橋本環奈「今の世の中こそ"ギャル魂"が大事」連続テレビ小説『おむすび』の撮影秘話と震災への思い
2024.10.1(火)
9月30日(月)に放送を開始する連続テレビ小説「おむすび」。本作は橋本環奈演じる米田結が、栄養士として人の心と未来を結んでいくオリジナル作品。福岡・糸島編では、自然豊かな糸島で、農業を営む家族と暮らす結が、平成のギャル文化に出会い、自分らしくポジティブに、高校生活を謳歌する。
脚本は、ドラマ「正直不動産」「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」などの根本ノンジが手掛け、阪神・淡路大震災が起きた瞬間とその後を描くということでも話題を呼んでいる。
今回はヒロインの橋本環奈にインタビューを行い、撮影現場の雰囲気やギャルを演じた感想などたっぷりと語ってもらった。
――根本ノンジさんが書かれた「おむすび」の脚本を読んだ感想をいかがでしたか?
「最初に脚本を読んだときに、テンポ感が良くて、面白く早く演じたいなと思いました。特に私が好きなのは、家族のシーンです。それぞれ個性があって愛くるしいので家族みんな大好きです。中でも松平健さんの演じるおじいちゃんが良いキャラで、孫2人に対してとても温かくて、楽観的なおじいちゃん。それに対して北村有起哉さんの演じるお父さんがすごく真面目で、ほっこりします。糸島編では、女子高生の結が書道部やギャルとの友情などの青春物語の合間に、家族愛やお姉ちゃんに対しての思いが丁寧に描かれていると思います。根本さんの脚本で結の思いがすっと入ってくるので、演じていて迷うことがないですね」
――橋本さんの演じる米田結というキャラクターに共感する部分はありますか?
「糸島編の結は家族思いで、家族のために我慢して『自分が好きなことをやるなんて...』という部分があるんですが、私自身は好きなことをやれている方だと思うので共通する部分っていうのは、実はあまりないんです。でも、結ちゃんの『大切な人たちを傷つけたくない』っていう気持ちには共感しながら演じていました」
――橋本さんが子供時代、橋本家の食卓はどんなご様子でしたか?
「橋本家は全員が楽観的で、のびのび育ったと思います。食卓に関して言うと、5人家族必ずみんなで揃ってご飯を食べていて、その日にあった出来事をみんなで話していました。私と一番上の兄がすごくお喋りで、和やかな感じでした。今でも毎日のようにみんなで家族LINEで話しているくらい、仲がいいんです。昨日は一番上のお兄ちゃんとご飯行って、一昨日は双子のお兄ちゃんと飲み行きました!」
――今回のドラマは橋本さんがお生まれになる前の時代が舞台ですが、平成ギャルを演じてみていかがですか?
「私の周りにはギャルがいなかったのですが、演じていて思ったのはギャルって心意気なんだな、ということです。ギャルの掟として、『好きなことを貫く』、『周りの目を気にしない』というのがあるんですけど、今の世の中SNSもあって、周りの目を気にするなと言っても気にしてしまうと思うんです。そんなときにギャル魂が大事だなと思っていて、周りに何を言われても好きなことをとことん貫く部分がすごく素敵だなと思います。仲間も大事にしていてずっと変わらず、同じ話で笑えるというのが青春そのものだなと思います」
――ご自身のなかにギャル魂を感じる部分はありますか?
「仲間を大事にする部分です。友達を大事にして、一番の味方でいたいと思っています。私は高校生のときもお仕事をしていたんですが、周りの友達が優しくて、支えてもらっていました。授業のノートを見せてもらったり、久々に学校に行ったらお弁当を作ってくれたり、誕生日に黒板に寄せ書きを書いてもらったり...周りの人に恵まれていたと思います。友達に大事にされていたからこそ、自分自身も友達を大事にしたいなと思ってきました」
――高校生の結がギャルメイクをするシーンもあったと思いますがいかがでしたか?
「チョコレートくらい茶色いファンデーションを塗ったり、バサバサのつけまつげをつけたり、テカテカの口紅をつけたり...すごく楽しかったですね!時間もすごくかかりました。ギャルメイクには慣れていなかったんですが、みりちゃむがいろいろアドバイスしてくれたので、本物のギャルがいると助かるなと思いました(笑)台本のなかで、有起哉さん演じるお父さんが、ギャルメイクをした結が誰かわからなくて『どれが結なんだ?』というシーンがあるんですけど、ギャルメイクしたときの写真を私のお父さんに送ったら『これ誰ね?』って本当に私だと気づかなかったみたいで(笑)台本がリアルなんだなというふうにも思いましたね」
――平成ファッションの世界観についてどう思いますか?
「ドラマの中でいろんなファッションを展開していて、ローライズや、短いデニムのスカートを履いたり、面白いです。なかなか自分では選ばないファッションですが、かわいいですよね。色合いも鮮やかなので、着ていてテンションも上がります!」
――撮影の現場はどんな雰囲気ですか?
「今回の『おむすび』では、食がテーマなので食卓のシーンがとにかく多くて!共演者皆さんとご飯を食べながらずっと喋っています。みんなが大好きなのがピーマン味噌。ごはんが何杯でも食べられるくらい本当に美味しくて!カットがかかっても、基本みんな食卓から動かずに食べたり、話したりいて、和気あいあいとしています。撮影の合間に、久美子さん(母・愛子役、麻生久美子)とや有起哉さんとストレッチしながら話したりもしています」
――仲里依紗さんが結の姉・歩を演じていますが共演してみていかがですか?
「里依紗さんとは本当に色々世間話をよくしています。里依紗さんはそれこそギャルみたいで、面白くて明るく潔い方で、素敵だなと思っています。もともと大好きだったんですけど、今回ご一緒してさらに好きになりました。里依紗さんの演じる歩がお姉ちゃんとして結に寄り添ってくれるシーンがたくさんあって、そこでも、ぐっときています」
――ヒロインという立場でのぞむ撮影現場で特に意識されていることはありますか?
「ないなー(笑)。むしろ気負わないというところですかね。いつも楽しく、っていうのが一番だなと思っています。撮影も大変になってきて、ピリピリしてきたりすると思うんですけど明るく盛り上げたいと思っています。でも気をつけているというより、自分がそうしたいからそうしてるだけなので頑張って努力してるということは一切ないんです。NHKでドラマをやらせていただくのが初めてで、どういう雰囲気なんだろうと思っていたんですけど、スタッフの皆さんがとても温かいので、現場の空気感は変わらずこのままでいれたらなと思います」
――膨大なセリフをどのように覚えていらっしゃいますか?朝ドラならではのセリフの覚え方などありますか?
「映画やドラマに比べると台本の数がとても多くて...!何十冊もあります。撮影で大変だなと思ったのは13週分を取った後に6週目の撮影をするみたいに、撮影の時期がバラバラなことです。20代の設定で撮影してたと思ったら高校生に戻らなきゃいけないとかありました。セリフのキャラクター性は成長とともに変えていきたいので、本当に大変ですね。 覚え方としては今までと変わらず、写真のように覚える感じですね。セリフを覚えていても、高ぶったお芝居とかしていると不思議とセリフが飛んでしまうときもありました」
――舞台が橋本さんのご出身でもある福岡ですがいかがですか?
「福岡は高校卒業まで住んでいた大好きな街で、学生のときに遊んでいた場所がロケ地になっていたので、懐かしく感じました。あと、博多弁でのお芝居なのですごくやりやすくて!福岡の皆さんも本当に温かかったです。糸島の皆さんがフェスのシーンにエキストラとして来てくださったんですけど、すごく盛り上げてくださったのでありがたく感じました」
――福岡で1ヶ月半ロケをして、印象に残った思い出の場所はありましたか?
「糸島だけではなくて、いろんな場所で撮影させていただいていて、学生時代の帰り道や毎日のように歩いた天神地下街、パルコや天神コアが懐かしかったです。天神コアは私の学生時代にはあって、この作品の中にも出てくるんですが、今はないんですよね。天神の街が変わっていっているのも感じました。今でも福岡に住んでいる友達が多いので、撮影中にばったり友達に会うんじゃないかなとも思いました(笑)」
――大阪でも撮影されているとのことですが、撮影の合間のリフレッシュ方法を教えてください。
「今回長期で大阪に行かせていただくことになり、大阪はグルメも多いじゃないですか。『舞い上がれ』(2022年度後期放送NHK「連続テレビ小説」)のときに大阪にいた福原遥ちゃんや大阪出身の中条あやみちゃんに連絡してグルメを教えてもらっています。撮影が早く終わった日には、大阪に住んでいる友達とよくご飯行ったり飲み行ったりもしていて。大阪の人たちは距離感が近くで面白いんですよ!『何で居るの?!』って言われたり、そっくりさんだと思われて『似てるね~』って言われたり(笑)東京と全然違う感じが面白くて、大阪の街はすごくほっこりしていて好きです。ここまで長期で行ったことなかったですし、大阪の美味しいご飯がいっぱい食べられてリフレッシュになっていますね」
――何が一番美味しかったですか?
「焼肉かな~。お肉が美味しいイメージがあります。焼肉やバル、餃子とか結構いろいろなところに行きました。徒歩圏内なのでそのまま歩いて行ったり、ギャルたちとみんなで沖縄料理行ったりしました」
――ドラマでは、阪神淡路大震災についても描かれるということで、震災についてどういった思いがありますか?
「阪神・淡路大震災に関して、もともとは詳しく知らなかったのですが、当時の資料をみたり、スタッフの皆さんが現地で取材をされたお話を伺ったりしました。私が演じている米田結は、震災のとき6歳なので、実際に当時6歳だった方にもお話を伺いました。6歳の女の子がどれぐらい震災のことを覚えているのかというのもすごく難しいところで、『最初は、友達と避難所で集まって一緒に寝て生活をともにするのが、新鮮で楽しいって思ってしまった』と聞いて、確かに6歳の女の子が震災を重く考えきれない部分もあるんだろうな、というのも感じました。でも焦げた匂いを覚えていたり、何となくみんなが悲しそうにしていたことを覚えていたり...。軽んじるのは絶対にいけないことなので、丁寧に演じなければいけないと思っています。震災を経験した方が見ていて辛い思いにならないようにしたいと思いつつも、嘘を描きたくないという気持ちもあるので、そこの葛藤もありますね。寄り添うのは大事ですが、かといって、憐れんでほしいということでもないでしょうし、前を向いて生きていかなければいけないっていう部分があると思います」
ヘアメイク=Mifune(SIGNO)
スタイリスト=NIMU(makiura office)
文=HOMINIS編集部 撮影=MISUMI
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