史上最高勝率なるか、服部慎一郎六段。
2025.2.9(日)

2024年度に猛烈な勢いで勝ちまくっている服部慎一郎六段。年が明けてもその勢いは止まらず、1月末時点での年度成績は35勝4敗(0.897)と、ほぼ9割の勝率だ。
将棋界における年度勝率の歴代1位は中原誠十六世名人が若手時代の1967年に記録したもの。47勝8敗(0.855)で、50年以上破られていない。近年は藤井聡太竜王・名人が安定して8割を超えてこの記録に度々迫り、昨年は八冠を保持しながら46勝8敗と歴代2位の記録を打ち立てたがわずかに届かなかった。2023年度は藤本渚五段も51勝9敗(0.850)と歴代4位となる記録を作り、史上最高レベルの勝率1位争いだった。この二人でも届かなかったので、勝率記録の更新は難しいとも思われたが、今年度に高い勝率をあげているのが服部だ。
服部は2020年に20歳で三段リーグを突破し、デビュー以来毎年高い勝率を残している。若手棋戦の新人王戦(2回)、加古川青流戦の優勝、順位戦も昇級を重ねてB級1組が目前と、順調に実績を重ねている。タイトル戦では叡王戦の挑戦者決定戦で敗れ、登場はないものの近い将来に挑戦者として大舞台に登場するだろう。関西の若手棋士らしく、居飛車党だが研究勝負よりは比較的力戦調の将棋を好む印象だ。その活躍は盤上だけには留まらず、昨年は冨田誠也五段とコンビを組み、M-1グランプリの予選に参加するなど、話題を提供している。
2024年度に入っていきなり11連勝(昨年度から合わせて12連勝)。連勝は止まったが、その後さらに11連勝を記録する。10ヶ月以上にわたって史上最高ペースで勝ちまくっている。
当然勝ち続けると上位に進出するため、相手も厳しくなってくる。1月に行われた朝日杯将棋オープン戦本戦では厳しい山に入るが、1回戦で銀河戦を連覇している丸山忠久九段を破ると、2回戦では第一人者の藤井聡太竜王・名人との初手合で勝利。トップ棋士相手にもその勢いは止まらず、ベスト4に進出。初の全棋士参加棋戦優勝も見えてきた。他に棋聖戦の決勝トーナメントなど、タイトル戦線に絡む対局も続き、手強い相手との対戦もこれまで以上に増えてくる。
服部はまだまだ2、3月に対局を残しているため分からないが、歴代1位の記録には2敗までの余裕がある状況だ。過去にこの記録に迫った棋士と比べて可能性は高いと言える。半世紀以上破られていない大記録の更新なるか。服部の活躍に注目したい。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
タイトル戦 徹底解説 #965[セレクション] 第9期 加古川青流戦 第1局 池永天志四段 vs 服部慎一郎三段
放送日時:2月14日(金)02:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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