ニュース王国

ドラマ「恋愛革命」に出演中の仲吉玲亜が繊細な演技を見せた映画「水深ゼロメートルから」

2025.2.1(土)

■高校演劇の映画化「水深ゼロメートルから」

今回紹介する作品は「水深ゼロメートルから」。この作品は高校演劇の戯曲を映画化した作品で、演劇の映画化しかも高校演劇ということで馴染みない人も多いだろう。しかし、実際に鑑賞してみると原作の舞台を知らずとも楽しめるため安心してほしい。

制服姿でプール掃除をするミク(仲吉玲亜)とココロ(濵尾咲綺)
制服姿でプール掃除をするミク(仲吉玲亜)とココロ(濵尾咲綺)

(C)『水深ゼロメートルから』製作委員会

舞台は高校の夏休み、水が抜かれたプール。教師から補講としてプール掃除を頼まれたミク(仲吉玲亜)とココロ(濵尾咲綺)がしぶしぶ掃除を引き受けるところから物語は始まる。水のないプールには隣の野球部のグラウンドから飛んできた砂が周期的に積もり、2人は嘆息しながらも手を動かす。そこに現れた同級生のチヅル(清田みくり)と水泳部の元部長ユイ(花岡すみれ)もひょんなことから共に掃除をすることになった。掃除をしながらのガールズトークの中で4人それぞれが抱えている葛藤や不安が浮き彫りになっていく...。

舞台は会話劇がメインなことが多い。それは映画のように多角的にコマ割りをすることが出来ないからだ。視覚情報に関してはお客様の目線それが全てになる。「水深ゼロメートルから」も会話劇メインといってよいだろう。しかし、それが映画になることによって顔のアップ、アングル、風景、会話だけではない様々な暗喩的描写を取り込めるようになった。そんな映画ならではの良さに着目しながら、もう少し深掘りしていこう。

■高校生という葛藤 最年少仲吉玲亜の芝居

(C)『水深ゼロメートルから』製作委員会

この作品の魅力はとにかく「若い、青い」ということであると私は思う。というのもこの戯曲を執筆した中田夢花が当時高校生だったということもあり、4人が抱える葛藤や悩みが大人になって仕方なく折り合いをつけてしまったようなことでもあるのだ。そういったものに正面から立ち向かう彼女たちの芝居は胸を打つ。

4人とも素晴らしい芝居だったが、今回はミクを演じた4人の中で最年少の仲吉玲亜に注目だ。ミクは小さい頃は踊っていた「男踊り」が性差を意識し「踊れなくなった」という女子。異性を意識してしまうというのは本当に数多くの人が通る悩みだろう。仲吉は公開当時18歳。一番実際の感情を引き出すのに近しい年齢だったこともあると思うが、その表情は繊細で説得力がある。またミクは叫ぶといった感情表現よりも訴えるようなトーンでのセリフが多い。その中で性差という高校生の頃から浮き彫りになりやすい悩みを、「踊り」というキャラクターの悩みに落とし込み、自分のセリフとして発している姿は18歳の芝居とは思えない安定感がある。仲吉は1月より「恋愛革命」というドラマにも出演しているため要チェックだ。

仲吉だけではなく、他の女優も新進気鋭の役者である。この先の活躍を追いつつ、その中の表題作を1つになろう本作を是非、ご覧あれ。

文=田中諒

放送情報【スカパー!】

水深ゼロメートルから
放送日時:2月15日(土)02:45~

放送チャンネル:WOWOWライブ
※放送スケジュールは変更になる場合があります