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河合奈保子の不変的な透明感と可憐さがドラマ「ベビーシッター桃子の冒険」にもたらす影響に注目

2024.9.15(日)

1980年代、数多くのアイドル歌手が世に出てエンタメ界を華々しく彩った。かわいらしい少女から洗練された大人の女性になっていく変化をファンに披露し続けたスターもいれば、人気絶頂の中、引退し、きらびやかな思い出としてファンの記憶に残り続ける者など、さまざまな生き様を見せてくれた。そんな中で、16年という決して短くない活動期間中、デビューから変わらない透明感と可憐さを保持し続けたのが河合奈保子だ。

河合は、新人発掘コンテスト「HIDEKIの弟・妹募集オーディション」で優勝し、1980年にデビュー。1981年に「スマイル・フォー・ミー」で第32回NHK紅白歌合戦に初出場し、スターの仲間入りを果たす。また、ラジオのレギュラー番組では、チャーミングなリアクションが人気を博し、他のアイドル歌手とは一線を画した唯一無二の存在に。さらに、声優業、俳優業、作曲業など活動の幅を広げ、多才な面を披露して多くのファンを喜ばせた。そんな中で、河合らしさが詰まった作品の一つがドラマ「ベビーシッター桃子の冒険」(1990年、テレビ朝日系)だろう。

同ドラマは、高校卒業したての女性・永山桃子(河合)が高校の先輩を頼って上京し、ベビーシッターとして働く姿を描いたもの。高校の先輩・望月千賀子(長谷直美)が経営するベビーシッター・サービスで働くことになった桃子は、ある日、大資産家の諏訪家から名指しで依頼される。諏訪家で働きだした桃子だったが、資産家ならではのごたごたに巻き込まれていく。

赤ちゃんをだっこする桃子(河合奈保子)
赤ちゃんをだっこする桃子(河合奈保子)

(C)東映

河合は、田舎から出てきて何も知らないながらも、真っ直ぐ一生懸命に仕事に取り組む桃子を熱演。当時、デビューして10年経っていながらも、上京したての桃子の純粋さを違和感なく表現できているのは、河合の持つ褪せない透明感の賜物といえる。特に、調子のいい千賀子のペースに乗せられて、なし崩し的に仕事を受けてしまうところは、彼女の生真面目さと可憐さが際立ち、千賀子の振る舞いを嫌味のないものに見せる効果を生んでいる。

一方で、子供と触れ合うシーンでは、小学生の頃の夢が「保母になること」だった河合らしく、子供を見つめる目や仕草に、演技を超えた深い慈愛が感じられ、彼女のあふれる母性も垣間見える。そして、芝居においても、長谷直美、清水由貴子、西村晃といった名優にも引けを取らない演技で、座長として作品をけん引しており、エンタメ作品の屋台骨を持ち前の魅力で支えている。

火曜ミステリー劇場という2時間サスペンス枠で放送されたドラマであるが、同作は殺人事件などは起こらず桃子の奮闘ぶりを描いた異色作であり、河合が魅せる"ピュアさ"に目が離せなくなる。桃子役を通して垣間見える河合の、いつまでも変わらない透明感と可憐さが作品に与える影響に注目してみてほしい。

文=原田健

放送情報【スカパー!】

ベビーシッター桃子の冒険
放送日時:9月16日(月)23:30~
放送チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります