山田孝之がファンタジー要素を自然に表現!原作・万城目学の映画「鴨川ホルモー」
2024.9.30(月)
第一線で活躍し続ける俳優・山田孝之。2024年12月には自身がプロデューサーを務める映画「聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメン VS 悪魔軍団〜」の公開が控えるなど、その活躍は演者だけにはとどまらない。演ずる役柄も幅広く、日本を代表するカメレオン俳優の一人といえるだろう。今回はそんな山田が主演を務めた「鴨川ホルモー」を紹介しよう。
「鴨川ホルモー」は万城目学の小説を原作として2009年に公開された作品だ。日常にファンタジーの要素を持ち込むという万城目のスタイルが詰まった本作は万城目の代表作との呼び声も高い。映画「鴨川ホルモー」の舞台は京都。京都大学に所属する主人公・安倍明を山田孝之が演じる。安倍は2浪して京都大学に入った苦労人で年齢もありサークル活動にさして興味がない学生であったが、たまたまアルバイトの際に勧誘されたサークル「青竜会」の新歓コンパに参加する。そこで出会った早良京子(芦名星)に一目惚れし、怪しげな青竜会に入会することを決意する。入会からしばらくするとオニ語の勉強をはじめる青竜会に不信感を募らせながらも楽しい日々を過ごす安倍だったが、吉田神社の儀式で実際にオニが見えるようになりオニ語を用いた競技「ホルモー」に引き込まれる...。
山田孝之といえば自身の年齢とも離れた役柄も巧みに演じる印象があるが、本作公開当時山田の年齢は25歳。安倍が21歳ということで大分近い年齢である。それもあり、本作の山田の芝居には21歳大学生という大人とも子供といえない微妙な演ずるには難しい立場をそつなく演じているような脱力感がある。
例えば蘆屋満(石田卓也)とのズレが表面化したようなサークル1年のみを集めた飲み会では蘆屋の傲慢な部分を流せず、斜に構えてバカにするような態度を表情豊かに表現しているが、逆に青竜会の飲み会の帰り際には怪しすぎて入会することはないと冷静な判断を下している。この大人と子供のような2面性は大学生を経験したことがある視聴者にはどこか覚えがある感覚の人も多いはずであり、山田の立場への理解力と表現力が優れているという証明だろう。
また、この作品はファンタジーでありオニとホルモーに関しては現実にはない。その中で山田は視聴者が笑ってしまうくらい堂々と滑稽なフォームでオニ語を唱える。このファンタジー要素を含む作品中の圧倒的存在感と説得力は山田の武器で、「鴨川ホルモー」以後に公開された2011年の「勇者ヨシヒコと魔王の城」でも大ヒットの要因となったが、本作でも存分に発揮されている。是非とも山田孝之の現実とファンタジーに対する芝居を楽しみながら鑑賞してみてほしい。
文=田中諒
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