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JR東日本、鉄道業務特化型生成AIを開発へ

2024.10.19(土)

JR東日本は10月8日、鉄道業務に特化した「鉄道版生成AI」の開発に乗り出すと発表した。鉄道版生成AIは、鉄道に関する膨大な法令、社内規定、マニュアル、過去の工事図面など、専門的かつ多岐にわたる知識を学習する。これにより、顧客対応から保守点検、工事計画の提案に至るまで、幅広い業務領域をサポートすることが見込まれている。

開発の背景には、深刻化する人手不足や、ベテラン社員の引退に伴う技能伝承の困難さがある。JR東日本は、この課題に対応するため、AIを活用した業務効率化と知識共有の仕組みづくりに取り組むとされる。

すでに同社では、今年6月から全社員が利用できる生成AIチャット「JRE AI Chat」を導入している。しかし、鉄道特有の表現や図表の理解に課題があることが判明し、より専門性の高い鉄道版生成AIの開発に踏み切った。

JR東日本によると、鉄道の専門知識に特化した生成AIの開発は国内初の試みとなる。同社は「日本の鉄道インフラ全体が、安全で持続的になるように貢献していく」と意気込みを示している。

2027年度末までに段階的導入

鉄道版生成AIの開発は段階的に進められる予定で、まず2025年度上期までに、鉄道関連の法令や社内教育資料を学習した「鉄道事業基礎AI」を開発する。その後、より高度な機能を順次追加し、2027年度末までに完成させる計画だ。

このAIシステムは、社員の業務効率化だけでなく、サービスの質的向上にも貢献すると期待されている。例えば、顧客からの問い合わせにより迅速に回答できるようになるほか、新入社員や経験の浅い社員の知識レベルを底上げすることも可能になる。

さらに、設備や車両のメンテナンス、工事における安全性の向上も見込まれている。AIが過去の事例や注意点を提示することで、作業の安全性を高めることができるのだ。また、異なる専門分野間の調整も、AIからの情報提供により円滑化されると考えられている。

JR東日本は、開発したAIシステムを他の鉄道会社にも提供する計画を立てており、日本の鉄道業界全体の効率化と安全性向上を目指す。

【関連リンク】

・JR東日本、鉄道固有の知識を学習したLLM「鉄道版生成AI」を2027年度末までに開発(IT Leaders)
https://it.impress.co.jp/articles/-/26938

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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