黒木華×藤間爽子​​、芝居への取り組み方とルーツに共通点「自分と似ている」

2024.10.31(木)

黒木華が主演を務める映画「アイミタガイ」が11月1日(金) ​​に公開される。

親友でカメラマンの叶海(藤間爽子) ​​が命を落としたという知らせを受けた主人公の梓(黒木) ​​。交際している澄人(​​中村蒼) ​​​​との結婚に踏み出せないなか、梓は叶海のトーク画面にメッセージを送り続ける。ある日、送信済みのメッセージに、一斉に既読がついて...。

登場人物たちの優しい想いがつながり、思いも寄らない幸せが紡がれる本作について、黒木と藤間に話を聞くことができた。

――「アイミタガイ＝相身互い​​(同じ境遇の人同士で助け合うこと) ​​」という言葉を聞いてどう思われましたか？

黒木「タイトル自体もカタカナでしたし、耳馴染みのない言葉だったのですが、意味を知ったあと『なんて素敵な言葉なんだろう』と思いました。映画の内容自体も、知らないところで誰かの想いがつながっていく作品だったので、ピッタリの言葉だなと思いましたね」

藤間「私も勉強不足で知らなかったんですけど、『相身互い​​』って素敵な言葉だし、相手のことを思いやる気持ちが巡りめぐって、自分のところに返ってくるって日本人らしいのと、そうした美しくて知らない言葉がいっぱいあるんだな、この言葉を知れて良かったなという印象を持ちました」

――黒木さんが演じる梓は、どこか自己評価が低い人物だと感じました。黒木さんは梓をどう解釈して演じられたのでしょうか？

黒木「彼女の自己肯定感の低さというのは、いろんな方が共感するものだなと思っています。梓を演じるなかでも、両親の離婚だったり、結婚に対してポジティブになれない考え方だったり、それほど違和感を持たずにできました。両親のことや祖母のことなど、自分のことだけではないものが関わってくる悩みに直面する姿や、最近は『結婚をしなくてもいいんじゃないか』という考えもありますが、でも梓には結婚を望んでいる澄人がいて...と揺れ動く姿など、わざわざ『役に入らねば』としなくても分かる感情や言葉が多かった気がします」

――藤間さんは梓の親友・叶海について、どのように解釈して演じられたのでしょうか？​​

藤間「叶海はカメラマンとして何気ない日常や人を切り取るんですけど、人が当たり前に通り過ぎてしまうことにハッと気づけるピュアで優しい心を持っていて、素敵だなと思います。叶海は梓と反対そうに見えて、じつはそんなこともなくて...。描き方は違うけど、意外と似たもの同士なんじゃないのかなって思うし、だから親友なのかなと思います」

――本編では、梓と叶海の学生時代のやりとりも描かれます。梓と叶海の関係性については、どんなことを思いましたか？

黒木「それはきっと『お互いに』かもしれないですけど、やっぱり(​​叶海が)​​​​引っ張ってくれる存在だったんだなと思いましたね。私は(中学生の​​梓役)​​​​近藤華さんと、以前ご一緒したことがある(中学生の​​叶海役)白鳥玉季​ちゃんの芝居がすごく好きで、あのシーンで、『描かれていない彼女たちのこれまでのこと』も全部説明してくれているし、関係性の強さも感じましたね。ここから始まったんだなって」

藤間「叶海としては、引っ張っているつもりはないんですよね。むしろ逆に引っ張ってもらっていることもたくさんある。それはお互い様なんだろうなって思います。梓視点から見ると引っ張ってもらっているように見えるけど、叶海だってカメラマンを目指すうえで、梓からたくさん背中を押してもらったことがあっただろうし、そういう関係性って見ていて羨ましくて素敵だなと感じました。あと、中学時代の2人が本当に美しすぎて...」

黒木「みずみずしい(​​笑)」

藤間「ちょっと衝撃的で脳裏に焼き付くシーンだったと思います」

――梓が働いているウエディングプランナーの仕事と、叶海のカメラマンのお仕事については、どんな印象を持ちましたか？

黒木「ウェディングプランナーって素敵なお仕事ですよね。それぞれの人生の大きな一幕に関わるってなかなかないですし、幸せが詰まった仕事だなって。友達の結婚式に行ったときも思いましたけど、やっぱりみんな笑顔だし、幸せしかない。そういう人生の起点や転機に関われる素晴らしいお仕事だと感じました」

藤間「現場に入る前、一眼レフを触ったことがなかったので、カメラマンの友達に基本動作を教えてもらったんですけど、カメラって重いんですね！びっくりしました(​​笑)。撮影期間中、どんな気持ちになるのかと思ってカメラを持ち歩いていたんですけど、やっぱり撮ることを意識すると、『空ってこんなに青いんだ』、『木々ってこうやって動くんだ』と、当たり前に見過ごしていたことに気づけて楽しかったです」

黒木「撮った写真は現像したの？」

藤間「はい。でも、外はフラッシュを焚かないと黒くなるんですね(​​笑)​​​​。写真にしたとき真っ暗で！もちろん撮れたものもあったんですけどね」

――お二人は以前もドラマで同僚役として共演されていらっしゃいます。お互いの印象はいかがですか？

藤間「もちろん華さんは大先輩ではあるんですけど...身近な感じがしちゃうのはなんでだろう(​​笑)​​​​」

黒木「なんででしょうね(​​笑)​​​​」

藤間「華さんは映画やドラマはもちろん、舞台出身で現在も舞台をやられていますよね。私も華さんほどではないけど、同じく舞台出身で...。もしかしたら、ルーツが似ているから身近に感じるのかなとは思います」

黒木「そうだと思います。最初に同僚役としてお会いしたときも、初めましての人って緊張するのに無理しなくていいと言いますか...。『あれ？前から知ってた？』みたいな」

藤間「本当そうなんですよね。不思議と前から知っていたような気がするんです。それは『こうだから』という明確なものはないけれど、自分と似ているのが分かります。ごめんなさい。勝手に(​​笑)​​​​」

黒木「いやいや(​​笑)​​​​。私も舞台がすごく好きですし、芝居に対しての向き合い方が似ているからかもしれないですね」

――黒木さんも日舞をやっていらっしゃいましたよね。

黒木「(​​日本舞踊・紫派藤間流の家元でもある藤間と比べると)​​​​私は少しですよ(​​笑)​​​​​​。(​​藤間は)​​​​佇まいが綺麗で美しいし、そういうものが芝居にも出ているんじゃないかなと思います。軽やかだけど、ちゃんと重心がある芝居というか」

藤間「光栄でございます...」

――梓と叶海のように仲の良いお友達と長く付き合う秘訣があれば教えてください。

黒木「私の場合は、ほぼ連絡を取らず、急に会っても大丈夫な子が多くて。『明日、ごはんどう？』と言い合える友達が多いんです。あと長く続いている友達は、お互いリスペクトしているかもしれないですね。相手も私のことを尊重してくれているし、私も相手を尊重するし、必要以上に求めていない。お互い『親しき仲にも礼儀あり』じゃないですけど、そういうものは大事にしているかもしれないです」

藤間「確かにそんなに連絡を取らなくても、会いたいときに会う距離感を保てられる人なのかなって思います。さっきおっしゃっていた『親しき仲にも礼儀あり』のように、私も友達から『今のは傷ついたよ』と言ってもらえるし、私も『こういうことは嬉しくないな』と言うし、正直に言い合える関係なのかなと思います。そういうことができる人は長く一緒にいるなと思いますね」

取材・文＝浜瀬将樹　撮影=MISUMI

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