも、それで作ってもウケないし、その形は自分たちに合っていなかったんでしょうね」

――それから、どのようにして自分たちの型を見つけていったんでしょうか?

佐々木「こういうのが面白いなって感覚は当初からあったんですけど、漫才に落とし込む能力がなくて。だから、他の同年代の結果出している芸人のネタを見ても、自分の落とし込む能力が備わっていないだけで、感覚は負けてはいないはずという思いがありました。きっかけはわからないですけど、芸歴を重ねて行って徐々にネタに落とし込めるようになっていきましたかね」

――なるほど。じゃあ明確なお手本がいるというわけではなくて、自分のセンスを信じていった結果なんですね

佐々木「そうですね、こういうのがおもろいなっていう感覚は自分の中にはちゃんとあって。芸歴でいったら10年目になって、町田と一緒にいる時間も長いですし、普段の会話から自分たちが面白いなって思うような会話になっていって、だから漫才もそのまま面白くなっていった感覚がありますね」

――確かにお二人のラジオを聴いているとよくわかりますが、普段の二人喋りがそのままネタに昇華されているように感じます

町田「確かにネタを作っているとき、佐々木から『今初見で聞いたらどう思うか言って』ということがよくありますね」

――佐々木さんがネタを作っていますが、町田さんがツッコミで言うことが一切台本っぽく感じないんですよね。2023年M-1グランプリ敗者復活戦で披露したケンタウロスのネタの中で町田さんが言う「冷めるわ、こいつ」とか"ニン"にしっかり合っていて、すごく笑いました

佐々木「それはもちろん意識して作っています。ケンタウロスのネタで『交通費ゼロにする方法見つけたわ』って言って、ケンタウロスになるというやり方を聞いたら実際は『なんでだよ!』とか言わないなと思って。本当に交通費安くなる方法聞けると思ったら、めっちゃ意味わかんないこと言われたら冷めるなと思って『冷めるわ、こいつ』が生まれましたね」

――2024年のM-1グランプリ決勝で披露したネタにしても、「ちっ土地開発か」は変なことを言っているわけではないのに一気にお客さんを引き込んでいて、エバースさんの発明だなと思います

佐々木「そこは笑いを起こす箇所を増やす作業をしていて生まれた部分です。しゃべくりなので流れはあまり変えられないので、町田のリアクションか俺のリアクションしかない状況で、町田の一言にしようと。今までは『むずー』とかにしていてウケるけど...」

町田「まあ(ウケが)大きくはない感じだったな」

佐々木「じゃあ何言えばウケるんだろうと。『土地開発かよ』とか『土地開発か』とか試して、じゃあ舌打ちもする?みたいな会話があって決まりましたね」

町田「めっちゃツッコんでいるとか、ワード切っているわけじゃないんですよね。ニュアンスで笑わせてる。『末締め』(さすがに末締めだろ)とかもそうなんですけど」

――個人的な興味もあってお聞きしたいのですが、『野球肘』のネタでどんどん話が脱線していく中、佐々木さんが町田さんに対して「かっけー」とか「食いてー」とか無邪気に言う場面がありますよね。あそこで笑いが加速する一方で、本筋のネタとは関係なくて言わなくても成立すると思うんですけど、なぜあのワードを差し込むことにしたんでしょうか?

佐々木「『食いてー』には元ネタがありまして。僕の友達に、今いい感じの女の子がいるってLINE見せてもらったことがあったんですよ。2人はご飯行く約束をしていて、女の子が『このお店どうですか?』って提案したのに対して、その友達が『食いてー』って送っていたんですよ(笑)。意味わかんなくて、じゃあ行けばいいだろって。わかるかな、この感覚。それがめちゃ面白くて、町田とこの漫才しているときにふと思い出してアドリブで入れてみたら、ウケたので入れるようになりましたね」

(C)日活・チャンネルNECO

(C)日活・チャンネルNECO

――お二人の関係性についてもお伺いしたいです。NSCで初めて顔を合わせたと思いますが、当時の印象は?

佐々木「紹介されて一緒に飯を食いに行ったんですけど、『めっちゃダセえやつだな』と思いました。わかりやすく服装がというより、にじみ出るダサさというか。こいつ生き方ダセえんだろうなって(笑)」

町田「まあまあそれは本当かどうかはね、わかりませんけど。僕は(佐々木の第一印象は)田舎もんです。悪そうだな、とがってんなってイメージだったかな」

――そんな中で、お互いを相方に選んだ理由は何だったのでしょうか?

佐々木「NSCってコンビ組まないとネタ見せの授業出られないので、とりあえず組んで試しにやってみるかくらいの感じでした。他にもいっぱい候補いてその中でこいつとかではなく、他に候補いないし、とりあえず組んでやってみるかと。だから決め手とかはないです」

町田「僕の場合は、佐々木が前のコンビで一番ウケているのを見ていたので、ラッキーと思っていましたね」

――それからエバースで丸9年やって、2024年はあらゆる賞レースの決勝へ勝ち残り、冠番組も放送されます。すでにブレイクの兆しが見えていますが、お互いの印象に変化はありますか?

佐々木「町田って元々ぐいぐい前に出るタイプじゃないんですよ。町田にみんなの矢印が集中したときは爪痕を残せるときがあるけど、別方向に向いているときには何もせず突っ立っているだけという状況が多くて。でも最近は、自分で打破しようと誰かに矢印向いているときでもガヤ入れたりして頑張っているなと」

町田「それQ&A合ってる?」

佐々木「おっ、大きい声出したなとか思ったり」

町田「何だよそれ。まあでも大勢いるときはね、ちょっとでもウケるチャンスなんでね」

――町田さんから見ての佐々木さんはいかがでしょう?

町田「何人かいるライブでも、集団の中に入っていくようになりましたね。昔はネタが面白ければいいから別にみたいなスタンスだったんですけど、最近はどんどん切り込んでいくことが多くて変わったなと。あとは俺を前に出してくれるようになりました。昔は信頼がなかったから俺を出すこともなかったんですけど、そこが変わってきましたね」

――確かに信頼関係でいうと、ラジオを聞いていても町田さんの言うことに佐々木さんが思いっきり笑っていることも増えた気がします

佐々木町田「(笑)」

佐々木「えー、今までもあったけどな(笑)」

町田「そんななかったでしたっけ?」

――2人が話しているときの雰囲気が明るくなったように感じます

佐々木「昔の回はどうせ誰も聞いていないと思って、普通に喧嘩しているだけの1時間とかありますね。今考えたらやばい回とかめっちゃある」

町田「なんで流してんのっていう。生放送でもねえのに(笑)」

佐々木「絶対消したほうが良いレベルの回とかあるんですけど」

町田「まあまあね、消すのは簡単ですけど、そういう時代もあったなということでね」

(C)日活・チャンネルNECO

取材・文=まっつ

放送情報【スカパー!】

エバース漫才記
放送日時:2025年2月21日(金) 22:25~
放送チャンネル:映画・チャンネルNECO
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