伊原六花と藤原大祐が新たな方向性の演技に挑戦した、映画「リゾートバイト」

2024.6.23(日)

連続テレビ小説「ブギウギ」(2023年、NHK)で歌劇団の男役を演じ、キレのあるタップダンスを披露して多くの人を魅了した伊原六花。地上波の連続ドラマ初主演となる「肝臓を奪われた妻」(2024年、日本テレビ系)では、愛憎入り混じる復讐劇らしく、大人っぽい表情を見せながら登場人物を誘惑している。

そんな彼女が主演したホラー映画が「リゾートバイト」(2023年)。「神様のえこひいき」(2022年、Hulu)や「柚木さんちの四兄弟。」(2024年、NHK総合)などに主演し、次世代俳優として注目を集めている藤原大祐との共演で話題を呼んだ。

「リゾートバイト」は、大学に通う内田桜(伊原)と幼なじみの真中聡(藤原)、華村希美(秋田汐梨)がリゾートバイトをするためにある島に向かうところから物語がスタート。最初はリゾート地を楽しんでいたが、ある日、バイト先の旅館にある"秘密の扉"を知ることになる...。

怖い話が掲載されているサイトに投稿されるやいなや、そのあまりの怖さと秀逸な展開で一気に話題となった物語が原作。禁忌の儀式、人外の存在、人間の業...といった全てのホラー要素が凝縮されており、恐怖と驚きの仕掛けが満載のジャパニーズ・ホラー映画ファン必見の作品になっている。

伊原と藤原にとって初めてとなるホラー作品。2人しか見えない幽霊に追われて恐怖におののく表情は見る者に恐怖を植え付けてくる。
　
"バブリーダンス"がきっかけとなって芸能界デビューした伊原は、これまで元気ではつらつとした女の子を演じることが多かった。しかし今回はその活発さを封じ、引っ込み思案の性格でどこか儚げな女子大生を見事に体現している。密かに恋している聡へのまなざしや、幽霊と対峙するときの強い意志を持った目力など、これまでとはまた違った表情を味わえる。
　
対して、ラブコメに多く出演していた藤原は、その爽やかな印象そのまま幼なじみに思いを寄せる優しい男子大学生を演じている。桜への気づかいを見せる仕草や、好きな人を密かに見守っている表情にキュンとする人も多いはず。また幽霊に取り憑かれてからは、鬼気迫った表情を見せ、その怯え方がリアルで秀逸。前半の爽やかな表情との対比を楽しみたい。

彼女たち以外にも、桜と聡の幼なじみに映画「悪の華」(2019年)で玉城ティナとW主演し、ドラマや舞台で活躍をしている秋田汐梨、桜らと一緒に旅館で働くフリーターに主演映画「岬の兄妹」(2018年)が数多くの賞を受賞した松浦祐也、旅館の女将に1990年代に巻き起こったジャパニーズ・ホラー・ブームを牽引していた佐伯日菜子、悪霊を払う住職に「鎌倉殿の13人」(2022年、NHK) での怪演が話題を呼んだ梶原善が出演。名バイプレイヤーたちが、伊原と藤原の演技をより引き立てていく。幽霊に取り憑かれる姿など、ホラー作品ならではのテクニックを使った演技を見せる2人。驚く姿や表情を見て、恐怖をよりリアルに感じてほしい。
　
どこにでもいそうだった大学生の2人が、見てはいけないものを見て変わっていく姿は必見。今後も注目を集める2人の初々しくも恐ろしい姿を堪能してほしい。

文＝玉置晴子

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