ネオ昭和アーティスト・阪田マリン、レトロスポット巡りのモットーは「SNSを見て満足しない」
2024.11.29(金)
2025年は「昭和100年」となる年。スカパー!では、昭和100年を先取りし、12月末まで「スカパー! 昭和テレビ」大特集を開催中だ。
昭和のテレビを彩った、映画・音楽・ドラマ・バラエティ・時代劇・特撮などの秘蔵映像、人気歌手・アイドルの出演番組など、「あの頃のテレビ」が令和に帰ってきた! 昭和世代や昭和好きはもちろん、若い世代もレトロカルチャーに触れる機会として、ぜひおすすめしたい特集である。
そんな同特集の開催を記念し、11月15日(金)~17日(日)には、都内にある昭和スポットをめぐりながら、車内でクリームソーダやプリンなど、昭和喫茶メニューを楽しめる「スカパー! 昭和純喫茶バス」が運行された。
初日には、昭和のカルチャーを発信しているZ世代の"ネオ昭和"アーティストでインフルエンサーの阪田マリンが同乗。参加者や記者に向けて昭和愛を熱弁していた。
今回は、阪田にインタビューを実施。昭和にハマったきっかけから、"好きを仕事にすること"までたっぷりと語ってもらった。
――昭和を感じるバスツアーでしたが、いかがでしたか?
「すごく楽しかったです。私は大阪出身なのですが、あまり東京を巡る機会がなかったので、自分も勉強しながら、 皆さまと一緒に昭和にタイムスリップしたような気分で楽しめました」
――阪田さんが昭和好きになったきっかけを教えてください
「中学2年生の時、お父さんの実家に行ったら、レコードが置いてあったんです。おばあちゃんから勧められて初めて触れたのですが、そこでチェッカーズの『Song for U.S.A.』(1986年)を聴きました。当時、10代ということもあって、歌詞のなかに出てくる『ティーンネイジのまま約束だよ大人になってくれ』というフレーズが響いて...。『私はいくつになってもティーンエイジの気持ちを忘れずに大人になっていこう』と決めました」
――それ以降、昭和にどっぷりとハマっていくわけですね。特にどんなカルチャーに影響を受けましたか?
「角川映画は大きいですね。角川映画を見ているうちに、『昭和の世界』に染まっていきました。特に浅野温子さんが主演を務めていた映画『スローなブギにしてくれ』(1981年公開)が大好きです。キラキラした昭和というよりも、負のオーラをまとった憂いのある内容で、昭和の魅力がいっぱい詰まっています。私のなかで、あの映画を超える作品はないです」
――そうして生活も昭和色に染まっていったと
「そうですね。当時から『私は昭和を生きている』と思いたかったんですよね。音楽を聴くのもレコードですし、電話も黒電話に変えました。度がすぎて親に怒られたり、昭和の映画を見た後に『なんで私はこの時代を生きられなかったんだろう』と思って泣いたりしたこともありました」
――怒られたとおっしゃっていましたが、現在、ご家族は「昭和好き」な阪田さんについてどんな反応なんですか?
「今はもう仕事になっているのでいいんですが、ただの趣味だったときは、お母さんから『理解できない!』と言われていました。一度、真っ青なバブルスーツで出かけようとしたら、『お願いだからそれで玄関を出るのはやめて。近所の人に見られたくない。どこかで着替えなさい』と止められました」
――ファッションも昭和スタイルで楽しまれていたんですね
「リサイクルショップで当時の服をどんどん買っていったんですが、それを集めていくうちに洋服の亡霊に出会いました。その日は、1人でファッションショーをしていて、昭和の服が山積みのなかで寝ちゃったんです。夜中に目が覚めると、目は開くけど体が動かない状態になって...。パッと山積みの服を見たら、足がプランプランしているのが見えて、そこに真っ赤な顔の人がいたんです。金縛りがとけたあと、お母さんの部屋に行ったら『それ、絶対に亡霊やわ』と言われました(笑)」
――すごい体験ですね...。そんな阪田さんの趣味は喫茶店に関するものだそうですね
「昔はタバコが吸えた時代だったので、そのなごりだと思うのですが、懐かしさを感じる喫茶店には、たまにマッチ箱が置いてあるんです。そのマッチ箱を集めるのが趣味です。私はフォントフェチでもあるので、店によってロゴのフォントが違ったり、形が違ったりするので、それを並べてニヤニヤしております。昭和の喫茶店ってすごく豪華なんですよ。『なんでそんなところにシャンデリアをつけるんだろう』とか、『なんでソファがすべてベロアなんだろう』とか、一つひとつの細かな点を見ると『昔は潤っていて、お金をかけられたんだろうな』とか思うんです。やっぱり人生は、豪華じゃないとダメですよね」
――そんな喫茶店をはじめ、これまで足を運んだなかで印象に残っている「昭和スポット」を教えてください
「大阪にあるキャバレー『ミス大阪』ですね。最年長で80歳くらいの方が働いていたり、生演奏でカラオケができたり、とても楽しかったです。まさに『昭和の宝石箱』でした」
――もし、昭和の時代を生きられるとしたら、どんなことをしたいですか?
「1982、3年ぐらいのテレビ番組を見たいです。だって、学校から帰ってテレビをつけたら、(松田)聖子ちゃん、キョンキョン(小泉今日子)、(中森)明菜さん、松本伊代さん...がリアルタイムで歌っているんですよ。そんな時代なんてすごすぎます。あとは、チェッカーズのコンサートに行って親衛隊になりたいです!」
――阪田さんと同世代でも昭和に興味がある方がいると思います。阪田さんが昭和に触れる際に、大事にしていることはありますか?
「『SNSを見て満足しない』ということですね。今の時代、大半の人は現地に足を運ばず、SNSで満足しちゃうと思うんです。でも、実際に見るってすごく大事だし、気になったら自分で調べて見た方が絶対に思い出に残るんですよ。私のおばあちゃんも、1970年の大阪万博のことは今でも喋れます。ネットで調べただけでは、20〜30年後には忘れちゃうと思うんですよね」
――阪田さんは趣味や好きなことを仕事につなげています。「好きなことを仕事にする生き方」については、どんなことを感じていますか?
「これ以上の幸せはないですね。今思うのは、好きなことを仕事にできたのは、『自分の好きを隠さなかったから』だと思うんです。高校生のとき、昭和好きということもあって、男子から変人扱いされたことがありました。でも、それを乗り越えて『私は昭和が好きやし、隠したくないな』と思っているうちに仕事になったので、どんなことがあろうと、好きなことを『好きだ』と言える心が大事なのかなと思います」
――そんな阪田さんの人生を変えたチェッカーズさんの映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」(1986年公開)が、スカパー!「ホームドラマチャンネル」で12月1日(日)に放送されます。阪田さんも大好きな作品だそうですね。見どころを教えてください!
「ハーレーダビッドソンに乗った高杢(禎彦)さんが、仲間と合流し、街を暴走するところで『ギザギザハートの子守唄』が流れるシーンがあるんですけど、私はそのシーンがすごく好きです。芸能記者役の浅野温子さんもすごく綺麗で『なんなのよこの女は!』と思わせる演技が素晴らしいので、注目してほしいですね。あとは、藤井尚之さんのラブシーン。ファンとしてはたまらないシーンだったので、ぜひご覧あれ(笑)!」
取材・写真=浜瀬将樹
放送情報
「スカパー! 昭和テレビ」
開催期間:11月1日(金)〜12月31日(火)まで
映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」
放送局:ホームドラマチャンネル
放送日:12月1日(日)午後8:45〜
出演:藤井郁弥、武内享、高杢禎彦、大土井裕二、鶴久政治、徳永善也、藤井尚之、浅野温子ほか
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