ニュース王国

小芝風花、アニメ『ロード・オブ・ザ・リング』で声優挑戦の心境吐露「課題を抱えながら...」

2024.12.26(木)

映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」でヘルム王の娘・ヘラの声の担当する小芝風花
映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」でヘルム王の娘・ヘラの声の担当する小芝風花

アニメーション映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」が、12月27日(金)に公開される。

本作は、日本でも大ヒットした「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの知られざる200年前の物語。騎士の国ローハンは、偉大なるヘルム王(CV.市村正親)に護られており、民たちは平和に暮らしていた。そんなある日、王国が突然の攻撃を受けて崩壊寸前に。民を守るために立ち上がったヘルム王の娘・ヘラ(CV.小芝風花)の最大の敵は、幼馴染のウルフ(CV.津田健次郎)で...。

今回、主人公のヘラを演じる小芝風花が、初挑戦となったアニメーション声優への熱い想いを語ってくれた。

映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」で声の出演をする小芝風花

――まずは、本作の世界観についての印象をお聞かせください

「すごく美しくて壮大で『これはスクリーンで見なきゃいけない作品だな』と思いました。細やかな目の動きまで描かれている分、キャラクターの心情が伝わってくるので、改めて『今のアニメーションってこんなにすごいんだ』と実感しました」

――本作のオファーを受けたとき、どんなお気持ちになりましたか?

「すごく嬉しくて、すぐに『やりたいです!』とお伝えしたのですが、『ロード・オブ・ザ・リング』はとても有名で、ファンの方も多い作品なので、だんだん『経験のない私が簡単にやりたいと言って良かったのかな』、『こんな初心者が、一番軸となる人物をやらせていただいていいんだろうか』とプレッシャーが大きくなりました。今回、そうして不安を抱えながら本編の収録をさせていただいたのですが、現場の皆さんが優しくて、リラックスして取り組むことができました」

――いざアニメーションの声優を経験してみて、いかがでしたか? 

「過去に声の演技をやらせていただいたとき、自分の声と声優さんの声がまったく違うところから出ている感覚があって、(自分の)声にブレがあるように感じたんです。例えば、津田さんって感情は乗っているけど、声のトーンは統一されていて、感情的なシーンでも声がブレてないんですよね。

感情的なシーンでも、ある程度の範囲で感情をコントロールしないと声がブレてしまうし、ただ感情を出せばいいわけではないんだと思いました。今回は感情豊かに演じつつも『声をブラさないようにする』という課題を抱えながら収録現場に行きました」

――声優のお仕事に臨むときと俳優業とでは取り組み方が違うものですか?

「全然違いますね。同じお芝居ですが、距離感も違えば、掛け合いでもなく。特に今回の収録では、何人かの方は先に声が入っていたのですが、(13日に全米公開された)英語版の声しかないシーンも多かったので、ちゃんと掛け合いになっているのか不安でした。間(ま)も決められたものがあるので、そこに合わせて感情を作る、という難しさがありました」

――ヘラの声を聞いていると、芯の強さと頼りたくなる力強さを感じました。映画やドラマで聞いている小芝さんとはまた違う声だと思ったのですが、具体的に何か意識はされたのでしょうか?

「ヘラは、もともと活発で、小さい頃から剣を振り回しているような女の子。自分が背負うはずではなかったものを背負うことにもなるので、不安で揺れつつも、『民を守る』と覚悟を決めて敵と対峙していく芯の強さは出したいと思っていました」

――小芝さんは、そんなヘラをどのような人物だと捉えましたか?

「自分がやりたいことを自覚しているからこそ意志がしっかりしていると思いました。『この戦いに負けたら民たちを危険にさらしてしまう』という覚悟のなか、突き進める強さはカッコいいなと思いますし、その姿を見て心を動かされる方も多いんじゃないかなと思います」

――敵となる幼馴染のウルフとヘラの関係性について、小芝さんはどんなことを思われましたか?

「愛っていろんな形があって、異性としての愛もあれば、家族に近い友人としての愛もある。それがズレると、こんなにも恨みに変わってしまうのか、愛情っていきすぎると怖いな...と思いました。ウルフの愛情って現代的に言うと闇属性というか、重いのかな(笑)。

でも、ウルフ自身も最初からそうではなくて、幼い頃は言葉は強くても思いやりがあったんです。ヘラは、そうした彼の優しさを知っているからこそ、最後までウルフのことをどうにかできないかと悩んだし、諦めきれなかったと思うんです。幼馴染だからこそ、簡単に踏ん切りがつかない...。彼の人柄を知っている分、辛い戦いになったなと思います」

――そう考えると、「ロード・オブ・ザ・リング」三部作とはまたテイストが違う内容ですよね

「そうですね。三部作の方は欲望の塊みたいな感じだったのですが、今回は民への愛だったり、家族の愛だったり、異性としての愛が歪んでしまったり...愛がいろんな方向に向かっているようにも感じました」

――国を統率するヘラを演じるなかで、彼女から影響を受けたことはございますか?

「国のトップとして、王家の一人としての自覚、『民を守らなきゃいけない』という覚悟に感銘を受けました。私も年齢を重ねていくにつれて、主演を任せていただいたり、年下のスタッフさんがいらっしゃったり、共演者の方がどんどん増えたりするなかで、『ヘラが王女だったら大丈夫』と思うのと同じように、安心感のある現場作りができたらいいなと思いました」

――今回のように、役から大切なものを得たり、学んだりすることも多いのでしょうか?

「多いです。以前は、私自身、周りの目を気にして生きていました。そんななか、『周りにどう思われるか気にしていたけど、好きなものは好きでいいじゃない。自分の人生は自分のものなのだから』と気づいて成長していく役を立て続けにいただいたんです。そのときに『そうだよな』と自分自身でも腑に落ちました。もちろん人に迷惑をかけるとかはダメですが、一回きりの自分の人生なんだから、もっと自由でいいんじゃないかと思えたんです。

周りの目に縛られすぎて、息苦しいなと思うことも多かったんですけど、そういう役をいただくと勇気をもらえますし、『こんなふうに強くありたいな』と思うことで、私自身も少し強くなれたような気がしました」

取材・文=浜瀬将樹 撮影=MISUMI​​
スタイリスト=成田佳代
ヘアメイク=石川ユウキ
衣装協力
・SHIROMA
・ete
・Jouete

映画情報

映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」
2024年12月27日(金)全国公開
製作総指揮:ピーター・ジャクソン
監督:神山健治
声の出演:市村正親、小芝風花、津田健次郎、山寺宏一ほか