上白石萌歌の誠実で真っ直ぐ、清廉潔白な演技が物語を引っ張る!「連続ドラマW 宮部みゆき『ソロモンの偽証』」
2025.1.19(日)
2012年にドラマ「東野圭吾『分身』」(WOWOW)で女優デビュー後、舞台、ミュージカル、映画、CMなどさまざまな分野で魅力的な演技を披露し続けている上白石萌歌。映画「羊と鋼の森」(2018年)では、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、名実共に一流の俳優の仲間入りを果たした。また、ドラマ「義母と娘のブルース」(2018年、TBS系)では綾瀬はるか演じる主人公の義理の娘役を好演し、俳優としての演技の幅の広さを披露。現在公開中の、HYの名曲をモチーフに沖縄に住む高校生と、彼の後輩の女子の20年越しの恋愛模様を描いた映画「366日」では、ヒロインの玉城美海を熱演している。
上白石の演技の魅力の根幹は、彼女の内から出る"誠実さ"、"真っ直ぐさ"であろう。真摯で、清廉で、混じりっ気なく、凛とした雰囲気が、役に内なる強さや人間らしさを付与して、命を吹き込んでいる。そんな彼女のストロングポイントが全面に出ている作品が「連続ドラマW 宮部みゆき『ソロモンの偽証』」(2021年、WOWOW)だ。
同作品は、映画化もされた宮部みゆきの同名小説を、舞台設定を1990年の公立中学から現代の私立高校に変えてドラマ化したもので、同級生の転落死を巡って前代未聞の学校内裁判を起こす高校生たちを描いた法廷ミステリー。終業式のクリスマスの朝、雪の積もった校庭で藤野涼子(上白石)は、クラスメイト・柏木卓也(野村裕基)の死体を発見する。警察は自殺と断定し、事件は幕を下ろしたように思われた矢先、涼子の元に匿名で告発状が届く。告発状には、柏木はクラスメイトの大出俊次(坂東龍汰)ら3人に殺されたという内容が書かれていた。だが、一度自殺と断定された事件に対し、学校も警察も再捜査に動こうとしないため、涼子は学校内裁判を行って真実を明らかにすることを決意する。
ミステリーとサスペンス、ヒューマンドラマが混じり合う宮部作品の魅力を損なうことなく、ベテラン俳優の助けを借りながら、若手俳優たちが中心となって珠玉の法廷ミステリーを紡いでいる同作。ヒューマンドラマにも通じ、ミステリー・サスペンスの引き金となる人間心理を、役者たちが丁寧に細やかに描き出しているところがポイントで、思春期の若者の心の機微をしっかりと表現し、事件の鍵となる心の変化を鮮明に描写している。そんな中で、同作が連続ドラマ初主演となる上白石が、涼子のキャラクターを一瞬もブレずに演じ切ることで、1つの方向に作品の手綱を引いている。
上白石演じる主人公の涼子は、警視庁の刑事である父と弁護士の母を持つ成績優秀な優等生。周りの雰囲気に流されることなく正しいことに真っ直ぐ突き進むことのできる"強さ"を持っており、元々の人柄と一生懸命さで周りを巻き込んでいくというキャラクター。そんな涼子を、上白石は立ち姿や歩く姿勢、口調、声のトーンなどを駆使して、リーダー気質とはまた違った"ザ・優等生"な人物像を嫌味なく力演。出しゃばっているように見えないよう、細心の注意を払いつつ、あくまで意志の強い人物として表現しているところがポイントだ。
上白石は、涼子の背負う"両親や周囲の期待に応えようとするプレッシャー"や"他人の心の痛みに寄り添い共に悼むことのできる心の豊かさ"、普通の女子高校生らしい"弱さ"などをしっかりと表現することで、"強さ"一辺倒ではなく、いろんな要素がある上での"強さ"として表しているのだ。
特に、学校内裁判を行うために奔走するフェーズを経て、裁判に弁護士として参加する柏木の友人・神原和彦(宮沢氷魚)とやり合う裁判のフェーズでは、自身の信念に基づいて突き進んできた道の先に生まれた不安に飲み込まれてしまうというような普通の女子高校生らしさをブレずに描くことで、涼子の人間らしさを表している。
宮部みゆきの代表作の1つともいえる重厚なミステリーと、ヒューマンドラマを楽しみつつ、その物語を引っ張る上白石の、真っ直ぐで清廉潔白なキャラクターを構成する演技に注目していただきたい。
文=原田健
「連続ドラマW 宮部みゆき『ソロモンの偽証』」上白石萌歌さんのインタビューはこちらから
放送情報【スカパー!】
連続ドラマW 宮部みゆき「ソロモンの偽証」(全8話)
放送日時:2025年2月8日(土)12:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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