宮内洋演じる仮面ライダーV3が「仮面ライダーシリーズ」に与えた大いなる功績
2024.7.24(水)
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1971年より始まり、半世紀を超えて愛され続けている「仮面ライダー」シリーズ。映画やオリジナルビデオ、漫画、小説、ゲームソフト、演劇など、テレビ以外の媒体におけるメディアミックスも展開されており、「男の子でハマっていない子はいない」と言っても過言ではないほど、日本のエンタメ界にとって大きな存在だ。
特に第1作の「仮面ライダー」は、悪の組織に改造されてしまった主人公が世界の平和のために"生みの親を滅ぼさなければならない"という「命のアンチテーゼ」な側面があり、単純な勧善懲悪にはとどまらない"悲哀"と"深み"が特徴。シリーズ初期の作品は特に大人のファンが多いのも、そういった背景があるからだろう。
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(C)石森プロ・東映
そんな中で、"大人に刺さる仮面ライダー"と、現在の"子供に人気の仮面ライダー"の架け橋となる作品が、シリーズ第2作の「仮面ライダーV3」(1973~1974年)だ。逆に言えば、「仮面ライダーV3」が、以降に続くシリーズを作り出したともいえるだろう。
同作品は、前作の「仮面ライダー」の直接的な続編として制作されたもので、ストーリーもつながっており、仮面ライダー1号・2号の後を継ぐライダー3号のV3と、「ショッカー」や「ゲルショッカー」に続く第3の悪の組織「デストロン」との戦いを描く。
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(C)石森プロ・東映
仮面ライダー1号・2号の活躍により悪の組織「ゲルショッカー」は壊滅し、世界に平和が戻ったかに見えたが、生きていた「ゲルショッカー」の首領は密かに新しい組織「デストロン」を結成。再び世界征服を目指して秘密裏に動き始めていた。仮面ライダー1号こと本郷猛(藤岡弘 ※現在は藤岡弘、)の大学の後輩・風見志郎(宮内洋)は、ある夜、「デストロン」が人間を溶かす瞬間を目撃したことで、命を狙われ始める。さらに、偶然「デストロン」のアジトを見つけてしまった珠純子(小野ひずる)を自宅に匿ったため、「デストロン」の怪人・ハサミジャガーの襲撃を受けて、目の前で両親と妹を殺されてしまう。怒りに燃えて復讐を誓った志郎は、対抗しうる力を得ようと1号と2号に自分の改造を依頼するが、改造人間の辛さを知る2人から断られてしまう。しかしその後、「デストロン」の罠に落ちた1号・2号を助けるため瀕死の重傷を負った志郎は、1号・2号から命を取り留めるために改造手術を施され、仮面ライダーV3となって復活する。こうしてV3と「デストロン」の死闘が始まる。
「悪の親玉が生きており、再び世界征服に乗り出す」という前作から"地続き"のストーリーはファン心をくすぐるし、何より第1話と第2話で1号と2号が登場して、V3にバトンタッチする経緯がしっかりと描かれているところがいい。家族を殺した「デストロン」への憎しみだけでなく、1号・2号の「正義と平和を守る」という使命を受け継いで過酷な戦いに身を投じていくというところが、前作から"悲哀"をちゃんと継承しており、大人のファンの心をキャッチしている。
志郎演じる宮内も、藤岡が紡いだ"悲哀"をしっかりと受け継ぎ、孤独な戦いに身を投じる男を熱演。敵を倒しても決して喜ばず、どこか哀しい表情を見せる。それこそが"ライダー(単車に乗る人)"であるゆえんなのだ。宮内が表現する、必死な表情や怒りに燃える表情の奥に見え隠れする"哀しみ"にこそ、第1作の魂が宿っているといえるだろう。
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(C)石森プロ・東映
一方で、"新しいライダー"ということで1号・2号からバージョンアップしているところが、現代のライダーまで連綿と続く"シリーズとしてのアイデンティティー"を生んだといえる。1号・2号から改造手術を施されたV3は、1号の"技"と2号の"力"という両者のいいところを引き継いでおり、ベルトには風車を2つ有していたり、小型探査装置「V3ホッパー」や肩の内部機構「特殊スプリング筋肉」、瞬間的に2倍のパワーを発揮する「レッドランプパワー」、テレパシーで仲間と交信できる「超触覚アンテナ」、改造人間探査装置「Oシグナル」など、当時の流行である"最先端技術"や"最新科学"を取り入れた進化を遂げており、正に当時の子供たちの期待に応えたバージョンアップが施されている。"新しいライダーは、その時代の流行を押さえた子供たちの期待に応える進化をして生まれる"というのはV3から始まったのだ。
大人と子供、どちらにも刺さる進化を遂げた仮面ライダーV3をご覧いただき、半世紀以上続く人気フォーマットとなった要因を感じていただきたい。
文=原田健
放送情報【スカパー!】
仮面ライダーV3 #1、#2
放送日時:8月3日(土)18:00~
放送チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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