坂東龍汰×西野七瀬、『君の忘れ方』初共演で感じたお互いの魅力 作品との向き合い方も明かす
2025.1.27(月)

坂東龍汰単独初主演映画『君の忘れ方』が2025年1月17日に公開された。大切な人の喪失からの再生を描いた同作は、国際映画祭で数々の賞を受賞し、第79回ヴェネチア国際映画祭VENICE IMMERSIVE部門の正式招待を果たしたVR映画『Thank you for sharing your world』の新鋭・作道雄が監督を務め、オリジナル脚本を執筆している。
本作で描かれるのは日本ではまだまだ知られていないグリーフケア。悲しみとどのように向き合い、未来へと希望を見出して進んでいくのかが主人公の視点で描かれている。今回は森下昴役の坂東龍汰とその恋人・美紀役の西野七瀬にインタビュー。初共演となったお互いの印象から、役との向き合い方まで話を聞いた。

――本作は作道監督からオファーで決まったそうですね。映画出演のお話をもらった時はどんな心境でしたか?
坂東「これまでに見たことのない、新鮮で独特な脚本だと感じてとても楽しみになりました。主役をやらせていただけることに対して喜びを感じる一方で、初めての単独主演ということもあって、難しいテーマに向き合う上でのプレッシャーや責任感を強く感じました」
西野「今までやったことのない幻影として登場するシーンがほとんどだったので、私にとっても初めての挑戦で、とてもワクワクしましたし、構成もとてもユニークで面白くて。特に、物語が進む中でほとんど私の声をお客さんに聞かせないという設定がとても興味深くて斬新だなと思いました。こうした作品の中で、自分が少しでも力になれるのであれば嬉しいなと思って、精一杯取り組みました」
坂東「監督から手紙をもらったんだよね」
西野「うん。長文のお手紙をいただきました。『美紀は西野さんしかいないです』って」
坂東「それは嬉しいね」
西野「すごく嬉しかったです。私自身がよく『儚い』と言われることが多いので、幻影という独特な雰囲気との相性が良かったのかなと思います」

――初共演となるお互いの印象はいかがですか?
坂東「西野さんに決まった時、本当に嬉しかったんですよ。美紀はすごく難しい役ですし、しかも喋らないという設定なので、誰が演じるのかすごく気になっていて。でも、なぜか僕の中で『西野さんだったらぴったりかも』と漠然と思っていたんです。そんな時に、マネージャーさんから『西野七瀬さんに決まりました』と連絡があってびっくりしましたね。あまりにも嬉しくて監督に連絡したのを覚えています」
西野「もともとお会いしたことがなかったので、『どんな方なんだろう』と深く考えず、とりあえずお会いしてみようという気持ちで現場に臨みました。実際にお会いしてみると、すごく犬のような雰囲気というか、明るさや親しみやすさを感じましたね(笑)」
坂東「いやいや、そんなことないですよ(笑)」
西野「陰と陽のどっちの要素も持ち合わせてる方だなって思いました」
――撮影を経てお互いの印象も変わっていきましたか?
坂東「もっと人見知りで、もう少しツンツンしてるのかなって勝手に想像してたんです。でも、実際にお会いしたら、ものすごく人当たりが良くて驚きました。しかも、とにかく自然体で楽なんです。いわゆる『ザ・女優』みたいな威圧感のあるオーラを纏っているわけではなくて、そういう控えめな雰囲気がすごく好きだなと思いました」
西野「ガサツそうに見えるけれど、意外と繊細な一面もあって。ただ、現場で一緒にいた時は、役と戦っている最中の姿を見る機会があまりなかったので、そういう部分をもう少し見たかったなという気持ちもありました。でも、その姿をスクリーンで試写の時に見ることができて、まるで役ではなくドキュメンタリーを見ているかのような感覚になりました」
坂東「作中に美紀と昴が通じ合うシーンがあるんですけど、その時に西野さんの本質的な優しさというか、人としての温かさみたいなものをすごく感じました。試写を見終えた後に西野さんが声をかけてくださったんですが、その時の姿や表情から、本当に映画や芝居を心から愛している方なんだなと。とても真面目で誠実な方だと思います」
西野「お互い真面目だよね(笑)」

――本作でグリーフケアが描かれていますが、坂東さんは事前に知識を入れた上で役作りをされたのでしょうか?
坂東「事前に勉強することはしませんでした。というのも、昴と同じタイミングでグリーフケアを知って、彼が感じることをその場で感じられたらいいなと思ったんです。ただ、撮影が終わった後に、改めてグリーフケアというものについて考える機会があって。この経験を通して、今後自分が人生を歩む中で、同じような場面に出会った時にどう選択をするのか、その選択肢の一つとして確実に心に刻まれたと思います」
――坂東さんは「感情がコントロールできなくなった」とコメントされていましたが、昴という役とはどう向き合ったのでしょうか?
坂東「まず、撮影に入る前に、不安やプレッシャーを正直に監督に相談しました。僕は普段、客観的に物事を組み立てて作品に向き合うスタイルなんですが、今回はそのアプローチをやりすぎた結果、逆に怖くなってしまったんです。自分が経験していないことを演じるというのは、どうしても想像の世界が中心になってしまう。それが僕にはとても怖く感じられました。実際に見たり聞いたりしてリアルを掴みたいタイプなので、そういった状況が不安を引き起こしたんだと思います。そんな中で監督が『昴の主観に立って、撮影中に目の前で起きることを坂東くんなりに感じて表現してほしい』と言ってくださって、煮詰まっていた自分の肩の荷が下りたというか、すごく楽になりました」
――監督の言葉が背中を押してくれたと。
坂東「そうですね。ただ、昴の主観に完全に入り込んだことで、彼の混乱や感情に自分も引きずられてしまうことがあって。もちろんそれが正解ではあるんですが、自分の感情をコントロールできなくなる時があってすごく悩みました。でも、監督からは『映画を作るってそういうことだし、主演という立場ではそうなるのが自然。それを支えるために周りにはプロフェッショナルな大人たちがいるから、迷ったり混乱したりしてもいいんだよ』と言われて、僕も躊躇せずに向き合えました。実際、現場ではちょっと不安定な状態になっていたようなんですけど、それも含めて昴を生きるということだったんだろうなと思っています」

――昴と向き合う中で、ご自身の中の引き出しが増えた感覚なのでしょうか?
坂東「そう思います。本当に主演という立場でなければ経験できないことだなって。これまで助演として出演してきた時には、自分が主体になるというよりは、周りを見て、助演としてその作品に必要な芝居や道筋を見つけるということが求められていました。だからこそ、主演として自分がずっと画面に映り続ける立場で、繊細で余白の多い映画に向き合うのは、全く新しい体験で。主演という立場では、足し算だけでなく引き算も必要で、様々なアプローチや主観を試して迷いながら進んでいく。この迷い続けるというプロセスが初めての経験でした。今回得た経験やアプローチを活かせる部分があれば次に活かすし、全く違うアプローチが必要とされるかもしれない。それはまだわからないですが、確かに今回、新しい方法や視点に出会えたというのは間違いないと感じています」
――西野さんは喋らない役でしたが、どうアプローチされましたか?
西野「思い切って演じました。感情を持たない幻影なので、引き算を意識して、昴が目の前にいて話しかけてくれるシーンでも、反応したくなる気持ちを抑えて無の状態を保つようにしました。ただ、表情まで完全に無にしてしまうと違和感があるので、柔らかい雰囲気の時もあれば、そうでない時もあるように演じ分けていました。昴がその瞬間にどう呼びかけているかによって変化する存在だったので、一貫性がなくてもいいのかなと思って、自由にやらせていただきました」


――坂東さんは西野さんと共演されていかがですか?
坂東「もう本当にめちゃくちゃ助けられました。撮影でご一緒する時間は少なかったのですが、僕自身、存在そのものに助けられていたというか、西野さんが纏っている空気感や、どこか安心感を与えてくれるその存在に支えられていましたね。西野さんがロケ地の飛騨に来てくれるまで、僕は昴として幻影の美紀を呼ぶための訓練をしていたので、実際に西野さんが現れた時は、『やっと会えた!』という思いが込み上げましたね(笑)」
――本作は昴が悲しみと向き合い、前に進んでいく姿が描かれていますが、坂東さんと西野さんならではの悲しみとの向き合い方はありますか?
西野「私はあまり引きずらないタイプなんです。その日はへこむこともありますけど、一晩寝れば全然平気になります。そういう時間も自分にとって必要だったんだと受け入れる考え方なので、無理に避けたり、忘れようと努力したりすることはあまりしないかもしれません」
坂東「僕は逆で結構引きずるタイプですね。小さなことでも気になってしまいます。例えば、友達とお酒を飲んだりご飯を食べている時に、余計なことを言ってしまったりすると、その場では相手が特に嫌な顔をしたり、『そんなこと言うなよ』と言ったりしなくても、次の日になって急に思い出して自己嫌悪に陥ることがあります」
西野「後で謝ったりするの?」
坂東「しない。どうせ会うしみたいな。相手が気にしてるかはわからないけど、ずっと気にしちゃう」
西野「わかるな〜。もうちょっとこういう言い方した方がよかったなと思って、私は後で言っちゃう」
坂東「素晴らしいです(笑)。いや〜なんかそういうの引きずっちゃうんですよね。意外と何も気にしてなさそうに見えて、気にしちゃってんだなって最近気づきました」
西野「意外と繊細だよね」
坂東「そうなんです。意外と繊細なんです(笑)」

取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
坂東龍汰
ヘアメイク 後藤泰(OLTA)
スタイリスト 李靖華
西野七瀬
ヘアメイク 猪股真衣子(TRON)
スタイリスト 鬼束香奈子
-
ムロツヨシがコミカルな雰囲気を封印し、硬派な刑事を演じた作品「連続ドラマW 雨に消えた向日葵」
提供元:HOMINIS2/24(月) -
若かりし玉置浩二が怪演!単なるホラーにとどまらない映画「プルシアンブルーの肖像」
提供元:HOMINIS2/24(月) -
ソン・ジュンギの貴重な生歌唱や黒歴史のダンスも...!愛する妻子や心境の変化を率直に明かした、キャリア初の音楽トーク番組が反響
提供元:HOMINIS2/22(土) -
中山美穂が演じるドジで控えめなヒロインが魅力的!ドラマ「すてきな片想い」
提供元:HOMINIS2/22(土) -
SEVENTEENのHOSHIが漏らした意外な本音も...?BSS(ブソクスン)が盟友イ・ヨンジと繰り広げた最高のショータイムに喝采!
提供元:HOMINIS2/22(土)