剛力彩芽が喧嘩っ早くて口が悪いホステスを熱演し、探偵役として活躍する「女子大小路の名探偵」
2024.6.30(日)
![](https://hominis.media/2024/06/images/goriki.jpg)
名古屋と岐阜を舞台に凸凹コンビな姉弟が活躍する映画「女子大小路の名探偵」。名古屋の歓楽街である女子大小路で起きた不可解な事件の謎に、剛力彩芽が演じる最恐ホステスと、醍醐虎汰朗が扮するヘタレな弟が迫るミステリーだ。
本作はメ~テレ60周年記念映画として制作されたもので、「アンフェア」シリーズの原作者・秦建日子が名古屋の地域情報誌などで長期連載していた小説が原作となっている。
ご当地映画らしく、タイトルにもなっている女子大小路をはじめとした地元の人になじみ深い名古屋・岐阜の人気スポットが多数登場。また、北原里英、堀夏喜(FANTASTICS)、小沢一敬(スピードワゴン)、水野勝、そして戸田恵子といった愛知出身のキャストも名を連ねている。
物語の主人公は、岐阜・柳ヶ瀬のクラブでホステスとして働く美桜(剛力彩芽)。彼女には名古屋の女子大小路のバーでバイトをしている弟・大夏(醍醐虎汰朗)がいたが、彼は名古屋市の公園で心肺停止状態の女子中学生を発見したことがきっかけで、連続少女殺人事件の容疑者として警察に連行されてしまう。弟のことが嫌いでありながらも仕方なく身元引受人となって彼の窮地を救った美桜は、事件の真犯人を見つけるために動き出す。
主演を務めた剛力彩芽は、喧嘩っ早く口の悪いホステスという新たな役柄に挑戦。彼女が演じる美桜は口よりも先に手が出るタイプで、大嫌いな弟にはゲンコツを浴びせながら口汚く罵るという人物だ。剛力自身も「美桜のような強気な女性は演じたことがなかった」と語っていたが、原作者であり本作の脚本も務めた秦建日子からもお墨付きをもらうほどのパワフルな演技を見せている。
そんな力強さとは裏腹に、黒いドレスに身を包んだホステス姿や、鮮やかな桃色が目を引く着物姿、知的な雰囲気が漂うコンパニオン姿など、華やかな服をまとう彼女のビジュアルもポイント。対照的に地味な私服やスポーティーなジャージ姿とのギャップも楽しめる。
姉とは正反対のヘタレな弟役を演じるのは、注目若手俳優の醍醐虎汰朗だ。舞台の一般公募オーディションで主役を射止めて2017年にデビューした彼は、2022年に「舞いあがれ!」で朝ドラ出演、2023年に「シガテラ」(テレビ東京系)で連ドラ初主演など、俳優として着実な成長を遂げている。
彼が演じる大夏は、姉の美桜いわくダメ男の見本のような人物。しかし醍醐の演じる大夏は能天気な明るさを存分に振りまきながらも、あどけない笑顔と屈託のなさが特徴的で、どこか放っておけないキャラクターに仕上がっている。
醍醐が憎めない弟を演じたことで、本当は弟のことを気にかけているという美桜の内面にも説得力が生まれたのではないだろうか。剛力のほうも美桜を演じるにあたっては弟との距離感を意識したといい、それは話し方からにじみ出るニュアンスなどに現れている。ああ言えばこう言うという感じそのものといえる前半の小気味よいやり取りも見どころだが、後半で姉弟が互いに決断を迫られるシリアスな場面の会話にも注目してほしい。
文=元永真
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