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ショウジョウバエの脳コネクトームが解明

2024.10.16(水)

2024年10月、科学界で重要な発見が相次いだ。

一つ目は、国際研究チーム「FlyWire」によるキイロショウジョウバエの脳全体の配線図「コネクトーム」の完成だ。これは、146の研究室が協力し、2100万枚の脳画像を基にAIと人の手で作成されたもので、脳の構造と機能を理解する上での大きな前進を意味する。

ショウジョウバエの脳は小さいながらも、約14万個のニューロンと5000万以上のシナプス接続を持つ非常に複雑な構造をしている。このコネクトームは「脳の地図帳」とも呼ばれ、今後の神経科学研究における強力なツールとなる。

FlyWireは、作成したデータを「FlyWire Codex」として公開し、世界中の研究者がこのデータを使って新たな発見を目指すことが期待されている。

マイクロプラスチックが脳に侵入

もう一つの重要な発見は、マイクロプラスチックの人体への侵入だ。ブラジルのサンパウロ大学の研究チームが、人間の脳内からマイクロプラスチックを発見した。

この研究では、5年以上サンパウロに住んでいた15人の成人の検死結果から、8人の嗅球にマイクロプラスチックが含まれていたことが確認された。特に「ポリプロピレン」が多く、全体の43.8%を占めた。この発見は、マイクロプラスチックが血液脳関門を通過する可能性を示しており、脳機能に悪影響を与える可能性が懸念される。

さらに、イタリアのカンパニア大学の研究によると、頸動脈プラークにマイクロプラスチックが含まれていた患者は、心臓発作や脳卒中のリスクが約4倍高いことが分かっている。

これらの研究成果は、ショウジョウバエとヒトのDNAが60%を共有していることから、密接に関連している。ショウジョウバエの脳コネクトームは、マイクロプラスチックが人間の脳に与える影響を研究する上で貴重な基盤となり得る。今後、環境汚染と脳機能の関係を深く理解するために、これらの分野がさらに融合することが期待されている。

【関連リンク】

・ハエの脳の完全なマッピングに大規模な科学者チームが成功、ヒトの脳の理解に向けた大きな一歩を踏み出す(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20241003-mapping-entire-fly-brain/

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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