おかよの成長にホロリ...シーズン2まもなく配信の『あいの里』の魅力とは?
2024.10.31(木)
『あいの里 シーズン2』が11月5日(火)からNetflixにて独占配信される。
あいの里は「35歳から60歳の男女が人生最後の恋を求めて、ラブ・ヴィレッジにある古民家で自給自足の共同生活を送る」というコンセプトの恋愛ドキュメントバラエティ。1999年から約10年間にわたり、フジテレビ地上波で放送された人気番組『あいのり』の番組スタッフが再集結したことでも大きな話題を集めた。(※シーズン1のネタバレを含む場合があります。ご注意ください)
ルールも『あいのり』的で、意中の人が見つかったら、古民家の裏手にある「あいの鐘」を鳴らして告白。成功すれば2人でヴィレッジを去り、失敗の場合はフラれた方が立ち去り、新たな参加者がやってくる。シーズン1ではのべ15人の男女が参加したが、彼ら・彼女らの個性の強さがそのまま作品の魅力となっていた。
参加者は35歳から60歳までとなっており、これまでの"恋愛リアリティショー"とは一線を画し、かなりの大人、言葉を選ばずに言えばおじさんとおばさんが主人公だ。いい大人が言い合いになったり、恋愛に悩んでいる姿はなかなかに新鮮で、大きなインパクトを与えてくる。
もちろん、あいのり仕込みの編集でそれも笑えるような番組構成となっているが、ただ面白いだけではなく、それぞれの参加者たちが短くない人生の中で培ってきた価値観や考え方が見え隠れするのもポイントとなっている。
例えば、コンビニ店員でバツイチの「おかよ」の恋模様は応援したくなるほど健気だった。元々、自分に自信がなく、あいの里での共同生活でもなかなか馴染めず「帰りたい」と漏らしていた。だが、途中参加で内装会社経営の「じゅんぺい」と出会ったことでおかよに変化が起きる。じゅんぺいが優しく接することで徐々におかよも心を開き、笑顔を見せるように。自然とじゅんぺいに恋心を抱き、「人生最後の恋」へと向かうのだった。
39歳のおかよは人に流されて生きてきたことを自覚している。もしかするとその性質が起因して、これまでの人生でも後悔することがあったのかもしれない。だからこそ、おかよがあいの里での生活で変わり、恋をして、自ら「あいの鐘」へと向かう姿は内向的な人に勇気を与え、人は何歳からでも変わることができるということを雄弁に示しているのではないだろうか。
一方で、改めて価値観の重要性を教えてくれたのが「ゆうこりん」と「たぁ坊」の2人。ともに容姿端麗で若い頃からモテてきた影響もあるからなのか、"価値観の違い"にとことん向き合っていた。世の中の多くのカップルが別れを決める理由となる価値観だが、いざすり合わせようとなると一朝一夕でできることではない。価値観が出るポイントは様々だし、特に若い頃は自分自身のこともよく見えていないからだ。
しかし、2人の場合は30歳を超えた大人で、人生経験も豊富。自分の家族のことからこれからできるかもしれない子供のことまでしっかりと話し合い、互いに何を求めていて、何を重要だと考えるのかをちゃんと言語化していた。もし人生最後の恋に向かうのであれば、絶対に必要な作業であり、2人から学ぶべきことは多いと強く感じさせられる。
最後に忘れてはならない存在なのが、あいの里にユニークな彩りを与えた「アンチョビ」だ。イタリアンシェフを務め、当然料理の腕はピカイチ。序盤から皆に料理を振る舞ったり、よき兄貴分として相談役になったりとポジティブな方向で存在感を放っていた。
しかし、こと恋愛となると、冷静に自分の現在地を見ることができないという問題点も抱えていた。「あの人は自分のことが好きなんだ」とか「自分を取り合ってケンカしないで」とかアンチョビの脳内では"恋の勘違い劇場"が繰り広げられ、スタジオと視聴者を混乱の渦へと誘った。
ただ、アンチョビを馬鹿にすることは決してできず、人は誰しも自分の都合のいい方向に考えたい側面を持っている。アンチョビを見ていると、自分もこんな勘違いを一度はしたのではないかと、胸に手を当てて考えたくなったこともゆるぎのない事実だ。
自分の人生のこれまで、そしてこれからを考え直すきっかけも与えてくれる「あいの里」。シーズン2ではどのような参加者が見られるのか、今から楽しみにしたいところだ。
文=まっつ
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