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当時9歳の三浦春馬が抜群の存在感を放つ!子役時代の演技に魅了される映画「Nile -ナイル-」

2024.6.23(日)

言葉にならない心情まで伝える奥行きのある演技で、今なお多くの視聴者を魅了してやまない俳優・三浦春馬。子役時代から"天才"と評され、活躍していたのは周知の通りで、7歳の時にNHKの連続テレビ小説「あぐり」(1997年放送)で役者デビューしてからは、2002年に映画「森の学校」で映画初主演を果たすなど、活動の舞台はどんどん広がっていった。

そんな子役時代の三浦春馬の演技が見られる映画「Nile -ナイル-」(1999年公開)が、7月8日(月)に東映チャンネルで放送される。原作は考古学者・吉村作治の小説で、映画には吉村本人も考古学者・西山太郎として出演。主演はハードボイルドな作品がよく似合う渡瀬恒彦が務め、三浦は西山の息子・西山海として登場する。

物語は、渡瀬が演じる日本人ジャーナリスト・見城治彦が、親友の西山が調査を進めているエジプトの発掘現場を訪れるところから始まる。異動で東京に戻ることになった見城に西山は、「日本に帰ったら、海と恵子に会ってやってくれ」と言う。2人は家族ぐるみの付き合いというわけだ。

そして帰国前の夜、見城は過去のビデオを見ながら亡なくなった妻・ナディアに想いを馳せる。場面は回想シーンとなり、3年前の2人の結婚式のシーンに、三浦演じる海が登場する。
階段を降りてくる2人を父と姉の恵子(小松裕奈)と共に見上げる海からは、活発で聡明な雰囲気が伝わってくる。さらに、その表情と目の輝きには、見城が大好きで、そのカッコよさに憧れているような、そんな気持ちが現れている。その後の宴会のシーンでも、2人に近寄って見城を「ジョー!」と呼び手を振る姿からは、子供らしいわんぱくさと、見城に懐いている様子が伝わってくる。

劇中で確かな存在感を放つ、子役時代の三浦春馬
劇中で確かな存在感を放つ、子役時代の三浦春馬

(C)東映・東映ビデオ

また、場面が現在に戻り、空港で見城を待つシーンでは、退屈そうに顔をしかめて手すりにまたがっていたりもする。子供にありがちな、じっとしていられない様子がよく現れている。

先に触れた映画「森の学校」の監督・西垣吉春は、子役時代の三浦について「こちらが言ったことを2倍、3倍に深く理解して、演技で答えてくれる役者でした」と語っている。本作「Nile -ナイル-」でも、セリフがなくとも表情や動作で気持ちが伝わってくるのは、やはり三浦が卓越した演技力を持っていたからだろう。

物語が進むと、西山の世界的な発見を横取りしようと企む国際シンジケートが動き始める。西山は殺され、海は拉致されエジプトに連れて行かれる。そうなってからの三浦の演技も秀逸だ。

エジプトでシンジケートのアジトに連れて行かれた海は、同じく捕まっていた現地の少年と出会う。少年は怯える海に優しく接し、食べ物を分け与える。その時の海は、ちょっと驚いた感じがありながらも、少年に対して心が開けたような空気が出ている。また見城と再会を果たした時に、海の「ジョー!」という叫びと、見城の「よーっし!」という声が錯綜する場面も、2人の強い想いや、固い絆が感じられる熱いシーンとなっている。

最大の見せ場は、海が恵子とともに日本に帰国するシーンだ。このシーンでは胸が熱くなると同時に、この物語の中にはもうひとつの物語、言うなれば、西山海の物語があったのだと思わされるほど、海が強い存在感を放っている。それもまた、三浦の演技の力と言えるだろう。

海たちが帰国した後も、見城とシンジケートとの戦いは続く。主演の渡瀬恒彦、またジャーナリスト関係者として登場する哀川翔や津川雅彦らの演技ももちろんだが、当時まだ9歳だった三浦春馬の才能が実感できる作品として、ぜひ本作を見てほしい。見ればきっと、その演技力に魅了されることだろう。

文=堀慎二郎

放送情報【スカパー!】

Nile -ナイル-
放送日時:2024年7月8日(月)20:00~、2024年7月15日(月)13:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます