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木村文乃が苦悩しながら成長していく女性刑事を好演!「連続ドラマW 水晶の鼓動 殺人分析班」

2025.12.30(月)

推理作家・麻見和史が手がけた人気小説シリーズを木村文乃主演でドラマ化し、今なお多くの視聴者に支持されているクライムサスペンス「殺人分析班」シリーズ。2015年に第1弾「石の繭」、2016年に第2弾「水晶の鼓動」、2019年に第3弾「蝶の力学」が放送され、スピンオフ作品やユニバース作品も制作されるなど高い人気を誇る。

凶悪事件の犯人を追う刑事を演じた青木崇高と木村文乃
凶悪事件の犯人を追う刑事を演じた青木崇高と木村文乃

(C) 2016 WOWOW/ドリマックス・テレビジョン

本作の魅力は、意表を突くストーリー展開や犯人との攻防、事件の真相に迫るスリルはもちろん、木村が演じる主人公の女性刑事・如月塔子がさまざまな経験を経て成長していく過程を見られるところにある。塔子は刑事だった父の遺志を継いで刑事となり、配属された捜査一課十一係のメンバーや、先輩刑事の鷹野秀昭(青木崇高)らと共に、凶悪事件の犯人を追う。ここではシリーズ第2弾「水晶の鼓動」における木村の演技について見ていきたい。

■苦悩する塔子の姿を木村文乃が的確な演技で体現

(C) 2016 WOWOW/ドリマックス・テレビジョン

物語は、塔子が刑務所の面会室で人を待っているところから始まる。テーブルに向かい、第1弾で解決した事件に関する新聞の切り抜きや週刊誌を眺める塔子の表情はどこか憂鬱で、心に晴れない何かを抱えている様子だ。

実は塔子には、第1弾の事件の犯人で死刑が確定した通称・トレミーをこのまま死なせたくない、警察官として彼の心を救いたい、という想いがある。同時に、捜査中に爆発に巻き込まれたことがトラウマとなっていて、それが本作の重要なポイントとなっている。そんな中、塔子は本作で、殺人現場の部屋を赤いペンキで塗りつぶす猟奇的な連続殺人事件と、連続爆破事件の2つの事件に挑むことになる。

刑務所から帰ろうとした時に携帯が鳴り、新しい事件が起こったことを知らされた塔子の眼に、光が宿る。事件発生の電話を受けた時はもちろん、事件現場での緊迫した様子など、塔子が真剣に捜査に臨む姿を木村はしっかり演じている。同時に、初めて爆破事件が起こった時の不安げな表情、また2度目の爆発の映像を見た時の、トラウマからくる過度の緊張と不安で呼吸が乱れるシーンなどでは、その苦しさがこちらにも伝わるほどの演技を見せてくれる。

(C) 2016 WOWOW/ドリマックス・テレビジョン

さらに第3話では、解決を焦って無茶な行動をしたこと、共に行動していた鷹野が負傷したことなどがきっかけで、捜査から外されてしまう。その直後、刑務所で会った人物の前で悲鳴のように自分の想いを吐露する姿は、刑事としての責任、過去との決着、焦りに駆られる自分、さまざまなものが混ざり合って一気に吹き出しているようで、見ていて辛くなるほどだ。

しかしそういった姿も、塔子が難事件に真剣に臨んでいるからこそなのだ。トラウマを含め、刑事として生き、刑事として戦う塔子の心情を、木村は的確、かつ秀逸な演技で体現していると言えるだろう。

■苦難を乗り越え成長していく塔子

(C) 2016 WOWOW/ドリマックス・テレビジョン

捜査一課十一係の面々の協力もあって、やがて塔子は現場に復帰する。再び事件に立ち向かう塔子は、それまでよりも覇気があるように見える。事件の山場で、負傷した鷹野をかばうように「今日は私が前に出ます」と言った時や、事件の発端と思われる人物と刑務所で話す時には、凛とした強い眼差しを持った塔子が画面の中にいる。言うなればそれは、塔子が苦難を乗り越え成長した姿であり、木村はその姿もしっかりと演技で見せてくれる。

連続殺人事件と連続爆破事件は、過激派組織や公安なども絡んで複雑に展開していく。果たして2つの事件に繋がりはあるのか。あるとしたら、接点はどこなのか。そして犯人は?木村文乃の演技によって体現される、強い思いを持って刑事となった如月塔子の活躍を、本作で存分に堪能してほしい。

文=堀慎二郎

放送情報【スカパー!】

連続ドラマW 水晶の鼓動 殺人分析班
放送日時:2024年12月30日(月)12:45~、2025年1月12日(日)16:00~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます