綾野剛の儚げな演技に心を揺さぶられる映画「Life」
2025.2.5(水)
「カラオケ行こ!」で第48回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞、豊川悦司とのダブル主演による「地面師たち」も大きな話題になった綾野剛。どんな役にもなりきってしまうことから"カメレオン俳優"と評され、役作りへのこだわりと実力が高く評価されている。
綾野は2003年に「仮面ライダー555」で俳優デビュー。2012年のNHK連続テレビ小説「カーネーション」で脚光を浴び、2015年「コウノドリ」で連続ドラマ初主演を務めた。
その道のりは決して平坦ではなかったと思うが、憑依型俳優とも言われてきた資質が垣間見えるのが日本映画専門チャンネルで2月17日(月)にTV初放送される、2007年公開の初主演映画「Life」だ。佐々木紳監督のもと、綾野が演じているのは、のどかな地方で暮らすキャンドルアーティストの勇。触れたら壊れそうな青年、勇を演じるに当たって役作りに1ヶ月かけたというから、細部まで気を配り、入り込む姿勢は当時からだろう。実際、本作での綾野は醸し出している空気からして生活感ゼロで、いかにもアーティスト。畦道をママチャリで走っている姿さえ、オシャレで浮世離れしている。そんな主人公・勇の心を波立たせることになったのは高校の同窓会の連絡と同じ日に入っていた見知らぬ女性からの留守番電話。ストーリーは思わぬ方向に動いていく。
■ピュアな勇の表情、仕草から目が離せなくなる
地元の人たちと笑顔で触れ合い、駅員で近所に住む芳雄(泉政行)の妹の優子の面倒も見ている勇は物腰が柔らかく、誰にでも優しい青年だ。翌日に同窓会を控えたある日、家に帰ると留守番電話には友人のメッセージとともに「明日の待ち合わせを3時半に変えてほしい」という女性の声が吹き込まれていた。携帯電話を持たない勇は彼女の名前もわからないまま、間違い電話かと思い、同窓会の前に待ち合わせ場所のトンネルに向かうことにする。そこに傘をさして佇んでいたのはヘッドホンをした謎の女子高校生・茜(岡本奈月)。ろくに会話も交わさないまま、二人はトンネルの中で少女が血だらけで倒れているのを目撃する。気分が悪くなり、座り込んだまま動けなくなってしまう勇と平然としている茜。電話のことをはぐらかし、「これから遊びに行こう」と言われ、断れない勇は互いの名前も知らないまま、夢と現の間にいるような時間を過ごす。そんなミステリアスな物語の中、惹きつけられるのは綾野が全身で表現する儚さと透明感だ。電車に乗って都会に向かっている時の立ち方からして美しいが、ナイーヴさを象徴する話し方や同窓会に行くのを遅らせてまで茜に寄り添う優しさに「勇を傷つけないでほしい」とすら思わされる。
■遅れて行った同窓会で親友と元カノの現実に直面する勇
ずっと勇の到着を待っていた親友・武(忍成修吾)と元カノの操(今宿麻美)との会話は高校時代の思い出を蘇らせるものではなく、時が流れたことによる現実を突きつけられるものだった。心配や切なさを胸に秘め、勇はここでも微笑み、相手を思いやる。激動の短い日々を過ごし、地元の駅に降り、魂が抜けたように動けなくなる綾野の演技は見る側もフリーズするほど。髪型、ファッション(綾野自身がアレンジした服も)、全てにおいて勇になりきり、やがてキャンドルの灯りと「Life」というタイトルを心に残す。綾野剛という俳優のヒストリーを知る意味でも必見の作品だ。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
Life
放送日時:2月17日(月)21:55~ほかTV初放送
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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