妻夫木聡と竹内結子が描き出した美しくも儚い悲恋の物語...三島由紀夫原作「春の雪」
2024.12.20(金)
三島由紀夫の長編小説「豊饒の海」4部作の第1部で、侯爵家の子息と伯爵家の令嬢との悲恋の物語を描いたのが「春の雪」だ。同作は1969年には舞台化、1970年にはテレビドラマも放送された。そして2005年には、妻夫木聡と竹内結子の主演で映画化。監督は「世界の中心で、愛をさけぶ」、「ナラタージュ」でお馴染みの行定勲が務めた。
本作の舞台は、まだ日本に華族や爵位があった大正初期。侯爵家の子息・松枝清顕(妻夫木)と伯爵家の令嬢・綾倉聡子(竹内)は、幼なじみであり、互いに惹かれ合う関係だった。しかし、清顕はその想いを聡子に上手く伝えることが出来ずにいた。そんな中、政略結婚のために、聡子に宮家の洞院宮治典王(及川光博)との縁談が決定してしまう。一度はすれ違ったものの、離れたことで互いの愛情を再認識した2人は、人目を忍んで密会を重ね始める。しかし、それは悲劇の幕開けでもあった...。
■若さゆえにすれ違う2人の関係を、妻夫木と竹内が好演
本作で妻夫木が演じた清顕は、不器用で聡子への想いをまっすぐに伝えられずにいる青年。物語の序盤では、聡子に「清様は私のことをどう思って?」と問われても素っ気なく答えたり、あえて聡子が傷つくであろうことを伝えたりと、聡子への想いの逆張りとも感じられる行動を見せる。そんな清顕を妻夫木は、声のトーンを抑えたセリフ回しと静かな演技で表現しつつ、表情や声色に変化をつけていることが、演技に絶妙なコントラストを生んでいる。そこから、清顕の中にある聡子への想いを確かに感じられるのだ。
一方の竹内は、着物や高貴なドレスを身に纏い、伯爵家の令嬢である聡子を実に華憐に演じている。清顕より年上の聡子は、大人びた仕草や表情を見せるが、その中にどこか少女のような可愛らしさもある。そして、自身の想いを清顕にしっかりと伝えながらも、いつでもその気高さは保ったままでいる。そんな聡子を、竹内が柔らかい微笑みや憂いのある表情を携えて美しく体現した。中でも、清顕を見つめる聡子の恋心に溢れる眼差しは、時にきらきらと輝き、時に悲しげで美しい。
やがて、互いの愛情を確かめ合い、密会を重ねるようになる清顕と聡子。どうしようもなく惹かれ合っている2人だが、その恋はすでに許されるものではない。そんな禁断の愛を育む中、2人を引き裂くある出来事が起こる...。
若さゆえに不器用で愚鈍(ぐどん)なところはあるものの、それでもひたむきな行動で聡子への気持ちを示そうとする清顕に、物語の後半では思わず胸を打たれる。
三島由紀夫が生み出した美しい世界観を映像化した本作。日本の四季の風景も詰め込まれた美しい映像の中で、不器用で切ない恋の行く末を、妻夫木と竹内の演技にも注目しながら見届けてほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
春の雪
放送日時:2025年1月14日(火)19:30~、2025年1月26日(日)20:50~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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