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KDDIが描く「povo3.0」、新たな通信サービスの世界へ

2024.9.29(日)

9月4日に開催された「KDDI SUMMIT 2024」において、KDDI Digital Life代表取締役社長の秋山敏郎氏が「povo3.0」の構想を明らかにした。秋山氏は、「モバイル通信が日常生活のあらゆる場面に溶け込んでいく」というビジョンを示した。この構想の実現に向けて、povoはAPIの公開とSDKの提供を進めている。

注目すべきは、povoが黒子に徹する「ホワイトレーベル」戦略だ。パートナー企業のサービスやアプリに、povoの通信機能を目立たない形で組み込むことで、ユーザーは意識せずにシームレスな通信体験を得られるようになる。

既に、ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)、富士ソフト、ABEMAなどの企業との連携が進行中だ。Wi2との協力ではインバウンド向けSIMの展開が予定されており、観光地でのWi-Fiスポットを活用したサービス提供が構想されている。

B2B2Cモデルがもたらす可能性

povo3.0が目指すのは、従来のMVNOとは一線を画すB2B2Cモデルだ。例えば、音楽フェスのチケットに1日分の通信料金が含まれていたり、特定の動画配信サービスの視聴がデータ通信量にカウントされなかったりする、といったサービスが実現可能になる。

povoは将来的なビジョンとして、個人開発者にもSDKを開放する構想を持っている。これにより個人がアプリを開発し、その中にpovo3.0の通信機能を組み込むことが可能になる。この展開は、通信サービスの民主化とも言える革新的な取り組みだ。

さらに、グローバル展開も視野に入れており、海外のテレコム事業者とのパートナーシップによる新たなサービス提供も検討されている。これは、日本発の通信サービスモデルを世界に展開する可能性を示唆している。

povo3.0の狙いは、単なる価格競争ではなく、通信事業者の新たな在り方を模索することにある。秋山氏は「povoは、将来のテレコムがどのように社会に関わっていくかを探求するブランド」と位置付けている。

この新しいアプローチは、通信業界に大きな変革をもたらす可能性がある。ユーザーにとっては、より便利で柔軟な通信サービスの登場が期待される一方、既存の通信事業者にとっては、ビジネスモデルの見直しを迫られる可能性もある。

【関連リンク】

・実は始まっていた「povo3.0」への布石 povo2.0は他社対抗も含め“完成形”に(ITmedia Mobile)
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2409/07/news069.html

TEXT:PreBell編集部
PHOTO:iStock

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