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ヒュー・ジャックマンの表情にも注目!心震える映画「グレイテスト・ショーマン」

2025.1.13(月)

「心震える」とはどのように説明すれば理解できるのだろうか。

感動なのか、ワクワクなのか、はたまたそのどれでもないものなのか。言葉で言い表すことは難しい。

だが、映画「グレイテスト・ショーマン」を見れば、自ずとその答えが見えてくる。

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

同作品は19世紀に活躍した興行師、P・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)の成功を描くミュージカル映画。バーナムが良家の令嬢チャリティと結婚するところから物語は始まり、成功と失敗を交互に繰り返していくジェットコースターのようなストーリーとなっている。

初め、職場を解雇されたバーナムは世界中のあらゆる奇妙なものを展示した「バーナム博物館」をオープン。しかし、客足は伸びず、娘の一言でショービジネスへと踏み出すことに。小人症の男、大男、髭の濃い女、全身刺青の男などを集め、今で言う「サーカス」を始めて成功を収めるのだった。

しかし、より名声を得ようとしたバーナムは、オペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)と歌の公演を重視するようになり、サーカスのキャストを軽視していく。結果として、どちらも共倒れすることになり、すべてを失ってしまう。

そんなスピーディーな展開の中で際立つのがやはり歌の存在。ミュージカル映画と聞くと、「急に歌い出すんでしょ」と拒否反応を示す人は少なくないかもしれない。確かに普通に会話をしていたのに「なんで歌う必要があるんだろ」と感じる映画も世間にはある。しかし、「グレイテスト・ショーマン」はむしろ歌でしか表現できない感情を表す。バーナムに軽んじられた時にレティ・ルッツ(キアラ・セトル)が歌い出す「This is me」や、演出家フィリップ・カーライル(ザック・エフロン)がパートナーとなる時の「The Other Side」など、歌って踊るからこそこちらに伝わってくる何かがある。人はそれを「心震える」と評すのかもしれない。

あえて最高のミュージカルシーンを選ぶなら、危ういバーナムを支える役割を担っていたフィリップと恋仲にあったアン・ウィーラー(ゼンデイヤ)のデュエットを挙げたい。「Rewrite The Stars」は単体でも名曲でありながら、空中ブランコを使いながらの映像は美しさも相まって神々しささえある。身分違いの恋を表すようにくっついては離れる演出に気づけば目は釘付けとなってしまう。それも、ザック・エフロンが持つ圧倒的な華、そして歌声がなせる業なのだろうか。

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

そうした音楽中心のストーリーをまとめあげているのが主人公を演じたヒュー・ジャックマン。『X-MEN』シリーズでのウルヴァリン役が有名だが、今作では見事なショーマンを演じている。

バーナムは良くも悪くも夢想家で、常に成功に向かって走り続けている。客観的に見ると、突っ走り過ぎではと心配になってしまう側面もあるのだが、ヒュー・ジャックマンが持つパワーと安心感で危ういキャラクターに絶妙なバランスをもたらしている。

作中では成功して調子に乗った姿も、失敗してすべてを失い途方に暮れる顔も見ることができる。しかし、成功の中にもどこか未来への不安、逆に失敗していても諦めない希望の光など、相反する感情を共存させるような顔つきを見せ、次の展開を自然と予感させてくれる。

そして、バーナムは最後にあるひとつの答えに気付く。ずっと成功を追い求めて、妻のチャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)は愛した人だけを求めていた。そんな悲しいすれ違いは終わりを迎え、家族で娘の舞台を鑑賞することに。ショーマンの座をフィリップに譲り、娘の姿を穏やかに眺めるバーナムの表情を見ていると、改めて人生において何が大事かを考えさせられる。作中、様々な顔を見せてくれるヒュー・ジャックマンの最後の顔はそれほどに印象的だった。

文=まっつ

放送情報

グレイテスト・ショーマン
放送日時:【字幕】2025年1月18日(土) 21:00~ほか
     【吹替】2025年1月24日(金) 12:30~ほか
チャンネル:ザ・シネマ

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